中間回廊は、中国から中央アジアとカスピ海、コーカサスを経由して欧州へ至る輸送路の呼び名である。正式にはカスピ海横断国際輸送ルート(TITR: Trans-Caspian International Transport Route)といい、ロシアを通る「北回廊」、イランを通る「南回廊」に対して、その中間を通ることからこう呼ばれる。
経路はおおむね次のとおりである。中国の国境(ホルゴスなど)からカザフスタンを鉄道で横断し、カスピ海東岸のアクタウ港またはクリク港から船でアゼルバイジャンのバクー(アラト)へ渡る。そこからアゼルバイジャンとジョージアを鉄道か道路で抜け、黒海のポチ港・バトゥミ港から海路で、またはバクー・トビリシ・カルス鉄道でトルコ経由の陸路で欧州へ向かう。
注目された直接のきっかけは2022年以降、ロシア経由の北回廊を避ける荷主が増えたことである。ただし迂回路にとどまらず、中央アジア産の資源や製品の輸出路、欧州と中央アジアの直接貿易の幹線として整備が進んでいる。
投資の規模は大きい。ユーラシア開発銀行(EDB)の集計では、中央アジアの輸送インフラ案件は総額717億ドル・114件にのぼり、うち428億ドルがTRACECAと中間回廊の関連に集中する(2026年8月時点)。世界銀行グループはジョージアの輸送力強化に7億5000万ドルの枠組みを組み、EBRDはカザフスタン鉄道の債券に1億2500万ドルを出資して幹線道路の改良にも2億3000万ユーロを投じている。
荷動きも伸びている。ジョージアのポチ港は2026年1〜7月のコンテナ取扱が40万TEUを超えて前年同期比7%増、一般貨物は60%増となった。2025年通年では63万6000TEUと過去最高を記録している。
一方で制約もはっきりしている。カスピ海を渡る船腹と港の処理能力が細く、天候による欠航や滞船が起きやすい。鉄道は国ごとに事業者が分かれ、通関と積み替えのたびに時間がかかる。北回廊に比べて距離あたりの費用が高く、輸送量の総量ではなお及ばない。各国が投資を続けているのは、まさにこの制約を外すためである。
このサイトでは、港湾の取扱量、鉄道への融資、国境施設の整備など、中間回廊に関わる動きをテーマ「中間回廊」で束ねて追っている。