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中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道(CKU鉄道)とは

中国とウズベキスタンをキルギスの山中で結ぶCKU鉄道について、経路と規模、30年動かなかった合意が成立するまで、軌間の壁と積替駅マクマル、資金の組み立てと工事の進み方を整理する。

CKU鉄道は、中国西部のカシュガルからキルギスの天山山脈を越え、ウズベキスタンのアンディジャン方面へ抜ける新設の鉄道である。構想は1990年代からあったが、経路、軌間、費用の負担、キルギスにとっての採算をめぐる議論が続き、30年近く着工に至らなかった。2024年12月に起工式が行われ、工事の段階に入った。

押さえておくと発表が読みやすくなるのが、事業の分担である。3か国が出資して作った事業会社が担うのは、キルギス領内の区間の資金調達・設計・建設・運営・保守であり、中国側とウズベキスタン側の区間はそれぞれの国が整備する。したがって「全体の延長」や「総事業費」として流通する数字と、キルギスの事業主体が公表する数字は、そもそも対象が違う。

正式名中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道(CKU鉄道)
経路中国・カシュガル → トルガルト → アルパ → コシュ・ドボ → マクマル → ジャララバード → ウズベキスタン・アンディジャン
キルギス区間304.94キロ。駅20か所、橋48、トンネル27。橋とトンネルの合計延長は119.69キロで、区間全体の39.3%にあたる
長大トンネル延長12キロ超が3本。ナルイン1号(ナルイン州アクタラ地区)、コシュ・ドボ(同地区とジャララバード州トグズトロ地区)、フェルガナ(同州トグズトロ地区とスザク地区)
設計速度時速120キロ
積替駅マクマル(ジャララバード州)
事業体有限会社「鉄道会社『中国・キルギス・ウズベキスタン』」。中国国家鉄路集団、キルギス鉄道、ウズベキスタン鉄道の3社がキルギス法に基づいて設立。建設・運営・移管(BOT)方式
着工2024年12月27日、ジャララバード市トシュ・クチュ村
工期6年(長大トンネルの掘削が全体の工期を決める)
融資中国輸出入銀行と国家開発銀行を含む中国の銀行団から23億ドル。2025年12月16日にビシュケクで署名、借入人は事業会社
ウズベキスタンの出資2億5,500万ドル。復興開発基金の融資を原資に段階的に拠出(期間15年、据置7年、年利5%)
施工EPCは中国鉄路国際(China Railway International)のキルギス支店。マクマル付近などでキルギスの国有企業が下請けに入る

何を作るのか

キルギス鉄道が公表した事業の概要によれば、キルギス領内の経路はトルガルト、アルパ、コシュ・ドボ、マクマル、ジャララバードをつなぐ304.94キロで、20の駅が置かれる。設計速度は時速120キロ。開通すれば中国から中東・欧州方面への貨物の輸送日数が7〜8日短くなり、距離は900キロ短縮されると同社は説明している。

現在、中国から中央アジアへ鉄道で貨物を運ぶには、カザフスタン領内を大きく迂回するか、道路と鉄道を組み合わせるしかない。CKUはカザフスタンを通らない対中の直行路をもう一本作る事業であり、カスピ海を渡る経路とは別の道筋になる。

キルギスにとっては、通過貨物からの収入に加えて、鉄道網のない南部に線路が入るという意味がある。ウズベキスタンにとっては、隣国もすべて内陸国という「二重内陸国」の不利を和らげる路線になる。

30年動かなかった合意が成立するまで

節目は2024年に集中している。6月6日、北京で中国政府、キルギス閣僚会議、ウズベキスタン政府の3者が、CKU鉄道の共同実施に関する協力協定に署名した。ウズベキスタンはこの協定を7月8日の大統領決定PP-247で承認し、運輸省を実施担当の権限官庁に指定している。

9月28日には事業会社である有限会社「鉄道会社『中国・キルギス・ウズベキスタン』」が発足し、10月11日にビシュケクで第1回参加者総会が開かれて取締役と執行機関の人事、2024年の投資計画が決まった。会社は3か国の鉄道当局、すなわち中国国家鉄路集団、キルギス鉄道、ウズベキスタン鉄道が設立したもので、キルギス法に基づく法人である。

12月20日、大統領府でキルギス閣僚会議と事業会社の間で投資協定が署名された。署名者はキルギスの運輸通信相アブサッタル・スィルガバエフと、事業会社の取締役会長だった。協定は設計、建設、資金調達、運営、保守を対象とする。

12月27日、ジャパロフ大統領がジャララバード市トシュ・クチュ村で起工式に臨んだ。式では中国の国家発展改革委員会主任が習近平主席の書簡を、ウズベキスタンの副首相がミルジヨエフ大統領の書簡を読み上げ、3国が30年近くかけて到達した事業だと位置づけられた。

