資料写真:テンゲ紙幣/National Bank of Kazakhstan(Public domain)出典

金融・投資

カザフスタン政府、2027〜29年の予算案を審議。財政赤字を対GDP比2.3%から0.4%、非石油赤字を5.3%から2.5%へ

カザフスタン政府は8月25日の閣議で、2027〜2029年の社会経済発展予測と共和国予算案を審議した。国民経済省によると、案は財政赤字を対GDP比2.3%から0.4%へ、非石油赤字を5.3%から2.5%へ下げる想定で、名目GDPは199.3兆テンゲから245兆テンゲに増える。承認や成立ではなく審議の段階である。

この記事が扱う国。国境は Natural Earth(パブリックドメイン)、点は各国の首都の位置。

カザフスタン政府は8月25日、オルジャス・ベクテノフ首相が議長を務めた閣議で、2027〜2029年の社会経済発展予測と共和国予算案を審議した。国民経済省によると、首相は、共和国と地方の両方の水準で予算の均衡と計画の質、資金配分を確保するようカシムジョマルト・トカエフ大統領から指示があったと述べた。閣議の位置づけは審議であり、承認や成立ではない。

数字を報告したのはセリク・ジュマンガリン副首相兼国民経済相である。基本シナリオでの実質GDP成長率は年平均5%超で、名目GDPは2027年の199.3兆テンゲから2029年に245兆テンゲへ増える。成長は非石油部門が支え、製造業の伸びが鉱業を上回るとした。農業は年5%以上、サービスでは運輸・倉庫が年平均10.4%、情報・通信が9.2%の伸びを見込む。インフレの回廊は2027年が7.5〜9.5%、2028〜2029年が6〜8%に置かれた。7月の年間インフレ率は10.2%なので、2027年の上限9.5%はその実績を下回る。

項目2027年2028年2029年
名目GDP(兆テンゲ)199.3発表なし245
共和国予算の歳入(兆テンゲ)19.921.723.4
共和国予算の歳出(兆テンゲ)30.229.429.6
財政赤字(対GDP比)2.3%発表なし0.4%
非石油赤字(対GDP比)5.3%発表なし2.5%
国民基金の外貨資産(億ドル)652発表なし706
財の輸出(億ドル)828発表なし885
財の輸入(億ドル)805発表なし884
インフレの回廊7.5〜9.5%6〜8%6〜8%

財政赤字と非石油赤字は別の指標なので、分けて読む必要がある。発表は財政赤字を2027年の対GDP比2.3%から2029年に0.4%へ下げ、非石油赤字は5.3%から2.5%へ縮めるとしている。歳出から歳入を引くと2027年は10.3兆テンゲ、2029年は6.2兆テンゲで、名目GDPで割ると5.2%と2.5%になり、非石油赤字の数字にほぼ重なる。財政赤字の2.3%と0.4%はこれとは別の値であり、発表は歳入の内訳を示していないため、差がどこから生じるかは追えない。

国民基金の受入総額は2027年5.1兆テンゲ、2028年5.5兆テンゲ、2029年5.7兆テンゲ、純受入は0.5兆テンゲ、1.4兆テンゲ、2兆テンゲである。共和国予算への保証移転は予算規則に沿って2027年と2028年が各2.4兆テンゲ、2029年が2兆テンゲ、重要インフラと全国的な意義を持つ事業への目的移転は2兆テンゲ、1.5兆テンゲ、1.5兆テンゲとされた。二つの移転の合計は4.4兆テンゲから3.5兆テンゲへ細り、外貨資産は652億ドルから706億ドルへ増える見通しである。

案の姿を通してみると、収支の改善は歳出側で作られている。歳出は名目で30.2兆テンゲから29.6兆テンゲへ減り、その間に名目GDPは22.9%増えるので、歳出の対GDP比は15.2%から12.1%へ下がる。歳入は名目で17.6%増えるが伸びがGDPに届かず、対GDP比は10.0%から9.6%へわずかに下がる。対外面では、財の輸出入がともに880億ドル台で並ぶ想定で、発表の丸めでは黒字の幅を実数として読み取れない。財政の緩衝材を格上げの条件に挙げていたS&Pは、8月21日にカザフスタンをBBBへ引き上げている

ただし、ここに並べたのは閣議で審議された案の数字であり、承認された数字ではない。

この記事の日付 2026年8月25日 は、出典が発表された日です。

本サイトでの初出 2026年8月26日 22:33

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