世界銀行は10月6日、地域経済報告「欧州・中央アジア経済アップデート」の2026年10月版を公表し、報告書の区分による中央アジアの2026年の成長率を5.8%と見込んだ。報告書の「中央アジア」はカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5か国だが、成長率の表にトルクメニスタンの行は無い。キルギスは9.6%で地域で最も高く、4月版から3.5ポイントの上方修正となった。世界銀行は理由に民間消費の強さと輸送・エネルギーの公共投資の増加を挙げ、カンバラタ1水力発電所と中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道の準備工事が建設を押し上げたとする。ウズベキスタンは1.5ポイント上方修正の7.9%で、実質賃金の伸び、雇用の増加、堅調な海外送金、投資が内需を支えたとし、上期の送金はドル建てで過去最高の92億ドル(13%増)だったという。カザフスタンは2025年の6.5%から4.6%に減速し、カスピ・パイプライン・コンソーシアム(CPC)の輸出経路の混乱と主要油田の保守・計画外の停止で、1〜8月の原油生産が前年同期比8.4%減ったことを理由とした。タジキスタンは7.5%。南コーカサスは3.5%で、アルメニアが5.6%、アゼルバイジャンが1.2%、ジョージアが7.0%と見込まれた。9月24日のEBRDの見通しと比べると、2026年はキルギス、ウズベキスタン、ジョージアで世界銀行のほうが高く、アゼルバイジャンとタジキスタンでは低い。ただしEBRDの「中央アジア」はモンゴルを含む6経済なので、地域の集計値どうしは比べられない。報告書の特集はAIで、補助金を除いた費用回収水準の電気料金だけで比べるとキルギスの計算が世界で最も安いとした一方、資本コストを含めると上位20か国からほぼすべての途上国が外れるとも書いている。
キルギス内閣は10月5日、ムーディーズがキルギスのソブリン格付けをB3からB2へ1段階引き上げ、見通しを「安定的」としたと発表した。国営通信カバルが伝えた内閣の発表によると、ムーディーズは経済成長の継続と多角化、1人あたりGDPの増加、大規模なインフラ投資、公的財政の強化を挙げた。カバルが2025年7月15日に経済商業省の発表として伝えたところでは、ムーディーズはこのとき見通しを「安定的」から「ポジティブ」へ改め、B3を据え置いていた。
同じキルギスで、水資源・農業・加工産業省は10月8日と9日、白糖の輸入を6か月、リンゴの輸入を2027年2月1日まで一時禁止する内閣決議の案を法令案の公開協議ポータルに掲載した。いずれも協議中の案で、内閣はまだ決定していない。両案は第三国とEAEU加盟国の両方からの輸入を禁止すると明記しており、9月に決まった建材の輸入禁止(決議No.614)がEAEU加盟国の領域からの搬入を対象外にしているのと異なる。砂糖の案の説明資料によると、粗糖を含む1701項全体の1〜7月の輸入量は6万6,939.2トンで、前年同期の4.06倍だった。同省は9月23日時点で、ロシアのクラスノダールの卸値に為替と輸送を織り込んだビシケクまでの供給の目安を1kgあたり約51ソムとし、国内生産の損益分岐点の約60.38ソムを下回るとしている。リンゴの輸入は2025年が2,960.36トン、2026年1〜8月が6,438.9トンだった。9月29日にはジャガイモの輸入を6か月禁止する案も出ており、9月30日に経済商業省が出した決議No.614の改正案は、ガラスとタイルの対象を細目と寸法で特定し直す。
ウズベキスタン大統領府は10月5日、ミルジヨエフ大統領が石油ガス部門の大型事業の説明を受けたと公表した。フェルガナ製油所の稼働率を年末までに40%から65%へ上げる計画、幹線ガスパイプラインの新設と圧縮機場の近代化で天然ガスを年に最大1億2,500万立方メートル節約できる見通し(ウズベク語版は「最大」に当たる語を置いていない)、年初から5つの新しいガス田が見つかったことを示した。製油所の処理能力、節約量の事業ごとの内訳と事業費、ガス田の名前と埋蔵量は書かれておらず、田の種類は英語版だけが「ガス・コンデンセート田」としている。発表は借入の条件の見直しで利払いが減ったとしながら金額を示していなかったが、翌6日に国営石油ガス会社ウズベクネフチガスが、政府保証付きの借入11億ドルの借り換えに取り組んでいると発表した。以前に調達した2億6,000万ドルを変動5%から固定3.75%へ、Uzbekistan GTL事業の借入(元本8億4,000万ドル)を変動の平均7.7%から4年の固定3.8%へ替える2つの枠組みで、効果は合計6,500万ドルを見込む。ただし6,500万ドルは借り換えを実行した場合の見込みで、2つの枠組みの効果はいずれも「最大」の額であり、何年分の節約かは書かれていない。第2の枠組みは国際的な銀行と交渉して条件を選んだ段階で、貸し手の銀行名は示されていない。同社によると、2026年の9か月で3億8,400万ドルの借入をすでに借り換えている。
