BTCパイプラインは、カスピ海で産出した原油をアゼルバイジャンのバクーからジョージアを経てトルコの地中海岸ジェイハンまで運ぶ全長約1,768キロの輸送管である。2006年に運転を始めた。ロシアとイランのどちらも通らずにカスピ海の原油を国際市場へ出せる唯一の大動脈で、この地域のエネルギー地政学を語るとき必ず登場する。日本企業では伊藤忠商事とINPEXが株主に名を連ねる。
| 正式名 | Baku–Tbilisi–Ceyhan Pipeline(BTC) |
|---|---|
| 経路 | アゼルバイジャン・バクー近郊サンガチャル → ジョージア → トルコ・ジェイハン(地中海) |
| 全長 | 約1,768キロ(アゼルバイジャン443km、ジョージア249km、トルコ1,076km) |
| 運転開始 | 2006年 |
| 設計能力 | 日量120万バレル |
| 輸送実績 | 2,720万トン(2025年通期、前年比7.8%減) |
| 主な株主 | SOCAR(AzBTC)33.0%、BP 30.1%、MOL 8.9%、TPAO 6.5%、Eni 5%、トタルエナジーズ 5%、伊藤忠 3.4%、ONGC 3.1%、エクソンモービル 2.5%、INPEX 2.5% |
なぜ重要か
カスピ海は内海であり、産出した原油は陸路か海路で外へ運ぶしかない。ソ連期の輸送網はすべてロシア経由に設計されていたため、独立後の産油国にとって「ロシアを通らない出口」の確保は主権に関わる課題だった。BTCはその答えとして、米欧の後押しを受けて建設された。
当初はアゼルバイジャン沖のアゼリ・チラグ・グナシリ(ACG)油田の原油を運ぶ設計だったが、現在はカザフスタンやトルクメニスタンの原油もカスピ海をタンカーで渡って積み込まれる。カザフスタンにとっては、ロシア領を通るCPCへの一極依存を薄める代替ルートの本命である。
輸送量と運営体制
2025年通期の輸送量は2,720万トン(約2億バレル)で、前年比7.8%減った。設計能力の日量120万バレルに対して実際の稼働は半分程度で、増やす余地は残っている。
運営は建設時からBPが主導してきたが、2025年末以降、操業の主体をアゼルバイジャン国営石油会社SOCARへ移す協議が進んでいる。BPは30.1%の株主として残る見通しである。
参考資料
- Baku-Tbilisi-Ceyhan pipeline — BP Azerbaijan ↗
- Heydar Aliyev Baku-Tbilisi-Ceyhan Main Export Pipeline — SOFAZ ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。