ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領とインドのナレンドラ・モディ首相は8月30日、タシケントのククサロイ迎賓館で会談し、両国関係を包括的戦略パートナーシップの水準に引き上げることで一致した。ウズベキスタン大統領府は同日、会談要旨、署名文書の一覧、共同記者発表を公表している。
格上げ前の位置づけは戦略的パートナーシップである。インド外務省が公表している二国間関係のブリーフ(2024年8月付)によれば、両国は1992年3月18日にタシケントで外交関係樹立の議定書に署名し、2011年に戦略的パートナーシップを宣言した。会談要旨も今回の協議を戦略的パートナーシップ関係のさらなる深化に関するものと記しており、今回はこの枠組みからの格上げにあたる。
経済面の合意は貿易目標である。双方は相互貿易を数倍に増やす大きな潜在力があるとしたうえで、貿易額を2030年までに50億ドルにするために必要な措置を取ることで合意した。
前年の実績については、大統領府の2本のページで言い方が異なる。会談要旨は、昨年の貿易額が初めて10億ドルを超えたとしている。共同記者発表では、大統領が前年の相互貿易は33%増えて13億ドルに達したと述べた。前者はしきい値の示し方、後者は実額で、どちらも2025年を指す。
出発点は低い。インド外務省のブリーフは、ウズベキスタン側統計に基づく2023年の二国間貿易額を7億5,660万ドルとし、この水準を潜在力を大きく下回るものと記していた。ウズベキスタンの貿易全体は2026年1〜7月だけで495億3,500万ドルであり、インドとの取引はその中で小さな部分にとどまる。
署名された文書は12件である。大統領府が公表した一覧を種別ごとに整理すると次のようになる。
| 種別 | 件数 | 内容 |
|---|---|---|
| 共同声明 | 1 | 訪問の総括文書 |
| 協定 | 3 | 高等教育・科学研究/環境保護/サマルカンド州とグジャラート州のパートナー関係樹立 |
| 覚書 | 5 | 経済・金融対話/アーユルヴェーダなど伝統医療/地質・鉱物資源/文書館/世界経済外交大学とスシュマ・スワラージ外務研修所(Sushma Swaraj Institute of Foreign Service)の間の協力 |
| プログラム | 2 | 文化交流2026〜2030年/観光協力2026〜2028年 |
| 議定書 | 1 | ファヨズテパとカラテパでの考古学調査 |
| 計 | 12 |
一覧に契約は1件も含まれていない。共同記者発表は、訪問の枠内で主要な共同投資案件のポートフォリオが形成され、複数の大手インド企業と具体的な合意に達したと述べているが、企業名も金額も示していない。
重点分野は資源と製造業に寄っている。会談要旨は、エネルギー、電気工学、冶金、重要鉱物、保健、製薬、農業、宝飾の各分野でインドの大手企業との協力に展望があるとした。共同記者発表が新たな成長点として挙げたのは、エネルギー、重要鉱物、保健、製薬、電子機器、機械製造、宝飾、農業の8分野で、会談要旨にあった電気工学と冶金は入っていない。
制度面では枠組みの新設と再起動が並んだ。両国は外相級の調整メカニズムを設けることで合意し、議員友好グループ、政府間委員会、ビジネス評議会を通じた接触を活発化させるとした。会談の締めくくりでは各省庁に共同案件の推進が指示され、優先分野ごとに具体的な実施メカニズム、責任機関、期限を伴うロードマップの採択が予告された。共同記者発表でも、合意の完全な履行を担保するために包括的なロードマップを準備すると述べられている。
実務の下地としては、会談要旨が近年で合弁企業の数が7倍に増えたこと、週14便の直行便が就航していること、インドの4大学がウズベキスタンで活動していることを挙げた。共同記者発表は、30日間の査証免除措置と週14便の直行便が観光の一段の発展に寄与するとしている。
地域間の提携では原文に2種類が並ぶ。会談要旨が既存の緊密な提携として挙げたのは、アンディジャン州とグジャラート州、フェルガナ州とハリヤナ州、サマルカンド州とアグラの3組である。今回署名されたのは、サマルカンド州とグジャラート州のパートナー関係の樹立に関する協定である。
署名された12件は共同声明と協力の枠組みを定める文書で構成され、投資額を伴う契約は含まれていない。インド外務省のブリーフ(2024年8月付)は、インドからウズベキスタンへの投資総額を6,100万ドルとしていた。2030年に貿易50億ドルという目標が動き出すかどうかは、会談で採択が予告された分野別のロードマップに、責任機関と期限が実際に書き込まれるかどうかで確かめられる。
