カザフスタン中央選挙管理委員会は8月23日20時、同日に投票が行われた一院制議会クルルタイの初選挙について、投票率が74.19%だったとする暫定の集計を公表した。投票用紙を受け取った有権者は935万2,151人である。全国の投票所で投票が終了し、投票区選挙委員会が開票を始めたこと、開票にかけられる時間は選挙法の規定で開始から12時間を超えてはならないことも同時に伝えた。
開票結果と145議席の配分は、アスタナ時間8月24日5時30分の時点でまだ発表されていない。中央選管は、投票の暫定結果を別途日程を知らせたうえでブリーフィングで公表するとしている。以下に並べる数字はいずれも投票率であり、政党の得票率でも議席数でもない。
地域差は大きい。最も高いトルキスタン州の92.16%と、最も低いアルマトイ市の43.23%との間には48.93ポイントの開きがある。中央選管は投票日の16時、18時、20時の3回、20の地域別に投票率を公表した。
| 地域 | 16時時点 | 18時時点 | 20時時点 |
|---|---|---|---|
| トルキスタン州 | 76.73% | 90.17% | 92.16% |
| ジェティス州 | 77.03% | 89.69% | 91.19% |
| クズロルダ州 | 81.38% | 88.09% | 90.75% |
| アクトベ州 | 75.63% | 84.95% | 88.30% |
| 東カザフスタン州 | 79.33% | 85.43% | 87.50% |
| ジャンブール州 | 69.11% | 83.99% | 85.18% |
| アクモラ州 | 73.69% | 78.95% | 82.69% |
| アバイ州 | 71.18% | 77.54% | 81.41% |
| 北カザフスタン州 | 63.94% | 75.14% | 77.31% |
| コスタナイ州 | 70.09% | 75.31% | 76.47% |
| カラガンダ州 | 70.91% | 74.78% | 76.28% |
| シムケント市 | 67.92% | 71.89% | 75.42% |
| 西カザフスタン州 | 61.81% | 71.15% | 73.38% |
| マンギスタウ州 | 65.86% | 70.61% | 71.38% |
| パブロダル州 | 67.06% | 69.99% | 71.20% |
| アルマトイ州 | 67.23% | 70.04% | 71.17% |
| アティラウ州 | 63.37% | 69.05% | 70.74% |
| ウルタウ州 | 64.29% | 68.23% | 70.72% |
| アスタナ市 | 46.38% | 49.87% | 51.67% |
| アルマトイ市 | 36.65% | 41.06% | 43.23% |
| 全国 | 65.37% | 72.15% | 74.19% |
全国の値は地域別の数字の単純平均ではなく、有権者名簿の登録者数に対する比率である。中央選管によれば投票用紙を受け取った人数は16時に824万336人、18時に909万5,298人、20時に935万2,151人だった。ODIHRの中間報告書によれば、中央選管が管理する全国有権者登録簿の登録者は約1,260万人である。
共和国直轄の3市のうち、アルマトイ市とアスタナ市が全20地域の下から2つを占めた。ただし3市目のシムケント市は75.42%で全国平均を上回っており、都市であれば低いという単純な図式ではない。上位に並ぶのは南部のトルキスタン州とクズロルダ州、南東部のジェティス州で、いずれも90%台である。他方、産油地帯である西部のアティラウ州70.74%、マンギスタウ州71.38%、西カザフスタン州73.38%はいずれも全国平均を下回り、下位に沈んだ。南北や所得の高低で説明できる並びにはなっていない。
時間帯を追うと、アルマトイ市は16時の時点で36.65%と既に最下位で、終盤に伸び悩んだのではなく一日を通して低かったことがわかる。全国では16時から20時にかけて8.82ポイント上がったが、アルマトイ市は6.58ポイント、アスタナ市は5.29ポイントの上昇にとどまった。逆にジャンブール州は16.07ポイント、トルキスタン州は15.43ポイント上がっている。中央選管の発表は数字だけで、地域差の理由には触れていない。
この投票率の分布が議席にどう効くかは、選挙制度の形で決まる。ODIHRの中間報告書によれば、145議席は全国を一つの選挙区とする拘束名簿式の比例代表で配分され、5%の阻止条項が置かれている。地域ごとの議席枠は存在しないため、投票率の高い地域が議席の割り当てで優遇される仕組みはない。その代わり、全国が一つの集計単位であるがゆえに、投票率の高い地域はそのぶん全国の総得票に占める重みを増す。最大都市アルマトイと首都アスタナで投票率が突出して低いことは、都市部の有権者の選好が全国の集計に反映される度合いがその分だけ下がることを意味する。
在外投票の規模は小さい。中央選管が伝えた外務省のアルマン・イセトフ次官の説明によれば、61か国の在外公館に設けられた79か所の投票所で19時までに6,007人が投票した。在外の登録有権者は1万1,402人で、全国の登録者数の0.1%に満たない。最後に投票するのはサンフランシスコの同胞になる、というのが次官の説明である。アスタナ・タイムズによれば、この在サンフランシスコ総領事館の投票所はアスタナ時間の8月24日8時に締め切られる。
政党別の数字については、8月24日0時に選挙特番の中で3つの調査機関が出口調査の結果を公表している。アスタナ・タイムズによれば、公共政策研究所、ユーラシア統合研究所、総合社会調査研究所アスタナ(SOCIS-A)の3社の推計はアディレット党を70.7〜72.3%の範囲に置き、7政党のうち5党が5%の阻止条項を超えたとした。3社とも人民党とバイタク党を阻止条項未満としている。これらは投票所を出た有権者への聞き取りに基づく民間の推計であって、中央選管の集計ではない。同紙も確定した選挙結果ではないと断っている。
アディレット党の位置づけは、ODIHRの中間報告書に記されている。同党は大統領を支持する勢力を糾合して結成された新党で、与党だったアマナトを吸収合併し、選挙戦は同党が支配的だったとされる。登録された7政党はいずれも大統領の政策を支持しているとも記されている。登録された545人の候補者のうち女性は172人で31.5%、女性・若者・障害者を合わせた比率は43.9%と、選挙法が定める30%の累積クオータを上回った。
国際的な評価もまだ出ていない。ODIHRは7月10日に選挙監視団を開設し、団長のヴィンセント・ピケット大使以下、アスタナに置く専門家12人と長期監視員22人を配置したうえで、参加国に短期監視員300人の派遣を要請していた。開設時の発表によれば、監視団の予備的な所見は選挙の翌日に合同記者会見で示される。こちらもアスタナ時間8月24日5時30分の時点では公表されていない。
比較の目安になる直近の全国投票は、新憲法を採択した3月15日の国民投票である。ODIHRの中間報告書によれば、中央選管はこの国民投票について投票率約73%、賛成87%超と発表した。今回の74.19%はほぼ同じ水準にあたる。次に確認すべきは、中央選管が公表する開票結果と145議席の内訳、そしてODIHRなど監視団の所見である。アスタナ・タイムズによれば選挙後には政府が形式上の総辞職を行い、大統領が10日以内に去就を判断する段取りで、投資家にとっての焦点は議席の内訳よりもその先の政府の陣容にある。