大統領府は6日、秋冬期の困窮世帯の支援についての説明として、ガスが供給されていない地域で暖房期の電気の基礎消費量を200kWhから350kWhへ引き上げる提案が承認されたとも公表した。基礎消費量は、その範囲内の消費と超えた消費とで料金を分ける量で、内閣決定第204号の附属書が地域や季節の区別なく電気を月200kWhと定めている。発表で「承認」とされたのはこの1項目だけで、法令の番号も施行日も、暖房期がどの月を指すかも書かれていない。社会登録簿に入っていない困窮世帯の補償の所得基準を世帯員1人あたり143万スムへ上げる案(対象が16万6,000世帯増える)は審議の段階、基礎消費量を超えた分の補償の期限を2027年4月1日から2028年4月1日へ延ばす案は提案の段階である。143万スムは、統計委員会が3月に公表した2026年の最低消費支出(1人あたり月71万5,000スム)の2倍に当たる(計算値)。
ウズベキスタン国家統計委員会が10月5日に公表した9月の消費者物価は前年同月比6.4%で、8月の6.2%から0.2ポイント上がった。前月比は0.7%。月次の上昇0.73ポイントのうち、食品・非アルコール飲料が0.40ポイント、教育と運輸が合わせて0.19ポイント(うち教育0.14ポイント)を占め、教育では国立の就学前施設の利用料が平均6.8%、国立大学の授業料が新学年から平均6.3%上がった。サービスの前月比は8月の0.1%から0.9%に高まった。
制度では、ミルジヨエフ大統領が9月29日に署名した大学のデュアル教育に関する大統領令UP-209が、法令データベースによれば10月2日に効力を生じた。工学、製造と加工、建築と建設、農業の4分野でデュアル教育を受ける学生1人ごとに企業が払った賃金の50%を学年末に国家予算から補助し、受け入れた学生の数に応じて国の調達の入札評価で5〜15%の優遇を与え、発注企業が大学の敷地に設ける実習拠点のための輸入設備の関税率を2030年1月1日まで1%とする。財政支援の適用は2027年1月1日からで、補助の総額の見積もりは書かれていない。大枠は大統領府が9月28日に大統領への説明の内容として公表しており、大統領令で新たに確定したのは優遇の段階ごとの数字や期限などである。9月28日の発表は調達の優遇を「25人を超える学生を受け入れる企業」に適用するとしていたが、大統領令は25人までの企業にも5%の優遇を定めた。附属3は2027/2028学年度の予測値として27の高等教育機関で計6,735人を挙げ、9月28日の発表の1万2,500人との対象の範囲の違いは説明されていない。
ウズベキスタン中央銀行の理事会決定(9月15日付、第24/5号)は10月9日に司法省に登録され、同日に法令データベースで公布された。銀行が貸付の返済や保証の支払いを顧客の指図なしに引き落とすとき、顧客のすべてのカード口座に最低賃金の半額にあたる資金を残さずに引き落とすことを禁じる内容で、法令データベースの書誌は発効日を2027年1月10日としている。現行の最低賃金月136万スムなら半額は68万スムだが、発効時に残す額はその時点の最低賃金で決まる。残す額が口座ごとかすべてのカード口座の合計かは条文の文言から読み取れず、カード口座以外の口座については定めていない。
ユーラシア開発銀行(EDB)は10月5日、ウズベキスタンのデジタル・エコシステムのウズム(Uzum)に対する資金の規模を7,000万ドルから1億ドルへ引き上げたと発表した。7,000万ドルの融資契約は2026年5月に結ばれ、ウズベキスタンの加盟後に同行が同国で行う初の投資だった。10月の発表は増える3,000万ドル(計算値)を「資金」とだけ書き、融資か出資か、金利・期間・契約の日付を示していない。
カザフスタンでは、オマーンのハイサム国王(スルタン)の国家訪問に合わせて10月6日にアスタナで両国の文書が交換され、大統領府(アコルダ)は投資の奨励と相互保護に関する協定、航空協定など8件を挙げた。サムルク・カズナの発表によると、政府系ファンドのサムルク・カズナとオマーン投資庁(OIA)は共同の投資の仕組みの設立協定に署名し、2026年末までにアスタナ国際金融センター(AIFC)で規模1億5,000万ドルの共同投資ファンドを対等の条件で設立する計画を示した。両者は4月24日に投資協力の基本条件の協定に署名していたが、首相府はそのとき額を示していなかった。ファンドの投資の対象分野、運用の担い手、最初の案件は10月6日の発表に書かれていない。同じ日、EDBはオマーン財務省と同行がオマーンに駐在する条件に関する協定に署名したと発表し、オマーンが8番目の株主、ペルシャ湾岸から初めての加盟国になるとしたが、加盟の手続きが終わる時期は書かれていない。
カザフスタン首相府は10月8日、工業建設省と事業会社アクトベ・ステクロとの投資協定の署名を政府が承認したと公表した。アクトベ市に年2億5,600万個のガラス容器をつくる工場を建てる事業で、投資総額は600億テンゲ(10月8日の国立銀行の公定レートで換算すると約1億3,400万ドル)、2026年第4四半期に着工して2029年に稼働させ、約300人の常用雇用を見込む。販売先は最大80%を国内、残りを中央アジア諸国とする。発表が伝えるのは署名の承認までで、協定が結ばれたとは書いておらず、優遇措置の中身と資金の構成も示していない。
