カザフスタン国立銀行は9月4日、政策金利を年16.25%へ0.5ポイント引き下げた。6月5日に17.00%へ下げてから3会合連続で、下げ幅は7月の0.25ポイントから広がっている。ただし同じ発表で、2027年のインフレ見通しは5.5〜7.5%から6.5〜8.5%へ引き上げられた。理由に挙がったのは外部インフレの上昇、規制価格の前提の見直し、財政刺激の拡大である。物価の見通しが悪化する一方で成長率の見通しは改善し、2028年は3.5〜4.5%から4〜5%へ、2027年も前回のレンジの上限に沿う4.5%程度が示された。国立銀行はインフレのリスクが上振れ側に偏ったままだとし、さらなる引き下げの余地は限られるとしている。利下げの土台になったのは9月1日公表の物価統計で、8月の消費者物価は前年同月比9.8%と7月の10.2%から0.4ポイント下がった。もっとも前月比は0.6%で7月と変わらず、季節要因を除いた月次の伸びは7月の0.7%から0.9%へ上がっている。
財政では、2027〜2029年の予算案をめぐって二つの数字が出た。第一に、8月31日に第3版が公開協議に出た予算案の第8条は、2027年の最低賃金を8万5,000テンゲで据え置く。最低基礎年金、最低年金、月額計算指標、生活最低限の4指標が2026年から8.5%増える一方で、最低賃金だけが動かない。案が通れば2024年1月の引き上げ以来4年目の同額で、政府自身が2027年のインフレの回廊を7.5〜9.5%と見込んでいるから、名目で据え置けば実質では目減りする。第二に、9月4日には経済紙Kursivが法案を直接確認したとして、2027年の政府債務の利払いを3兆5,610億テンゲと報じた。同じ年の教育8,577億テンゲと保健2兆6,730億テンゲの合計を約304億テンゲ上回る。ただし利払いが教育と保健の合計を超える構図そのものは新しくない。2025年12月に成立した現行の2026〜2028年予算法でも2027年は利払い4兆1,906億テンゲ対教育・保健3兆1,863億テンゲで、差は1兆テンゲを超えていた。変わったのは差の大きさで、同じ2027年について利払いは15.0%下方に、保健は13.4%上方に改定されている。
原子力は2か国で同じ週に動いた。9月3日、ウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムの場で、カザフスタン初の原子力発電所の設計・調達・建設契約が署名された。ロスアトム側の発表によれば名称はバルハシ原子力発電所、立地はアルマトイ州ジャンブール地区のウルケン村付近で、VVER-1200を2基置き電気出力は合計2,400メガワットになる。契約金額はカザフスタン原子力庁の発表にもロスアトム側の発表にも書かれておらず、稼働の時期も示されていない。立地も炉型も基数も出力もロスアトム側の発表にしかなく、署名の当事者の書き方も両者で食い違う。現場は2025年8月に始まった立地調査の段階にあり、これが終わるのは2027年である。ウズベキスタンでは9月2日、ミルジヨエフ大統領がジザク州で建設中の統合型原発について、総額95億ドルの事業に占める国産品の比率を21%から最低30%へ引き上げるよう指示した。建設・据付工事の65%を国内企業が担うこと、地元の労働者・技術者7,000人の確保、ファリシュ地区に建材生産に特化した200ヘクタールの工業ゾーンを設けることも示され、優遇措置の決定案は年内に提出される。
カザフスタンの実体経済の指標は逆を向いた。9月1日に公表された8月の製造業PMIは46.0で、7月の47.0から1.0ポイント下がった。50を下回るのは2026年1月から8か月連続で、2019年3月の調査開始以来4番目に低い。新規受注は4か月連続で減り、雇用の減り方は2022年1月以来の速さである。制度と資金の側はこれと別の向きに動いている。9月2日、金融市場規制・発展庁が2026〜2030年の資本市場発展プログラム案をまとめた。7つの方向に35の施策を並べ、資本市場法も並行して策定中だという。年金資産の運用の見直しや証券貸借と空売りの容認といった資金の出し手を増やす施策と、上場スポンサーやIPO費用の税額控除といった受け手を増やす施策が対になっているが、採択の時期も施行の時期も示されていない。