概況 · 2026年8月時点
ジョージアは黒海の東岸に位置し、コーカサス山脈の南麓を占める。人口は381万人(世界銀行、2024年)と小さいが、カスピ海側から黒海側へ抜ける実用的な陸路を持つことが、この国の経済的な立ち位置を決めている。アゼルバイジャン、アルメニア、ロシア、トルコと接する。
稼ぎ方は資源国型ではない。付加価値でみた産業構成は農業5.5%、工業19.6%、サービス62.0%(世界銀行、2024年)で、サービスの比重は域内で最も高い部類に入る。観光、輸送・物流、金融、近年はICTが柱で、財の輸出では自動車の再輸出、銅鉱石、フェロアロイ、ワインとミネラルウォーターが上位に来る。
インフラは域外の資本と結びついている。バクー・トビリシ・ジェイハン(BTC)原油パイプラインと南コーカサス・ガスパイプラインが領内を横切り、黒海側のポチ港はデンマークのマースク傘下APMターミナルズが運営する。建設中のアナクリア深水港が完成すれば、コーカサスに大型コンテナ船が直接寄港できるようになる。
基本情報
| 正式名称 | ジョージア(Georgia。ジョージア語ではサカルトヴェロ) |
|---|---|
| 首都 | トビリシ |
| 人口 | 381万人(世界銀行、2024年) |
| 名目GDP | 342億ドル(世界銀行、2024年) |
| 一人あたりGDP | 8,968ドル(世界銀行、2024年) |
| 実質GDP成長率 | 7.5%(2025年)(世界銀行の国別概況、2026年8月時点) |
| 消費者物価 | 前年同月比4.6%(2026年2月)。政策金利は8%(2024年5月以降据え置き。ジョージア国立銀行) |
| 通貨 | ラリ(GEL、記号 ₾) |
| 産業構成 | 農業5.5%/工業19.6%/サービス62.0%(付加価値ベース、世界銀行、2024年) |
| 主な輸出 | 自動車の再輸出、銅鉱石、フェロアロイ、ワイン・ミネラルウォーター。ほかに輸送サービスと観光 |
| 送金受取 | 対GDP11.9%(世界銀行、2024年) |
| 対内直接投資 | 16億300万ドル(純流入、国際収支ベース、世界銀行、2024年)。2025年の純流入は対GDP3.6% |
| 公的債務 | 対GDP34%(2025年末、世界銀行) |
| 加盟する主な枠組み | 世界貿易機関(WTO)、CAREC。EUとは連合協定と深化した包括的自由貿易圏(DCFTA)。ユーラシア経済連合(EAEU)には非加盟 |
回廊の西の出口
中間回廊の陸上区間は、カスピ海東岸のアクタウ港・クリク港から船でバクーへ渡り、そこからアゼルバイジャンとジョージアを抜けて黒海に出る。ジョージア鉄道は旧ソ連規格(軌間1,520ミリ)の路線網2,441キロを運営し、2025年の貨物輸送量は1,330万トンだった。
黒海側の主力はポチ港である。APMターミナルズ・ポチのコンテナ取扱量は2025年に63万6,000TEUと過去最高を記録した。より水深のあるアナクリア深水港では、ベルギーのヤン・デ・ナルが浚渫と防波堤という海側の工事を担い、第1期で年間60万TEUの能力を整えて2029年の初入港を目指している。
世界銀行グループは2026年6月、ジョージアの鉄道と道路への投資を通じて、カスピ海横断輸送回廊での同国の役割を強化する支援を発表した。
銀行が外から見える国
ジョージアの二大銀行は、いずれもロンドン証券取引所に上場する持株会社の傘下にある。バンク・オブ・ジョージアを中核とするライオン・ファイナンス・グループと、TBCバンク・グループである。ロンドン市場の開示基準で定期的に財務が公表されるため、この地域の銀行としては例外的に外部から中身を追える。
金融部門の指標は落ち着いている。不良債権比率は2.5%、自己資本利益率は22%、総資産利益率は3.9%(いずれも2026年2月末、世界銀行の国別概況)。銀行系の投資銀行ゴールト・アンド・タガートが公表する調査レポートは、英語で読めるコーカサス経済の分析としては最も充実した部類に入る。
足元の景気