山岳路線という現実

路線の性格を最もよく表すのが、構造物の比率である。キルギス鉄道が2025年4月に示した数字では、キルギス区間には橋48とトンネル27が置かれ、橋とトンネルの合計延長は119.69キロ、区間全体の39.3%を占める。区間の4割近くが橋かトンネルということになる。

工期を決めるのは長大トンネルである。延長12キロを超えるものが3本あり、ナルイン1号トンネル(ナルイン州アクタラ地区)、コシュ・ドボトンネル(同地区とジャララバード州トグズトロ地区にまたがる)、フェルガナトンネル(同州トグズトロ地区とスザク地区)がそれにあたる。全体の工期6年は、この3本の掘削に規定されるとされている。

主要構造物の起工は2025年4月29日、スザク地区でのフェルガナトンネルの着工式だった。掘削には発破を伴うため、安全管理と監視カメラの設置、環境規制の順守が繰り返し議題になっている。

軌間の壁と積替駅マクマル

中国の鉄道は標準軌(1,435ミリ)、旧ソ連圏は広軌(1,520ミリ)で、線路の幅が違う。この路線でも、どこかで貨物を積み替えるか台車を替える必要がある。

キルギス鉄道は、マクマルに「積替駅」を置くと説明している。荷役と保管の設備、引込線、機械の置き場、整備場を備える計画で、同社は事業の要となる施設だと位置づけている。積み替えが要るということは、この地点で軌間が変わる設計だということである。区間ごとにどちらの軌間を敷くのかという内訳は、事業主体からは公表されていない。

マクマルは国内の鉄道網にとっても結節点になる。2026年7月に開通したバルクチ〜コチコル線を、コチコルからカラケチェを経てマクマルまで延ばし、そこでCKU鉄道に接続するというのがキルギスの構想で、実現すれば北部と南部に分かれている国内の鉄道が一本につながる。

資金の組み立て

公表されている資金には二つの柱がある。一つは融資で、2025年12月16日にビシュケクで、事業会社と中国輸出入銀行・国家開発銀行を含む中国の銀行団との間で23億ドルの借入契約が署名された。借入人は事業会社である。

もう一つは出資である。ウズベキスタンの拠出分は2億5,500万ドルで、復興開発基金がウズベキスタン鉄道に段階的に融資する形をとる(2024年分は1,400万ドル、期間15年、据置7年、年利5%)。この枠組みは大統領決定PP-247に書かれている。

総事業費は約47億ドルという数字が各国の報道で繰り返し引用されるが、3か国の事業主体はその内訳を公表していない。返済を負うのは事業会社であるため、想定した通過貨物が集まるかどうかが返済計画の前提になる。キルギス側で採算をめぐる議論が続いてきたのはこのためである。

工事をめぐって議題になっていること

2025年12月、キルギス鉄道の総裁がマナス市でEPC請負者である中国鉄路国際のキルギス支店と協議し、キルギス法の順守、発破作業の安全、施工現場への監視カメラ設置、公用語による表示、労働安全と環境規制の順守、そして地元企業と住民の参加拡大を求めた。

2026年6月24日にビシュケクで開かれた第5回参加者総会と第5回取締役会では、2025年の実績と2026年の方針が確認されたほか、「建設における誠実性確保に関するイニシアティブ」が署名された。透明性と汚職防止をうたう文書である。同じ会議で、キルギス鉄道側から環境規律の徹底、工事現場と工事回廊沿いの標識を中国語だけでなくキルギス語でも表示すること、キルギス国民の雇用比率を段階的に引き上げることが提起されている。

工事そのものは各地で進んでいる。2025年9月にはマクマル積替駅の付近で土工が始まり、キルギスの国有企業が下請けとして参加した。国内企業が大型事業に加わることで技術者の経験を蓄えるという狙いが、同社の説明では強調されている。

読むときの注意

第一に、規模の数字は改定される。2024年12月に公表された事業概要は駅20、橋42、トンネル25としていたが、2025年4月の発表では橋48、トンネル27に変わっている。設計が進めば構造物の数は動く。

第二に、総事業費と軌間の内訳は公表されていない。金額として公式に確認できるのは、23億ドルの融資契約とウズベキスタンの2億5,500万ドルの拠出である。

第三に、3か国が別々に発表する。キルギス区間は事業会社とキルギス鉄道、中国側は中国の関係機関、ウズベキスタン側はウズベキスタンの機関がそれぞれ公表するため、「全体の進捗」としてまとめられた数字は出所を確かめる必要がある。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年9月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。

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