概況 · 2026年8月時点
ウズベキスタンは中央アジアで最も人口の多い国で、3,636万人(世界銀行、2024年)を抱える。世界に二つしかない二重内陸国、つまり隣国もすべて内陸国という条件を持つ国の一つであり、中央アジアの他の4か国すべてとアフガニスタンに接する唯一の国でもある。海に出るにはどの経路をとっても二つ以上の国境を越えねばならず、この地理がこの国の通商と外交を規定している。
経済は域内で最も多角化している部類に入る。輸出の中心は金、銅、亜鉛、ウランといった鉱物だが、天然ガス、肥料などの化学品、綿を起点とする繊維、自動車、食品加工が続く。国営のナヴォイ鉱山冶金コンビナート(NMMC)は世界第4位の金生産者で、クズルクム砂漠のムルンタウ鉱山は単独の金鉱山としては世界最大の規模を持つ。付加価値でみた産業構成は農業17.7%、工業32.0%、サービス46.3%(世界銀行、2024年)である。
転機は2017年である。政府はこの年から、経済の自由化、国有企業の民営化、地方の起業家育成を含む大胆な改革に踏み切った。2017年から2025年までの実質GDP成長率は年平均6%で、世界銀行は同国を世界有数の改革実施国と評価している。世界貿易機関(WTO)への加盟が実現すればGDPを最大17%押し上げ、国家基準の貧困率を最大1.6ポイント下げるとの試算もある(世界銀行の国別概況、2026年8月時点)。
基本情報
| 正式名称 | ウズベキスタン共和国(Republic of Uzbekistan) |
|---|---|
| 首都 | タシケント |
| 人口 | 3,636万人(世界銀行、2024年)。域内8か国で最多 |
| 名目GDP | 1,214億ドル(世界銀行、2024年) |
| 一人あたりGDP | 3,337ドル(世界銀行、2024年) |
| 実質GDP成長率 | 7.7%(2025年)、6.7%(2024年)。2026年は6.4%の見通し(世界銀行の国別概況、2026年8月時点) |
| 通貨 | スム(UZS) |
| 産業構成 | 農業17.7%/工業32.0%/サービス46.3%(付加価値ベース、世界銀行、2024年) |
| 主な輸出 | 金、銅、亜鉛、ウラン、食品、肥料。2025年の輸出はドル建てで24%増(世界銀行) |
| 外貨準備 | 700億ドル(2026年1月。うち86%が金。世界銀行) |
| 送金受取 | 対GDP13.7%(世界銀行、2024年) |
| 対内直接投資 | 29億7,500万ドル(純流入、国際収支ベース、世界銀行、2024年) |
| 加盟する主な枠組み | 上海協力機構、テュルク諸国機構、CAREC。ユーラシア経済連合(EAEU)にはオブザーバー参加 |
何を売り、何を買っているか
2025年の輸出はドル建てで24%増えた。牽引したのは金、銅、亜鉛、ウランといった鉱物と、食品、肥料、サービスである。輸入は18.5%増で、エネルギー、機械、中間財が中心だった。経常収支の赤字は対GDP4.7%(2024年)から3.3%(2025年)へ縮んでいる(世界銀行の国別概況、2026年8月時点)。
金は輸出の顔であると同時に準備資産でもある。国際準備は2026年1月に700億ドルへ達し、前年から271億ドル増えた。その86%が金である。金価格の変動がこの国の対外バランスをそのまま揺らす構造になっている。
一方でエネルギーは弱点である。産ガス国でありながら石油と自動車用燃料は純輸入で、世界銀行は中東の紛争によるエネルギー価格の上昇が2026年の成長をわずかに押し下げ、経常赤字を広げるとみている。
改革はどこに効いたか
2025年の実質GDPは7.7%増と、2024年の6.7%から加速した。個人消費が実質9.2%、投資が10.5%伸びており、賃金と送金の増加が消費を支えた形である。
所得の伸びは低所得層に厚く出た。国家基準の貧困率は2024年の8.9%から2025年に5.8%へ下がり、ジニ係数も34.6から32.7へ改善している。
