週間まとめ

先週の中央アジア・コーカサス:EBRDがウズベキスタンの2026年成長率予測を7.5%へ上方修正、シルダリヤ州の新設火力で1,600メガワットが緊急停止(9月21日〜27日)

EBRDが9月24日に公表した地域経済見通しで、中央アジア・コーカサス8か国のうち6月版から予測が動いたのはウズベキスタン(2026年を7.5%へ)とジョージア(6.5%へ)の2か国だけだった。25日にはシルダリヤ州の試運転中の火力発電所で1,600メガワットが緊急停止したとウズベキスタン・エネルギー省が発表した。カザフスタンでも合計962メガワットの負荷が遮断されたと、KursivがKEGOCのデータとして伝えている。ウズベキスタン大統領府はカラカルパクスタンとアンディジャンの事業を相次いで公表し、カザフスタンの銀行部門の1〜8月の純利益は13.6%減った。

資料写真:カスピ海/Interfase(Public domain)出典
この記事が扱う国。国境は Natural Earth(パブリックドメイン)。点は本文に出てくる場所(シルダリヤ州、カラカルパクスタン、アンディジャン、アルマトイ、アラル海)。

欧州復興開発銀行(EBRD)は9月24日、地域経済見通し「Regional Economic Prospects」の2026年9月版(題名「Running dry」)を公表した。中央アジア・コーカサスの8か国のうち、6月版から予測が動いたのはウズベキスタンとジョージアの2か国だけである。ウズベキスタンの2026年が1.0ポイント上方修正されて7.5%、ジョージアは2026年・2027年がともに0.5ポイント上方修正されて6.5%・5.5%となり、EBRDは理由をウズベキスタンは内需の強さ、ジョージアは成長の裾野の広さに求めている。カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、アルメニア、アゼルバイジャンの6か国は、2026年・2027年とも6月版の予測から据え置かれた。対象地域全体の2026年は2.5%で6月版から0.6ポイントの下方修正だが、改定の大半はイラクの深い景気後退とその後の反発によるもので、イラクを除くと下方修正は0.1ポイントにとどまる。実績値は表と報告書本文で期間の取り方が違うところがあり、キルギスは表の2026年上期が11.9%、報告書本文の1〜7月が11.1%である。トルクメニスタンの上期6.3%は、EBRDが「公式」と明記した政府公表値である。報告書はアルメニアの政策金利を「夏の間6.5%で据え置かれた」と記すが、同国の中央銀行はその後9月15日に0.25ポイント引き上げて6.75%とした。

ウズベキスタン・エネルギー省は9月25日、シルダリヤ州にあるEDF社の新しい火力発電所で同日05時05分(現地時間)に1,600メガワットの出力が緊急停止したと発表した。試運転と調整の作業が続く発電所で、事故時の自動装置が作動し、主に農業用の揚水ポンプと家庭の需要家で電力供給が一時的に途切れたが、発表の時点で全需要家が系統に再接続されたとしている。復旧の時刻も事故の原因も書かれておらず、カザフスタンへの言及もない。そのカザフスタン側の数字は、経済紙Kursivが系統運用会社KEGOCのデータとして伝えたもので、05時02分にウズベキスタンの系統で1,516メガワットの発電が失われ、カザフスタン国内の南北を結ぶ連系が予期せず分離して合計962メガワットの負荷が遮断され、05時43分に同国南部の系統と中央アジア統一電力系統の並列運転が全面的に復旧したとする。エネルギー省の1,600メガワットとKEGOCの1,516メガワットは別の主体による別の計測で、前者は発電所で停止した出力、後者はウズベキスタンの系統で失われた発電を指しており、幅や範囲として扱える数字ではない。9月25日時点で、KEGOC自身の報道発表にこの事故は載っていない。域内では8月14日にもアルマトイで大規模な停電が起きているが、今回はそれとは別の事故である。

ウズベキスタン大統領府は9月19日、ヌクスで開かれたカラカルパクスタン共和国の会議として、2030年までに合計3,300メガワットの風力発電所と400メガワットの蓄電設備をつくり、「グリーン」エネルギーの比率を76%に高める計画を公表した。人工知能とデータセンターのために設けられた特別区域では6事業・総額80億ドルが実施されるとしたが、事業の名も相手先も金額の内訳も示されていない。80億ドルは前日に着工が公表された47事業・総額70億ドルを上回るものの、実施主体も時期も、既に公表済みの事業が含まれるかどうかも書かれていない。現状は、近年に860メガワットの新しい発電設備が稼働し、「グリーン」エネルギーの比率が23%、発電量が4倍の53億3,000万キロワット時になったとするが、比較の基準年も、比率の分母が発電量か設備容量かも書かれていない。2月20日と9月18日の同共和国に関する発表に無かった項目としてカーボンクレジットが加わり、「グリーン」エネルギーの転換で年5,000万〜1億ドルの収入を得られる可能性があるとして、1か月以内に仕組みを立ち上げることが課題とされた。