2025年の実質GDPは7.5%増で、個人消費(8.2%増)が主な牽引役だった。実質賃金が11.5%、与信が実質10.1%伸びたことが背景にある。供給側ではICT、教育、商業が伸びを支えた。
経常収支の赤字は2024年の対GDP4.6%から2025年に2.6%へ縮んだ。サービス輸出が7%、送金が5.0%増え、観光収入も6%伸びている。財の輸出は12.1%増だが、その多くは自動車の再輸出によるものである。
財政赤字は対GDP1.7%、公的債務は2025年末に34%まで下がった。インフレは食品価格の上昇で2026年2月に4.6%へ上がったが、ジョージア国立銀行は2024年5月以降、政策金利を8%に据え置いている。外貨準備は前年比57.3%増え、財・サービス輸入の3.9か月分に相当する水準となった。
日本との関係
JICAは経済インフラの整備と民生の安定を重点分野に置いてきた。円借款による東西ハイウェイ整備事業、無償資金協力によるクリーンエネルギー導入計画(トビリシ国際空港とイリア・チャフチャヴァゼ国立大学への太陽光発電システム設置)などがその例である。保健や農業の分野では研修員の受け入れも続いている。
日本語での国名表記は2015年4月22日以降、グルジアからジョージアに改められた(JICA)。
参考資料
- Georgia Overview — 世界銀行(国別概況。2025年の成長率、経常収支、財政、銀行指標) ↗
- Georgia — 世界銀行 Data360(World Development Indicators。人口・GDP・産業構成・送金・直接投資、2024年) ↗
- National Statistics Office of Georgia(Geostat。貿易・物価・GDPの一次統計) ↗
- ジョージア — JICA ↗
このページの数字は2026年8月時点のものである。新しい統計が公表されしだい更新する。 日々の動きは下の記事一覧で追える。
先週の中央アジア・コーカサス:EBRDがウズベキスタンの2026年成長率予測を7.5%へ上方修正、シルダリヤ州の新設火力で1,600メガワットが緊急停止(9月21日〜27日)2026.09.28EBRDが9月24日に公表した地域経済見通しで、中央アジア・コーカサス8か国のうち6月版から予測が動いたのはウズベキスタン(2026年を7.5%へ)とジョージア(6.5%へ)の2か国だけだった。25日にはシルダリヤ州の試運転中の火力発電所で1,600メガワットが緊急停止したとウズベキスタン・エネルギー省が発表した。カザフスタンでも合計962メガワットの負荷が遮断されたと、KursivがKEGOCのデータとして伝えている。ウズベキスタン大統領府はカラカルパクスタンとアンディジャンの事業を相次いで公表し、カザフスタンの銀行部門の1〜8月の純利益は13.6%減った。
先週の中央アジア・コーカサス:韓国と中央アジア5か国がソウルで第1回首脳会議、アルメニア中銀が政策金利を6.75%へ引き上げ(9月14日〜20日)2026.09.21韓国と中央アジア5か国は9月16日、ソウルで第1回首脳会議を開き、2年に1度の開催を宣言に記した。カザフスタンのトカエフ大統領は訪韓中に約190億ドルの商業上の合意が署名されたと述べ、ウズベキスタン大統領府は署名や投資の決定に触れずに約120億ドルの有望プロジェクトが準備されたとしたが、どちらも案件ごとの金額は示されていない。アルメニア中銀は2022年12月以来の利上げで政策金利を6.75%とし、欧州議会は同国産品の従価税を免除する規則で第1読会の立場を採択し、理事会の承認と官報掲載を待つ。
ジョージアの1〜8月の貿易総額は8.4%増の179億ドル、8月の輸出は前年同月比24.7%増2026.09.21ジョージア国家統計局が9月21日に公表した集計(暫定値)で、2026年1〜8月の物品貿易総額は前年同期比8.4%増の179億2,690万ドルだった。輸出は22.1%増、輸入は3.4%増。8月単月では輸出が前年同月比24.7%増の7億5,237万ドル、輸入が4.3%増の15億6,224万ドルだった。
