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ウズベキスタンとセルビア、戦略的パートナーシップを樹立。自由貿易協定の交渉に向けた作業部会など二国間文書20件を交換

ミルジヨエフ大統領とブチッチ大統領は9月8日にベオグラードで会談し、戦略的パートナーシップ樹立に関する共同宣言に署名した。立ち会いのもとで交換された二国間文書は20件で、自由貿易協定の交渉を始めるための作業部会の設置、中間回廊の支援、鉄道インフラ、税関分野の協力が並ぶ。金額を伴う数字は発表に無い。

資料写真:夕方のレギスタン広場/Ozodbek Erkinov(Unsplash License)出典
この記事が扱う国。国境は Natural Earth(パブリックドメイン)。点は本文に出てくる場所(サマルカンド、タシケント)。

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領とセルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領は9月8日、ベオグラードのセルビア宮殿で一対一および代表団を交えた形式で会談し、戦略的パートナーシップ関係の樹立に関する共同宣言に署名した。ウズベキスタン大統領府が同日、会談の要旨、交換された二国間文書の一覧、ビジネスフォーラムの模様をそれぞれ公表している。

ミルジヨエフ氏は会談の冒頭で、ウズベキスタン大統領として初めてのベオグラード訪問が両国関係の新たな段階の始まりとして歴史に残ると述べた。発表は、今回の樹立より前に両国関係がどの枠組みに位置づけられていたかを書いていない。関係の土台については、外交公館の開設と議員間フォーラムの創設が深化に寄与するとしている。ウズベク語版は、この公館の開設と議員間フォーラムの創設を「将来」のこととして書いており、ロシア語版にはその限定が無い。開設の時期は、どちらの版にも書かれていない。

両首脳の立ち会いのもとで二国間文書の交換式が行われた。大統領府が挙げたのは次の20件である。原文は一覧を「とくに」として示しており、これが交換文書の全部かどうかは書かれていない。分野で整理すると次のようになる。

分野文書件数
通商・関税自由貿易協定の交渉を始めるための作業部会の設置/税関分野の協力と相互支援/経済外交3
輸送中間回廊の支援/鉄道インフラ/旅客・貨物の国際道路運送3
産業・農業・環境再生可能エネルギーとグリーン技術/医薬品とバイオテクノロジー/農業・水利と農村地域の持続的発展/環境保護4
情報・デジタル情報通信技術/デジタル化・電子政府と現代技術の適用2
労働・社会労働の移動と労働移民/労働安全と健康の保護/障害のある人の保護と社会的地位の支援3
地域間・人的交流地域間協力/サマルカンド州とヴォイヴォディナ自治州の提携/観光と文化旅行/2026〜2028年の文化協力/映画分野の協力と共同製作5
計20

経済面で最も重いのは自由貿易協定である。会談要旨は、需要の高い品目の供給を広げることを軸に相互貿易を増やす問題に特別の注意が払われたとし、その関連で自由貿易協定の策定と採択、標準化分野の協力の確立、相互の展示会の開催の重要性が強調されたと記す。交換された20件のうちこれに当たるのは、協定の交渉を始めるための作業部会を設置する文書1件である。交渉の開始時期も、期限も、対象品目も発表には無い。あわせて、2027年にベオグラードで開かれる国際博覧会にウズベキスタンが国別パビリオンで参加することが確認された。

輸送では3件が交換された。中間回廊の支援、鉄道インフラ、旅客と貨物の国際道路運送である。会談要旨は新規の共同事業の優先分野として輸送・物流を最初に挙げているが、対象となる路線も数量も書かれていない。

労働の移動には特別の注意が向けられた。会談要旨は、組織的な労働移民の分野で体系的な協力を築くことにセルビア側が高い関心を示したとし、両首脳が訪問中の労働の移動と労働移民に関する協定の採択を歓迎したと記す。受け入れ人数、職種、期間についての記述は無い。

産業協力では、すべての合意を確実に実施するためとして、2026〜2028年の産業パートナーシップ発展に関する共同行動計画が採択された。会談要旨が挙げた新規の共同事業の優先分野は、輸送・物流、軽工業と食品工業、農業、医薬品、医療、デジタル経済である。加えて、自動車部品、機械設備、電気技術、電子機器の生産で産業協力の潜在力が大きいとされた。行動計画そのものの中身は公表されていない。

同じ日に両大統領はビジネスフォーラムに参加した。参加したのは両国の公的機関と経済界の代表200人超と、主要な工業・商業企業の幹部で、セルビア側の企業としてガレニカ、アベラ・ファルム、ゴシャ・フォム、ユムコ、ルス・テクスティルなどが挙げられている。ミルジヨエフ氏は、相互に供給する品目の幅を広げ税関手続きを簡素化することで相互貿易を数倍に増やす必要があるとしたうえで、繊維製品と電気製品の共同生産、自動車部品と産業用部品の共同生産、医薬品生産の現地化、青果物の高度加工、ソフトウェアと人工知能の分野の案件を今後の重点に挙げた。大統領府は、フォーラムの結果として一連の二国間経済協定と商業契約が署名されたと記しているが、当事者名も金額も示していない。

制度の側では、会談の前日にあたる9月7日に政府間委員会の初会合が開かれた。地域間では、サマルカンド州とヴォイヴォディナ自治州、およびサマルカンドとノヴィ・サドの両市の間に直接の関係が築かれたことを両首脳が歓迎した。会談要旨は、達成された合意と採択された決定・協定を遅滞なく確実に実施するために、包括的な「ロードマップ」が採択されると記している。この文書は今回の訪問では採択されていない。

今回の一連の発表に、貿易額も投資額も、署名された契約の金額も出てこない。8月30日にタシケントでインドとの関係を包括的戦略パートナーシップに引き上げたときには、2030年までに貿易額を50億ドルにするという数値目標が会談要旨に書かれていた。セルビアとの間では、これに当たる数値目標が示されていない。ウズベキスタンの貿易全体は2026年1〜7月で495億3,500万ドルである。

今回動いたのは枠組みであって、関税でも金額でもない。カネの流れに直接効くのは自由貿易協定だが、交換された文書のうちそれに関わるのは交渉を始めるための作業部会を設ける1件で、交渉の日程はまだ示されていない。実施を担保するとされたロードマップも未採択である。次に確かめられるのは、この作業部会がいつ動き出すか、そして採択が予告された「ロードマップ」に何が書かれるかである。

この記事の日付 2026年9月8日 は、出典が発表された日です。

本サイトでの初出 2026年9月10日 0:28

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