3日後の9月22日には、エネルギー分野の投資事業を組成し実施する仕組みを根本から変える提案がミルジヨエフ大統領への説明で示されたと公表した。将来の需要を先に確定し、用地、系統への接続点、技術的解決策をあらかじめ定めた事業を組成したうえで、投資家を公開の競争による選定で決めるというもので、経済財務省が需要予測、エネルギー省が戦略計画と技術政策、エネルギー市場発展規制庁が市場関係と料金を担う分担も示された。これは提案と指示の段階である。発表は大統領令や政府決定に触れておらず、どの事業にどのような手続きで適用するかも、法令上の施行の時期も、会合の日付も書かれていない。示された計画値は、発電設備容量が2030年に46.1ギガワット・2035年に57.2ギガワット、年間発電量が2030年に約1,290億キロワット時・2035年に1,547億キロワット時で、現状は太陽光・風力の合計出力が6.3ギガワット超、蓄電事業が26事業・合計4.2ギガワット(うち17事業が実施段階)とされた。

翌23日には、アンディジャン州で206事業・総額94億ドルが式典に並んだと公表した。うち98事業・20億5,000万ドルが稼働に入り、108事業・73億5,000万ドルで建設が始まったとした。雇用4万5,000人超、年産60.6兆スムという数字も挙げたが、実績ではなく完成後の見込みである。集計の発表は分野と事業の種類を並べるだけで、企業名も事業ごとの金額も一つも書いておらず、94億ドルが投資額か事業費かの区別も、外国からの投資と国内の投資の別も、何年分かも示していない。額が分かるのは同じ23日の個別の発表14本で、米ドルで示したのは6件、スムで示したのは7件、額の無いものが1件だった。ドル建ての6件を足すと4億200万ドル(本サイトによる合算)で、この6件で最も大きいのはアンディジャン・テクノパークの3億ドルである。5日前のカラカルパクスタンの式典では集計の発表自体が9件の金額を示していたが、今回は1件もない。並んだ事業のうち廃棄物の熱処理による発電設備は、9月10日に大統領府が公表した6事業の一つで、アンディジャン州の事業は投資家がChina CAMC Engineering、直接投資が1億1,000万ドル、稼働は2027年の予定と、企業名も額も稼働年も公表済みだった。視察した国際空港の新ターミナルは、本サイトが8月19日に伝えた事業と同じである。

同じウズベキスタンで、取引所で売買される液化ガス(LPG)の価格に設けられていた上昇限度が撤廃された。根拠は9月12日に署名され、15日に公布・施行された大統領決定PQ-326で、取引所を通じて売却する価格の、取引に出す際の価格に対する上昇限度(スプレッド)の設定を廃止すると明記している。ウズベキスタン共和国商品原料取引所が公表する日次平均価格は、施行の翌日16日の1トン741万2,200スムから、施行の2日後の17日に前営業日比60.6%高の1,190万4,900スムへ跳ねた。18日は2.6%高の1,221万7,000スムをつけ、21日から3営業日続けて下がって23日は1,159万8,300スム、16日と比べて56.5%高い水準だった(16日比は本サイトの計算値)。出来高は16日の666.0トンから23日は1,784.0トンに増えている。決定の第3項(b)に上昇限度の撤廃を適用する日は書かれておらず、日次表にも価格が動いた理由の説明は付いていない。決定はこのほか、11月1日から新設のLPG-Trade社が取引所で液化ガスを買い付けて住民に供給する仕組みを導入すると定め、10月1日からアンディジャン州で事業者が輸入した液化ガスを家庭用ボンベにより自由価格で消費者へ直接届ける実証事業の提案に同意している。

