解説 · 2026年8月時点
キルギス国家統計委員会は、キルギスの公式統計を作成・公表する国の機関である。「国家(national)」の地位を持つ公式統計の所管官庁であり、国内の統計システム全体における公式統計の開発・作成・普及の調整を担う。GDP、消費者物価、対外貿易、農業生産、賃金、最低生活費といったキルギス経済の基本的な数字は、この機関の公表による。
ドメインはstat.kgとstat.gov.kgの両方が使われており、前者は後者へ転送される。
| 正式名 | National Statistical Committee of the Kyrgyz Republic(Улуттук статистика комитети、略称ウルトスタトコム) |
|---|---|
| 根拠法 | 2019年7月8日の公式統計に関する法律第82号(2023年2月1日法第21号で改正) |
| 組織規程 | 2020年9月22日の大統領令第178号で承認 |
| 位置づけ | 専門的に独立した機関として、大統領に直接報告する |
| 所在地 | ビシュケク市フルンゼ通り374番地 |
| 下部機関 | 中央機構、7州+ビシュケク・オシュ両市の地域統計局、主計算センター、統計研究・研修所 |
| 主な公表物 | 「キルギス共和国の社会経済情勢」(月次)、消費者物価、対外貿易、GDP、農業、投資、賃金、最低生活費 |
| 言語 | キルギス語・ロシア語・英語 |
沿革
同委員会の説明によれば、起点は1926年4月29日のカラ・キルギス州革命委員会決定で設けられた統計委員会である。1927年10月にキルギスASSR人民委員会議のもとに中央統計局が設置され、1930年にソ連中央執行委員会・人民委員会議の決定で統計機関は独立した官庁として廃止されてゴスプランに移された。
1936年にキルギスSSRゴスプランのもとに国民経済計算管理局が置かれ、1941年4月7日に中央統計局へ改称、1948年8月10日のソ連閣僚会議決定でゴスプランから分離して閣僚会議直属の中央統計局となった。1987年に国家統計委員会(ゴスコムスタト)へ改組されている。
独立後の転機は1994年で、国家統計委員会が政府の構成から外れ、5月30日の大統領令「キルギス共和国国家統計委員会について」により国家統計委員会の地位が与えられた。同委員会は、統計サービスが独立の地位を得たのは独立国家共同体(CIS)諸国のなかでキルギスが最初だったと説明している。
現行の法的枠組みは2019年7月8日の公式統計に関する法律第82号(2023年2月1日法第21号で改正)で、組織規程は2020年9月22日の大統領令第178号により承認されている。
組織と独立性
規程は、同委員会を「専門的に独立した機関」と定め、公式統計法第5条の原則に反する任務を課すことはできないと明記している。報告先は大統領で、活動資金は国家予算などから賄われる。
組織は中央機構、地域の統計局、そして下部組織である主計算センターと統計研究・研修所からなる。地域機構は7州(バトケン、ジャララバード、イシククル、ナルイン、オシュ、タラス、チュイ)の州統計局と、ビシュケク市・オシュ市の市統計局である。
2024年10月時点の公式サイトの掲載によれば、委員長はバクティベク・クダイベルゲノフである。
何を公表しているか
統計は分野別に整理されており、農業、建設、犯罪、流通・サービス、教育・文化、雇用、環境、対外貿易、財政、保健、住宅ストック、情報通信技術、投資、生活水準、製造業、国民経済計算、人口、価格と料金、中小企業、観光、運輸・通信、賃金が並ぶ。ジェンダー統計、地域統計、持続可能な開発目標の指標、国際指数の一覧も別に置かれている。
定期刊行物の中心は月次の「キルギス共和国の社会経済情勢」で、主要指標を月ごとにまとめる。ほかに統計年鑑「数字で見るキルギスタン」、価格統計集、中小企業統計集などがある。日次の消費者価格、平均賃金、最低生活費のページも設けられている。
公表の性格として押さえておきたいのは、同委員会が国際通貨基金の特別データ公表基準に関するページを持ち、公表カレンダー(利用者カレンダー)、統計プログラム、方法論指針、分類を公開していることである。統計の定義や作成方法を確認したい場合はこれらの資料に当たることになる。
同委員会は、公式統計とそのメタデータを利用する者に対し、公式統計法第30条に基づき出典の明示を求めている。
報道向けの窓口としてプレスセンターがあり、プレスリリース、記者会見、インフォグラフィック、動画資料、プレスクラブのページが置かれている。統計に関する解説や調査事業の説明もここから辿れる。
公表の運用
同委員会は、統計プログラム(年次)と中期の公式統計発展プログラムを公開しており、その年にどの統計を作成するかがあらかじめ分かるようになっている。2022年から2026年を対象とする中期プログラムと、2026年の統計プログラムがサイトに掲載されている。
普及の方針も文書化されており、公式統計情報の普及方針と2024年から2028年までのコミュニケーション戦略が公開されている。ニュース、プレスリリース、速報情報はメール購読でも配信される。
オープンデータのページ、分類(クラシファイヤー)、統計用語辞典、統計報告様式も公開されている。統計の作り方まで確認したい場合は、方法論指針のページにあたることになる。
利用者向けの日次データとして消費者物価の平均価格、平均賃金、設定された最低生活費が掲載されており、月次刊行物より速く動く数字を確認できる。
利用上の注意
キルギスの統計は、独立国家共同体(CIS)諸国およびユーラシア経済連合の枠組みでも集計されており、同委員会はユーラシア経済連合向けの統計ページを別に持っている。同じ指標でも集計主体によって定義が異なることがある。
サイトはキルギス語・ロシア語・英語の3言語だが、英語版のページはメニューが英語でも本文がロシア語のままのものがある。原資料に当たるときはロシア語版が最も情報量が多い。
参考資料
- National Statistical Committee of the Kyrgyz Republic(公式サイト) ↗
- Regulation on the National Statistical Committee of the Kyrgyz Republic(2020年9月22日大統領令第178号、PDF) ↗
- Law of the Kyrgyz Republic on official statistics(2019年7月8日法第82号、PDF) ↗
- History of statistics — 国家統計委員会 ↗
- The legal framework of the official statistics — 国家統計委員会 ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。