トランプ・タワー・トビリシは62階・高さ280メートル、首相は塔の完成を2031年、地区全体を2033年と説明2026.09.15ジョージア経済省は9月15日、首相と経済相がトランプ・タワー・トビリシの発表会に出席したと発表した。開発会社Archi Groupは塔を62階・高さ280メートルとし、コバヒゼ首相は塔が2031年、地区全体が2033年に完成すると述べた。6棟の複合開発の総投資額約20億ドルは、同社が5月に示した見積もりである。
先週の中央アジア・コーカサス:アゼルバイジャン中銀が8月に15億ドルの買い介入、ABBがダヴル銀行株51%の取得を完了(9月7日〜13日)2026.09.14アゼルバイジャン中銀は8月に15億ドルの買い介入を実施し、中銀によると外貨準備は過去最高の153億ドルになった。ジョージアの総国際準備も過去最高を更新した。ウズベキスタンでは、アゼルバイジャンのABBがダヴル銀行株51%の取得を完了し、国家資産の購入時の前払金を35%から15%へ下げる大統領令の内容も公表された。カザフスタンではKaspi.kzの臨時株主総会が、第2四半期の配当を1株1,000テンゲに増やす提案を承認した。
アスタナ・ファイナンス・デイズ2026、AIXが炭素クレジットの取引を開始。AFSAはジョージア国立銀行と相互アクセスの覚書2026.09.10アスタナ国際金融センター(AIFC)が9月9〜10日に開いたアスタナ・ファイナンス・デイズ2026で、アスタナ国際取引所が自主的炭素クレジットの取引を始め、規制当局のAFSAは清算参加証書を適格投資に指定した。AFSAはジョージア国立銀行と相互アクセスの覚書を結んだ。取引量や金額はいずれも示されていない。
ジョージアの国際準備、2026年8月時点で過去最高の81.4億ドル。前年同月比56.4%増、うち貨幣用金が14.1%2026.09.07ジョージア国立銀行は9月7日、2026年8月時点の総国際準備が前年同月比56.4%増の81億4,000万ドルとなり過去最高を更新したと発表した。前月比では6億1,300万ドル増えた。IMFの方法論による妥当性の指標は128.2%で、貨幣用金は11億4,920万ドルと準備の14.1%を占める。
PASHAリアルエステートとマリオット、バクーとトビリシで3件のホテル・住宅開発に合意。客室計232室と新設レジデンス520戸、投資額は非公表2026.09.04PASHAリアルエステート・グループとマリオットが9月4日、アゼルバイジャンとジョージアで3件のホテル・住宅開発に署名したと発表した。バクーにリッツ・カールトンの客室80室とレジデンス282戸、既存レジデンスの増築棟238戸、トビリシにル・メリディアンの客室152室を計画する。投資額は非公表である。
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ザンゲズル回廊の完成は2030年とTCRC見通し。アルメニア領42キロが全体の工程を決め、中間回廊に残る時間は4年2026.08.27ジョージアの輸送回廊研究センター(TCRC)が8月27日に公表した分析は、ザンゲズル回廊の完成時期を2030年と見込む。回廊は7区間で、アゼルバイジャン領は2027〜29年、トルコ側224キロは2029年末が目標だが、未着工のアルメニア領42キロが全体の工程を決めるとみる。2030年は同センターの見立てである。
ジョージア国立銀行、仮想資産サービス提供者の最低監督資本を種類別に設定。交換・移転15万ラリ、取引プラットフォーム運営35万ラリ、その他25万ラリ2026.08.27ジョージア国立銀行は8月27日に公布した総裁令で、仮想資産サービス提供者の最低監督資本を種類別に定めた(9月8日に発表)。交換・移転は15万ラリ、取引プラットフォーム運営は35万ラリ、ステーブルコインの新規発行を除くその他は25万ラリで、複数を営む業者には最も高い額を適用する。登録済み業者が資本要件を満たす期限は2027年9月1日。