世界銀行は9月18日、ウズベキスタンの貧困・公平性評価「Rising to Prosperity: Broadening Opportunities for All」を公開した。家計予算調査をもとに世界銀行の職員が計算した階層区分で、中間層の人口比は2021年の37%から2025年に72%超へ上がり、脆弱層は45.7%から22.1%へ下がった。土台となる貧困率の系列そのものは新しい数字ではなく、2025年の5.8%と貧困人口220万人は2026年1月2日に同国の国営系メディアが報じている。新しいのは世界銀行自身の分析で、中間層の拡大の偏りを指摘する。タシケント市の中間層比率は2021年の59%から2025年に94%へ上がり、上位中間層は2025年に首都の人口の7割超を占める一方、他の地域では35%未満にとどまる。所得下位20%の男性の賃金雇用率は2022年の18%から2025年の46%へ上がったが、増えた雇用が集中した建設、卸小売サービス、製造業の3部門では新規雇用の84%が非正規だった。中央銀行が9月19日に公表した8月の調査では、住民の今後12か月のインフレ期待が加重平均9.8%、事業者が9.6%とともに前月から下がった。中央値はともに8%、住民の体感インフレは平均値10.1%だった。

カザフスタンでは国立銀行が9月18日、商業銀行(第二層銀行)の合算の損益計算書を公表した。2026年1〜8月の純利益は1兆6,099億テンゲで、前年同期から2,541億テンゲ(13.6%)減った。利息収入は16.1%増えたが利息費用が30.7%増え、差し引きの純金利収入は2兆8,149億テンゲと0.4%減でほぼ横ばいだった。純利益の減少額2,541億テンゲに対し、純金利収入の減少は126億テンゲにとどまる。引当金の繰入から戻入を引いた額が1,197億テンゲ増え、純手数料収入が1,090億テンゲ減り、人件費と一般管理費が合わせて1,164億テンゲ増えた。国立銀行は表に増減の理由を付けていない。同行のモルダベコワ副総裁は、9月21日に公表された経済メディアKapital.kzのインタビューで、外貨預金の金利の段階的な自由化に着手できるとし、変更は今年10月からの導入を予定していると述べた。何を、どこまで、どの預金から緩めるのかは示されておらず、国立銀行は9月22日時点でこの件をプレスリリースとして出していない。現行では預金保証基金(KDIF)が新規の個人の固定金利の外貨預金に上限金利を定めており、9月22日時点で全区分1.0%だが、副総裁は自由化がこの上限に及ぶかどうかに触れていない。

資源では、エネルギー省が炭化水素の地下資源利用権を与える電子オークションを公告し、56区画を12月25日に出品すると国営通信カズインフォルムが9月21日に省の発表として伝えた。参加の申請は11月18日まで受け付ける。ただし出品には再出品が含まれる。経済紙Kursivが4月30日に省の公告文書として報じた30区画の一覧には、ウストゥルト4号が面積も署名ボーナスも今回と同じ条件で入り、チュベジク(カラクム)も同じ面積で載っていた(署名ボーナスの開始額は1億2,780万テンゲから1億1,892万テンゲへ下がった)。Kursivは8月5日、省が先に電子オークションに出した30区画について、参加の申請が9区画分しか出されなかったと伝えている。同じ21日、国営原子力企業カザトムプロムは、ロシア政府が9月12日付の決定第1158号で定めた硫酸の一時的な輸出制限について、現時点で得ている情報に基づけば輸出を禁止するものではなく、輸出量の承認手続きを改めるものだと説明した。2026年12月31日まで、硫酸のロシア国外への輸出は首相、第一副首相または担当の副首相の決定によって行うとされる。ロシアの供給者は2026年分の既存の契約上の義務を履行する用意があると確認し、輸出の許可に必要な書類を当局へ出していると同社に伝えたという。同社の鉱山はすべて地下浸出法で操業し、採掘に硫酸を使う。措置が操業と2026年の生産見通しに重大な影響を与えるとは見込んでいないとの一文は、英語版の発表にだけあり、露語版とカザフ語版にはない。

カザフスタンの金生産会社ソリッドコア・リソーシズは9月23日、カナダの探査会社、日本ゴールドと日本国内の5つの探査区域を対象とする探査提携を結んだと発表した。3年間の探査プログラムの費用カナダドル3,500万(米ドル2,500万)を全額負担すると確約し、完了時に探査結果に応じて自社の裁量で選んだ1つ以上の区域で49%の権益を得る。その後、区域ごとに予備的実現可能性調査を単独で資金拠出すれば70%、実現可能性調査も出せば80%まで取得できる。対象は北海道の白龍・Ryuo・愛別と九州の馬上・溝辺で、いずれも過去に稼働した鉱山の近くにある。提携にあわせ、私募で日本ゴールドの7,877万5,000ユニットを総額カナダドル945万3,000(米ドル685万)で引き受け、持ち分は非希薄化ベースで18.81%となって取締役2名を指名した。同社は9月8日に最大12億米ドルの株式買付を提案しており、実施は9月30日の株主総会の承認が前提だが、今回の発表に買付との関連づけは書かれていない。