8月31日には開発銀行が投資案件の最低融資額を70億から150億テンゲへ、輸出取引の融資を10億から30億テンゲへ引き上げると発表した。支援を大型案件に集中させるためだとされるが、150億テンゲに満たない案件をどこが引き受けるのかは書かれていない。同じ31日、首相府のサイトは投資誘致会社KAZAKH INVESTの案件を215件・786億ドルと紹介した。うち実施段階は93件・322億ドルで、金額の約59%にあたる464億ドルはまだ検討段階にある。資源では北カトパルのタングステン事業が実務段階に入り、2鉱床への投資は現時点の見積もりで約11億ドル、年産約1万2,000トンは現在の世界の鉱山生産の約15%にあたる。最終事業化調査の完了は2027年末である。決算ではルクオイル・オーバーシーズ・カラチャガナクのアクサイ支店の2025年12月期が当期利益1億5,030万6,000ドルで19.5%減となり、注記は英米の制裁と共同操業契約上の一時的なデフォルトに触れている。
ジョージアは伸びが続くなかで建設だけが落ちた。8月31日の速報推計で7月の実質GDPは前年同月比8.0%増、1〜7月の平均は7.9%だった。9月3日には4〜6月の企業統計が出て、売上高675億ラリで11.9%増、生産額257億ラリで10.7%増、就業者は平均82万8,400人で4.1%増となったが、売上高・生産額・就業者数の三つとも前年同期を下回った部門は建設だけである。売上高は32億3,500万ラリで7.1%減、統計局は理由に触れていない。同じ3日に公表された8月の消費者物価は前年比5.6%で、7月の5.5%から0.1ポイント上がった。コアは3.8%で横ばいのため、動いたのはコアの算出から除かれる分類のほうである。押し上げの首位は交通で、15.2%上昇して総合5.6%のうち1.81ポイントを占めた。国立銀行の物価目標は3%で、総合はこれを2.6ポイント上回る。金融面では8月31日、国内に籍を置く投資ファンドの運用資産が6月末に5億4,600万ラリと前年同期の2.4倍になったことが公表された。同時に始まった主体別の公表が示すのは、上位2社で83.2%、16主体のうち9主体は運用資産がゼロ、24本のファンドのうち公募ができる認可ファンドは2本という市場である。
域外との取引では、確定していない大型案件が一つ出た。9月1日、SOCARと米コムストック・リソーシズがヘインズビル・シェールの権益をめぐる意向書に署名した。取得対価はコムストックの発表で現金16億5,000万ドルだが、これは確定した売買契約ではなく、意向書が両当事者を拘束するのは最終契約を誠実に交渉する義務までである。コムストックが米証券取引委員会に出した8-Kも、重要な確定契約を届け出る区分ではなく任意の開示として提出されている。ウェスタン・ヘインズビルの権益15%が7.5%へ下がる条件についても、SOCARは収益率15%の達成とだけ書き、コムストックは5年経過後かつ収益率15%の達成としており、説明が食い違う。貿易では8月31日、トルコ通商省がテュルク諸国機構の加盟国との1〜7月の貿易額を101億ドル、前年同期比6.6%増と発表した。国別の内訳が示されているのは2025年通期だけで、カザフスタン78億ドル、アゼルバイジャン43億ドル、ウズベキスタン31億ドル、キルギス16億ドルである。送金では、カザフスタンから国際送金システム経由で国外へ送られた7月の額が563億7,500万テンゲ、前月比13.5%減だった。送金先はウズベキスタンが36.1%で首位だが前年同月の42.5%から下がり、ロシアが25.3%から30.4%へ上がっている。テンゲ建てでは前年同月比20.0%減だが、月平均レートで換算すると10.3%減にとどまり、件数の減り方に近い。週の始まる前日にあたる8月30日には、ウズベキスタンとインドが関係を包括的戦略パートナーシップへ格上げし、12文書に署名して2030年に貿易額を50億ドルとする目標を掲げている。
今後の予定では、9月9〜10日にアスタナでアスタナ・ファイナンス・デイズが開かれる。カザフスタン国立銀行の金融政策報告も9月9日で、次回の政策金利の決定は10月23日である。9月14日にはトビリシ環状道路第4・5工区の国際入札が締め切られる。カザフスタンの2027〜2029年予算案は公開協議が9月5日に終わり、審議はクルルタイに移る。
