世界銀行は9月18日、ウズベキスタンの貧困・公平性評価「Rising to Prosperity: Broadening Opportunities for All」を公開した。英語のみの全96ページで、家計予算調査(HBS)2021〜2025年をもとに世界銀行の職員が計算した階層区分を柱にしている。
階層の境目は、下の階層へ落ちる確率で引かれている。国民貧困線は1人1日16,600スム(2021年12月価格)で、その2.2倍にあたる1日約36,000スムが下位中間層の、4.0倍にあたる約67,000スムが上位中間層の閾値である。前者は貧困に、後者は脆弱層に落ちる確率がそれぞれ10%になる水準だと報告書は説明する。
この区分で、中間層(下位と上位の合計)の人口比は2021年の37%から2025年に72%超へ上がり、脆弱層は45.7%から22.1%へ下がった。
| 区分 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 貧困率(国民貧困線、%) | 17.0 | 14.1 | 11.1 | 8.9 | 5.8 |
| 貧困人口(百万人) | 5.9 | 5.0 | 4.0 | 3.3 | 2.2 |
| 脆弱層(%) | 45.7 | 44.0 | 34.8 | 30.9 | 22.1 |
| 中間層(%、計算値) | 37.3 | 41.9 | 54.1 | 60.2 | 72.1 |
貧困率・貧困人口・脆弱層は報告書の付表A.1の値。中間層は100から両者を引いた計算値で、報告書本文の「2021年37%、2025年72%超」と整合する。
貧困率の系列そのものは新しい数字ではない。国家統計委員会が世界銀行と共同で1万6,000世帯を対象に実施した家計調査の結果として、2025年の5.8%と貧困人口220万人は2026年1月2日に同国の国営系メディアが報じている。
貧困率は地域間で収斂し、2021年に27ポイントあった地域間の最大の差は2025年までにほぼ消えた。世界銀行が偏りを指摘するのは中間層の拡大の方である。タシケント市の中間層比率は2021年の59%から2025年に94%へ上がり、その拡大の約3分の2を民間部門の賃金の伸びが、さらに19%を公的部門・国有企業の賃金が説明する。上位中間層は2025年に首都の人口の7割超を占める一方、他の地域では35%未満にとどまる。高技能の民間賃金雇用はタシケント市に29%、タシケント州に22%が所在し、金融・電気通信の高技能職は約3分の2がタシケント市だけにある。
所得下位20%の男性の賃金雇用率は2022年の18%から2025年の46%へ上がり、報告書はこれを国際的な出稼ぎ、農業、自営業から国内の賃金労働への移行によるものと位置づけている。増えた雇用は建設、卸小売サービス、製造業に集中し、この3部門では新規雇用の84%が非正規で、うち33%は不規則または季節の労働だった。低技能の非正規の平均月額賃金は正規より約30%低い。世界銀行企業調査(WBES 2025)では、2022〜2024年の実質労働生産性の伸びはマイナス4.2%だった。
社会扶助では、低所得世帯手当(LIFA)のカバー率が2022年の26.1%から2025年の7.8%へ下がった。社会扶助(LIFA、奨学金、住宅・被服手当)が貧困率に与えた変化は、2022〜23年のマイナス0.2ポイント(貧困率を下げる向き)から、2023〜25年はプラス0.7ポイント(貧困率を上げる向き)へ転じたとする。2024年にはLIFA給付の40%が所得の上位60%の世帯に渡っていたと推計する。
就業していない25〜54歳の成人のうち、貧困層・脆弱層の世帯では92%が女性で、その約85%が育児・家事を理由に挙げた。0〜2歳の子を持つ女性は、子のいない女性より就業する確率が36%低い。就業していても男女の賃金差は分野や技能水準を問わず35〜40%残り、世界平均の約20%を上回る。
世界銀行が挙げる政策の柱は、基礎学力と技能の底上げおよび立ち遅れた地域と成長拠点の接続、育児負担の軽減を含む女性の経済参加、そしてLIFAの捕捉精度を高めたうえでカバー率を2022〜23年の水準へ戻し、対象を絞らないエネルギー・公共料金の補助を減らすことの3つである。