ジョージア国家統計局は9月21日、1〜8月の貿易統計(暫定値)を公表した。物品貿易総額は前年同期比8.4%増の179億2,690万ドル、輸出は22.1%増の54億2,250万ドル、輸入は3.4%増の125億440万ドルで、貿易赤字は70億8,180万ドル、貿易総額に占める比率は前年同期の46.3%から39.5%へ下がった。8月単月は輸出が前年同月比24.7%増、輸入が4.3%増である。輸出の最大品目の乗用車は22.0%減の13億4,770万ドルで構成比が38.9%から24.9%へ下がり、石油・石油製品は前年同期の5,900万ドルから6億8,890万ドルへ増えた。輸出先の首位はキルギス(38.8%減)で、中国(177.3%増)、ロシア(4.1%増)が続く。同じ日に公表された集計では、国内産品の輸出(再輸出を除く)が63.5%増の32億8,660万ドルで、輸出全体の60.6%を占めた。品目別の首位は石油・石油製品の6億4,913万ドルで、発表の表から計算すると、その増加額6億3,452万ドルは国内産品の輸出の増加額12億7,691万ドルのおよそ半分にあたる。再輸出を含む集計で最大品目だった乗用車は、国内産品の輸出では上位10品目に入っていない。数値は暫定値で、輸入は前月までの値も改定されている。

アゼルバイジャンでは、銅・金・銀を生産するアングロ・アジアン・マイニング(ロンドン証券取引所AIM上場)が9月21日に2026年上期の未監査の中間決算を発表した。売上高は1億4,120万ドル(前年同期4,090万ドル)、税引前利益は6,850万ドル(同710万ドル)で、同社によればギラルとデミルリの2鉱山が期を通して生産した初めての半期だった。中間配当は1株6米セント(総額690万ドル)である。金の通期生産見通しは2万8,000〜3万3,000オンスから2万6,000〜3万オンスへ引き下げ、理由をギラル鉱山の鉱石に含まれる含金鉱物のばらつきと、上期の金の回収率が想定を下回ったことに求めた。銅の全維持コスト(AISC)の見通しも1トン6,800〜7,800ドルから6,000〜7,000ドルへ下げたが、2月の見通しと違い、リース料の扱いも算出に使う生産量も示されていない。閣僚内閣は9月22日、銅製のねじ、ボルトおよびナット(HS 7415 33 000 0)の輸出関税を1,000キログラムあたり15ドルから300ドルへ引き上げる決定第311号を採択した。2029年12月31日までの時限措置で、書き換えたのはこの1行だけであり、同じ欄に並ぶ従価15%(輸入関税)は変えていない。

今後の予定では、カザフスタンの炭化水素の電子オークションが、24区画の入札を11月18日(申請の締切は10月5日)、56区画の入札を12月25日(申請の締切は11月18日)に行う。アングロ・アジアンの中間配当は11月5日に権利落ち、11月6日を基準日として11月26日に支払われる。日本ゴールドでは、ロイヤルティ保有者のOR Royaltiesが全資産のロイヤルティを1.5%から2%に引き上げる権利を行使する取引のクロージングが11月4日までの見込みで、ソリッドコアの株式買付は、9月30日の臨時株主総会の承認を前提としていた。アゼルバイジャンの銅製ねじ・ボルト・ナットの輸出関税は、法令データベースの登録情報で効力発生日が10月23日と記録されている(同じデータベースの統合本文には、この品目の行に10月22日との記載もある)。ウズベキスタンでは、液化ガスの自由価格による直接供給の実証事業をアンディジャン州で10月1日から始めることに決定が同意しており、LPG-Trade社による買い付けと住民への供給は11月1日からとされている。カラカルパクスタンのカーボンクレジットは1か月以内に仕組みを立ち上げ、年内にアラル海地域の5万ヘクタールで森林の計画を始めるとされた。カザフスタンの外貨預金金利の自由化について、国立銀行の発表は9月22日時点で出ていない。

この記事の日付 2026年9月28日 は、出典が発表された日です。

本サイトでの初出 2026年10月1日 23:11

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