ジョージア財務省が公表した2027年度国家予算法案(第1次提出)の資本事業の附属書に、「カスピ海横断輸送回廊」という行が新たに加わった。2027年案は2億5,000万ラリで、2025年までの実績と2026年の計画はいずれも0である。2028〜2030年の見通しを含めた事業費は8億9,000万ラリになる。法案は議会の審議前で、額は確定していない。
附属書によると、この行の中身は鉄道である。幹線用の直流電気貨物機関車45両と旅客用の電車(EMU)10編成を買い、鉄道向けの変電所を建てる。実施機関は経済持続可能発展省で、旅客列車の納入と変電所の着工は2027年から、貨物機関車の搬入は2028年から段階的に進むとしている。説明書は、国際金融機関からの借款のうち投資向けの16億7,000万ラリの主な使途に「鉄道インフラの改善 2億5,000万ラリ」を挙げるが、附属書のこの行に融資元の名は無いが、行の名称と、電気機関車45両・変電所1か所という中身は、世界銀行が4月に作成した事業情報文書にある中間回廊の輸送力強化事業「TC-GATE」(英語名はTrans-Caspian Transport Corridor - Georgia Accessibility and Transport Enhancement Project)と一致する。同文書は機関車の調達費3億5,000万ドルをADBと世界銀行が1億7,500万ドルずつ負担するとしている。電車10編成は同文書に無い。
| 事業(附属書の行) | 2026年計画 | 2027年案 | 2030年までの事業費 |
|---|---|---|---|
| カスピ海横断輸送回廊 | 0 | 250.0 | 890.0 |
| アナクリア深水港の建設 | 50.0 | 125.0 | 571.9 |
| アナクリア港への取付道路(ADB) | 45.0 | 30.0 | 442.0 |
| 陸上の送電線6件の計 | 197.0 | 199.4 | 996.5 |
| 黒海海底送電線(世界銀行) | 25.0 | 25.0 | 123.0 |
| 蓄電設備(ADB) | 35.0 | 120.0 | 235.0 |
| 住民への電気・ガス供給の改善 | 0 | 55.0 | 632.6 |
単位は100万ラリで、附属書の千ラリ単位の値を換算した。事業費は2025年までの実績と2030年までの計画・見通しの合計。陸上の送電線6件の計は各行を足した計算値である。
アナクリア深水港は、2027年案が2026年計画の2.5倍(計算値)になり、2028年と2029年も各1億2,500万ラリを見込む。附属書は防波堤の建設と浚渫の契約上の完了期限を2027年12月とし、岸壁の建設は別の調達になると書く。第1期の完成後の年間取扱能力は予備的な試算で約60万TEU(780万トン)とされる。施工の様子は8月の既報で伝えた。港への取付道路は2027年案が減るが、2028年に1億5,000万ラリ、2029年に1億7,000万ラリへ膨らむ見通しである。
エネルギーでは、説明書が送電線の建設・改修に2億2,440万ラリを充て、うち2,500万ラリは黒海海底送電線の建設に必要な地質調査のためだとしている。附属書の陸上6件の計と海底送電線の行を足すとこの額になる。陸上6件の計は2026年計画とほぼ同じだが、ヘレドゥラ〜ラジャヌリ〜オニ線は4,500万ラリから6,500万ラリへ増え、カヘティの送電網強化は3,000万ラリから940万ラリへ減る。ツハルトゥボ〜アハルツィヘ〜トルトゥム線(5,500万ラリ)は、中間的な成果としてトルコのトルトゥムへ向かう400kV線の国境までの33キロなどの着工を挙げる。
黒海海底送電線は2026年計画と同じ2,500万ラリで、2028年に6,651万9,000ラリを見込む。ジョージアの電力需要の見通しを扱った報告が欧州向けの新たな輸出経路として挙げた事業である。蓄電設備はクサニ500変電所の隣に出力200MW・容量200MWhの蓄電池を据える事業で、附属書が成果として挙げるのは施工業者との建設・据え付け契約の署名である。電気・ガス供給の改善では、2027年にガス網へ新たに6,326件の加入者をつなぐとしている。
説明書によれば、2027年の統合予算から資本支出に充てるのは84億3,100万ラリ超で、2026年の見込みを10億ラリ近く上回る。附属書を2026年計画と比べると、新設の回廊の行に加えてアナクリア深水港と蓄電設備が大きく増え、取付道路やカヘティの送電網は減った。いずれも第1次提出の額で、議会の審議を経て変わりうる。