課題は雇用である。世界銀行は、成長に対して雇用の創出が遅れており、今後7年から10年で約1,000万人分の、より賃金の高い仕事を新たに生む必要があると指摘する。公的債務は2026年から2027年にかけて対GDP28%前後で推移し、インフレは2026年に8%を下回って2028年に目標の5%へ近づく見通しである。
日本との関係
JICAは、日本政府の対ウズベキスタン国別開発協力方針に沿って、持続可能な経済成長と産業の多角化・高度化、公平かつ持続可能な社会の構築、ガバナンスの強化を重点分野に据える。具体には省エネと再生可能エネルギーの推進、ビジネス人材の育成、農業の多角化、保健・医療・教育の向上に取り組んでいる。
個別の事業としては、国立タシケント工科大学の付属組織であるウズベキスタン・日本青年技術革新センター(UJICY)の研究マネジメント体制づくりや、シルダリア火力発電所へのコンバインドサイクル・ガスタービン(45万キロワット×2基)導入にかかる事業計画の策定と運転・維持管理の支援がある。同国の電源構成は約9割を火力が占め、その多くが40年から50年以上前に運転を始めた設備である。
参考資料
- Uzbekistan Overview — 世界銀行(国別概況。2025年の成長率、輸出、貧困率、外貨準備) ↗
- Uzbekistan — 世界銀行 Data360(World Development Indicators。人口・GDP・産業構成・送金・直接投資、2024年) ↗
- ウズベキスタン — JICA ↗
このページの数字は2026年8月時点のものである。新しい統計が公表されしだい更新する。 日々の動きは下の記事一覧で追える。
先週の中央アジア・コーカサス:EBRDがウズベキスタンの2026年成長率予測を7.5%へ上方修正、シルダリヤ州の新設火力で1,600メガワットが緊急停止(9月21日〜27日)2026.09.28EBRDが9月24日に公表した地域経済見通しで、中央アジア・コーカサス8か国のうち6月版から予測が動いたのはウズベキスタン(2026年を7.5%へ)とジョージア(6.5%へ)の2か国だけだった。25日にはシルダリヤ州の試運転中の火力発電所で1,600メガワットが緊急停止したとウズベキスタン・エネルギー省が発表した。カザフスタンでも合計962メガワットの負荷が遮断されたと、KursivがKEGOCのデータとして伝えている。ウズベキスタン大統領府はカラカルパクスタンとアンディジャンの事業を相次いで公表し、カザフスタンの銀行部門の1〜8月の純利益は13.6%減った。
ウズベキスタンの新設火力で1,600メガワットが緊急停止。KEGOCのデータではカザフスタンで962メガワットの負荷遮断2026.09.25ウズベキスタン・エネルギー省は9月25日、シルダリヤ州にあるEDF社の新しい火力発電所で05時05分に1,600メガワットが緊急停止したと発表した。試運転中の発電所で、発表に原因の記載はない。カザフスタンでは962メガワットの負荷が遮断されたと、KursivがKEGOCのデータとして伝えた。
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ウズベキスタン大統領府、エネルギー事業の投資家を公開の競争で選ぶ新モデルの提案を公表。発電設備は計画で2030年46.1ギガワット、2035年57.2ギガワット2026.09.22ウズベキスタン大統領府は9月22日、エネルギー投資事業の仕組みを根本から変える提案が大統領への説明で示されたと公表した。需要予測を起点に用地と系統接続点を定めた事業を組成し、投資家を公開の競争で選ぶ案である。発電設備は計画で2030年46.1ギガワット、2035年57.2ギガワット。大統領令や政府決定には触れていない。
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ウズベキスタン大統領府、カラカルパクスタンで2030年までに風力3,300メガワット・蓄電400メガワットの計画。人工知能・データセンターの特別区域に6事業80億ドル2026.09.19ウズベキスタン大統領府は、9月19日にヌクスで開かれたカラカルパクスタンの会議として、2030年までに風力3,300メガワットと蓄電400メガワット、「グリーン」エネルギー比率76%の計画を公表した。人工知能とデータセンターの特別区域では6事業・総額80億ドルを実施するとしたが、内訳は示されていない。