ジョージア国立銀行の金融安定委員会は9月30日に公表した決定で、個人向け融資の返済負担率(PTI)25%の上限がかかる所得の境目を、1,500ラリ未満から2027年2月1日に2,000ラリ未満、同年9月1日に2,500ラリ未満へ引き上げることを決めた。境目は2017年の統計をもとに定め2022年に更新したもので、委員会は、据え置けば返済能力やリスクが実質的に変わらなくても名目所得の伸びだけで借り手が上の区分(ラリ建てで50%)へ移ってしまうことを理由に挙げた。決定が触れているのは25%の上限だけで、外貨建ての20%の区分の境目も動くかは書かれておらず、改正の命令の番号も示していない。法令公報に載る規則の附属書は、10月7日時点で1,500ラリの境目のままである。
ジョージア財務省が公表した2027年度国家予算法案(第1次提出)では、資本事業の附属書に「カスピ海横断輸送回廊」の行が2億5,000万ラリで新たに載った。幹線用の電気貨物機関車45両と旅客用の電車10編成を買い、鉄道向けの変電所を建てる中身で、2030年までの事業費は8億9,000万ラリになる。附属書のこの行に融資元の名は無いが、行の名称と、電気機関車45両・変電所1か所という中身は、世界銀行が4月に作成した事業情報文書にある中間回廊の輸送力強化事業「TC-GATE」と一致する(電車10編成は同文書に無い)。アナクリア深水港の建設は2026年計画の5,000万ラリから1億2,500万ラリへ、クサニ500変電所の隣に出力200MW・容量200MWhの蓄電池を据える事業は3,500万ラリから1億2,000万ラリへ増える。説明書によれば、2027年の統合予算から資本支出に充てるのは84億3,100万ラリ超である。いずれも議会の審議前の額で、変わりうる。
アゼルバイジャン国家統計委員会は10月9日、1〜9月のGDPが1,020億4,820万マナトで、前年同期比で実質1.5%増えたと公表した。1〜8月は1.2%増だった。石油ガス部門は1.2%減で減少幅が1〜8月の0.8%から広がり、非石油ガス部門の伸びは2.1%から2.6%へ高まった。国家予算は歳入が名目0.6%増の293億1,210万マナト、歳出が名目2.8%増の253億4,820万マナトで、39億6,390万マナトの黒字だった。戦略外貨準備は9月30日時点で893億8,070万ドル(前年同期比9.7%増)で、前月の表にある9月1日時点の907億6,970万ドルから1か月で13億8,900万ドル減った計算になるが、統計委員会は前月比を示していない。1〜9月の消費者物価は前年同期比5.7%上昇した。
アルメニア原産の産品に一時的な貿易自由化措置を適用するEU規則(EU)2026/2269は、10月9日にEU官報に掲載され、翌10日に発効した。附属書Iに掲げる産品は従価税を免除し、附属書IIの農産物8品目(キュウリ・ガーキン、ブドウ、ナシ、アンズ、サクランボ、モモ、スモモ、イチゴ)は関税割当の枠内で従価税を免除する。8品目の暦年あたりの割当を合計すると2万8,750トンになり(計算値で、規則に合計の記載はない)、品目と数量は規則案から変わっていない。第7条は適用を2028年10月11日までと定め、欧州議会が9月15日に採択した文で空欄だった日付が入った。理事会の決定は9月24日である。優遇には原産地規則の遵守、EU原産品に新たな関税や数量制限を設けないこと、民主主義原則と法の支配の尊重などの条件が付き、欧州委員会は違反があれば優遇を停止できる。前文は、ロシアが2026年5月以降、アルメニアの主要輸出品の輸入と通過に大規模な措置を導入したことを背景に挙げている。
今後の予定では、キルギスの輸入禁止案の公開協議の期限が、ジャガイモで10月14日、白糖で10月23日、リンゴで10月24日である。ジョージア国立銀行の金融安定委員会の次の会合は11月25日で、PTIの境目は2027年2月1日と9月1日に段階を踏んで引き上げられる。ジョージアの2027年予算法案は議会の審議を待つ。ウズベキスタンのデュアル教育の大統領令は、高等教育・科学・イノベーション省に2か月以内に関連法令の改正案を閣僚会議へ出すよう定め、賃金の補助と調達・関税の優遇は2027年1月1日から適用される。カード口座に最低賃金の半額を残す中銀の規定は2027年1月10日に発効する。サムルク・カズナとOIAの共同ファンドは2026年末までのAIFCでの設立を計画し、アクトベのガラス容器工場は2026年第4四半期に着工する予定である。アルメニア産品へのEUの優遇は2028年10月11日まで適用される。日付が示されていないものでは、ウズベキスタンの暖房期の電気の基礎消費量の引き上げの施行日と、オマーンのEDBへの加盟手続きが終わる時期が、いずれも発表に書かれていない。
