カザフスタンの2027〜2029年共和国予算法案は、2027年の政府債務の利払いに3兆5,610億テンゲを充てる。同じ年の教育8,577億テンゲと保健2兆6,730億テンゲの合計を上回る額である。数字を伝えた経済紙Kursivは、法案を直接確認したうえで、教育と保健の合計を3兆5,300億テンゲとし、利払いのほうがおよそ304億テンゲ、0.9%大きいとしている。同紙は教育と保健の合計を丸めているため、本稿の表の数字から引くと303億になる。成立した法律ではなく、審議はこれからである。
ただし、利払いの3兆5,610億テンゲを報じているのはKursivだけである。同紙は法案を直接見たと書いており、その読みに依拠した数字である。教育と保健については、スプートニク・カザフスタンが9月3日に、財務省が公表した同じ法案の主要指標として教育8,570億テンゲ、保健2兆6,700億テンゲを伝えており、丸めの違いを除けば2社の数字は一致する。
比較の相手になるのは、2025年12月8日に第239-VIII号として成立した現行の2026〜2028年共和国予算法である。この法律の付属書には機能別分類ごとの金額が3か年分載っており、2027年の数字も入っている。次の表の単位は十億テンゲで、現行法の列は法令データベースの付属書、法案の列はKursivの報道からとった。
| 機能別グループ | 現行法 2026年 | 現行法 2027年 | 現行法 2028年 | 法案 2027年 |
|---|---|---|---|---|
| 14 政府債務の利払い | 3,471.2 | 4,190.6 | 4,461.6 | 3,561 |
| 05 保健 | 2,731.8 | 2,356.8 | 2,305.1 | 2,673 |
| 04 教育 | 812.3 | 829.5 | 854.2 | 857.7 |
利払いが教育と保健の合計を上回る構図そのものは、今回の法案で初めて現れたものではない。現行法でも2027年は利払い4兆1,906億テンゲに対し教育と保健の合計が3兆1,863億テンゲで、差は1兆テンゲを超えていた。2028年も4兆4,616億テンゲ対3兆1,594億テンゲで開きは大きい。逆転していないのは2026年だけで、この年は利払い3兆4,712億テンゲに対し教育と保健が3兆5,442億テンゲとわずかに上回る。
変わったのは構図ではなく差の大きさである。同じ2027年で見ると、利払いは現行法から15.0%下方に、保健は13.4%上方に改定された。教育の改定は3.4%にとどまる。現行法は保健を2026年の2兆7,318億テンゲから2027年に2兆3,568億テンゲへ減らす計画だったが、法案の2兆6,730億テンゲはその減額の大半を戻す水準にあたる。1兆テンゲを超えていた差は、これでKursivのいうおよそ304億テンゲまで縮んだ。
読むときの留保が二つある。第一に、これは共和国予算の機能別分類の数字であり、地方予算が担う学校や病院の費用は入らない。Kursiv自身も同じ断りを置いている。第二に、保健の分類は社会医療保険基金への移転が大半を占める。現行法の付属書では、2026年の保健2兆7,318億テンゲのうち2兆4,584億テンゲが保健省からこの基金への移転である。利払いの側では、機能別グループ14に立つのは財務省の一事業だけで、政府債務の履行に充てる費用である。このグループに借入元本の返済は入っていない。
額の重さは歳出全体との比で見える。スプートニク・カザフスタンによれば、法案の2027年の歳出総額は30兆2,000億テンゲで、内訳は経費29兆テンゲ、予算貸付3,050億テンゲ、金融資産の取得8,718億テンゲである。政府が8月25日の閣議で審議した予算案でも2027年の歳出は30兆2,000億テンゲだった。利払いと教育と保健が並ぶのは経費の欄なので、そこを分母に取ると3兆5,610億テンゲは約12.3%にあたる。現行法の2027年は経費28兆4,872億テンゲに対し4兆1,906億テンゲで14.7%だったので、比率としては下がる。法案は1ドル480テンゲ、原油1バレル70ドルを前提に置いており、この前提で換算すると3兆5,610億テンゲは約74億ドルになる。
法案では2028年以降に上下が入れ替わる。Kursivによれば2028年は利払いが約3兆6,760億テンゲ、教育と保健の合計が約3兆9,350億テンゲ、2029年は約3兆6,500億テンゲと約3兆9,820億テンゲで、どちらの年も教育と保健のほうが大きい。現行法の2028年が4兆4,616億テンゲ対3兆1,594億テンゲだったことと比べると、向きが逆になる。同紙はこの2年の数字を概数として示している。
足元の負担は増えている。Kursivが自紙の既報として挙げるところでは、2026年上半期に債務の履行へ2兆1,000億テンゲを支出し、前年同期から26.3%増えた。国家債務の伸びはこれより緩い14.7%で、残高は40兆9,000億テンゲである。同紙は、債務の履行が予算支出に占める比率がこの間に9.6%から約11%へ上がったとしている。ただしこの約11%は上半期の実績を予算支出の全体で割った比率であり、先に挙げた12.3%とは分母が違うので、続きの数字として読むことはできない。
利払いの見積もりが現行法から15.0%下がった理由を、法案を伝えた報道は説明していない。一般論として、金利の低下は新規の借り入れの費用を下げる方向に働く。同じ9月4日に国立銀行は政策金利を16.25%へ引き下げた。ただし両者を結びつける説明は、どの発表にも出ていない。共和国予算は法律の形で定められるもので、現行法は2025年12月8日に成立している。今回のものは次の3か年の法案であり、カザフスタンでは8月23日に一院制議会クルルタイの初選挙が行われたばかりである。