ウズベキスタン中銀の8月のインフレ期待調査、住民は加重平均9.8%、事業者は9.6%でともに前月から低下2026.09.19ウズベキスタン中央銀行が9月19日に公表した8月の調査で、住民の今後12か月のインフレ期待は加重平均9.8%と、7月の10.1%から0.3ポイント下がった。事業者の期待も加重平均9.6%と、7月から0.2ポイント下がった。中央値はともに8%。住民の体感インフレは平均値10.1%だった。
世界銀行、ウズベキスタンの中間層は2021年37%から2025年72%超と分析。上位中間層の拡大はタシケント市に集中2026.09.18世界銀行は9月18日、ウズベキスタンの貧困・公平性評価を公表した。国民貧困線の2.2倍と4.0倍を境とする階層区分で、中間層の人口比は2021年の37%から2025年に72%超へ広がった。ただし上位中間層の伸びはタシケント市に集中し、貧困層の雇用増が集中した3部門では新規雇用の84%が非正規だった。
ウズベキスタン大統領府、カラカルパクスタンで47事業70億ドルの着工と11事業5億9,200万ドルの稼働を公表。中国側とのデータセンターとデジタル通貨生産に22億8,100万ドル2026.09.18ウズベキスタン大統領府は9月18日、カラカルパクスタンで11事業・5億9,200万ドルが稼働し、47事業・70億ドルの建設が始まったと公表した。金額付きで名指しされたのは9件だけで内訳は未公表である。デジタル通貨の生産は4月の大統領決定で全域が特別ゾーンに指定済み、計算センターの中国企業名も昨年11月に公表済みだった。
ウズベキスタン大統領の訪韓、同国大統領府は有望プロジェクト約120億ドルと発表。重要鉱物では輸出入銀行・ADBなど4者が覚書2026.09.16ミルジヨエフ大統領の国賓訪韓で、ウズベキスタン大統領府は約120億ドルの有望プロジェクトが準備されたと発表し、韓国大統領室は協定・覚書13件の交換を伝えた。重要鉱物では韓国輸出入銀行やADBなど4者が覚書に署名した。高速鉄道車両8編成の追加導入は妥当性調査を始める段階で、借款を承認するかは調査の後に決める。
キルギス内閣、第三国からの建材の一部の輸入を6か月禁止へ。EAEU加盟国の領域からの搬入と通過貨物は対象外2026.09.16キルギス内閣は9月14日付の決議で、建築用ブロック・れんが、タイル、板ガラス、ケーブル・電線のうち附属書に挙げた品目について、第三国からの輸入を6か月の期間で一時的に禁止すると決めた。ユーラシア経済連合(EAEU)加盟国の領域から搬入されるものと通過貨物は対象外で、禁止は決議の発効から3日を経て始まる。
先週の中央アジア・コーカサス:アゼルバイジャン中銀が8月に15億ドルの買い介入、ABBがダヴル銀行株51%の取得を完了(9月7日〜13日)2026.09.14アゼルバイジャン中銀は8月に15億ドルの買い介入を実施し、中銀によると外貨準備は過去最高の153億ドルになった。ジョージアの総国際準備も過去最高を更新した。ウズベキスタンでは、アゼルバイジャンのABBがダヴル銀行株51%の取得を完了し、国家資産の購入時の前払金を35%から15%へ下げる大統領令の内容も公表された。カザフスタンではKaspi.kzの臨時株主総会が、第2四半期の配当を1株1,000テンゲに増やす提案を承認した。
アゼルバイジャンのABB、ウズベキスタンのダヴル銀行株51%の取得を完了。取引所で5,100万株、総額1兆6,463億スム(約1億4,000万ドル)2026.09.11アゼルバイジャン国際銀行(ABB)は9月11日、ウズベキスタンのダヴル銀行の株式51%の取得を完了したと発表した。取引所の記録では、9月10日に同行株計5,100万株が1株32,281.28スムで6件約定し、総額は1兆6,463億スム。ABBによると、S&Pは同行の長期の信用格付けをBからB+に上げた。