エネルギー・資源

カザフスタン初の原発でEPC契約に署名。VVER-1200を2基、あわせて電気出力2,400メガワット。契約額は示されず

ウラジオストクで開かれた第11回東方経済フォーラムの場で、カザフスタン初の原子力発電所の設計・調達・建設契約が9月3日に署名された。カザフスタン原子力発電所社とロスアトム傘下のアトムストロイエクスポルトが当事者で、契約額はどちらの発表にも示されていない。立地と炉型を明らかにしたのはロスアトム側だけである。

資料写真:石油タンク車(マンギスタウ州)/IvarT(CC0)出典
この記事が扱う国。国境は Natural Earth(パブリックドメイン)。点は本文に出てくる場所(アルマトイ、ジャンブール州、ウルケン)。

ウラジオストクで開かれた第11回東方経済フォーラムの場で、カザフスタン初の原子力発電所の設計・調達・建設契約が9月3日に署名された。カザフスタン原子力庁が同日発表した。

署名の当事者は、両者の発表で書き方が違う。原子力庁は、カザフスタン側の事業会社であるカザフスタン原子力発電所社(KAES)と、ロシア国営ロスアトムの子会社であるアトムストロイエクスポルトが署名したとする。ロスアトム側は当事者をロスアトム本体とKAESとし、見出しではさらにロスアトムとカザフスタン原子力庁としている。署名者の氏名はロスアトム側にしかなく、ロシア側は同社の原子力担当第一副総裁でアトムストロイエクスポルト社長のアンドレイ・ペトロフ氏、カザフスタン側はKAES社長のエルナト・ベルディグロフ氏とされている。ロスアトム総裁のアレクセイ・リハチョフ氏と、カザフスタン原子力庁長官のアルマサダム・サトカリエフ氏は署名に立ち会った。

契約金額は、カザフスタン原子力庁の発表にもロスアトム側の発表にも書かれていない。

契約が何を含むかは、ロスアトムのエンジニアリング部門の発表のほうが詳しい。同部門はこれをEPC契約と呼び、ロスアトムが国際コンソーシアムの主導者として、設計と調達から建設、試運転、完成した施設の発注者への引渡しまでの全工程に責任を負うと説明している。カザフスタン原子力庁の発表は「設計・供給・建設の契約」と記すにとどまる。

ロスアトム側の説明では、原発の運転期間中の保守と燃料供給を含む協力の方向は、2026年5月28日にプーチン大統領のカザフスタン国賓訪問に際して結ばれた両政府間の協定で定められている。

発電所そのものの姿を示しているのも、ロスアトム側の発表だけである。名称はバルハシ原子力発電所。立地はアルマトイ州ジャンブール地区のウルケン村付近で、VVER-1200を2基置き、電気出力は2基あわせて2,400メガワットになる。VVER-1200は電気出力1,200メガワットの水・水型動力炉で、第3世代プラスに分類される。原子炉の設計寿命は60年で、さらに20年の延長が可能だとしている。同型はロシア、ベラルーシ、トルコ、バングラデシュ、ハンガリー、エジプト、中国の稼働中および建設中の施設で採用されている、というのが同部門の説明である。

カザフスタン原子力庁の発表には、立地も炉型も基数も出力も出てこない。代わりに書かれているのは、経済・産業・インフラ・デジタル化・人工知能の発展にともなって電力需要が増え続けること、原子力が数十年にわたる安定した基幹電源になること、そして現地化の重視である。同庁は、カザフスタンの企業、専門家、物品、工事、役務を最大限に関与させることに特別の注意を払うとしている。

稼働の時期は、どちらの発表にも書かれていない。

現場はまだ調査の段階にある。ロスアトム側によれば、2025年8月に始まった立地調査が続いており、深さ最大120メートルのボーリングを60本超掘って試料を採取し、発電設備を置く最適な用地を選ぶために実験室で確かめている。この作業は2027年に終わり、その後に建設の許認可を得るための書類作成に入る。

カザフスタン原子力庁は、5月28日の政府間協定に沿って、カザフスタン政府との必要な承認を含む所定の手続きを両者が続けると書いている。契約がすでに発効しているかどうかは記していない。

ここに至る経緯はこうである。2024年9月2日の大統領令第636号は、10月6日に国民投票を行い、「カザフスタンに原子力発電所を建設することに賛成しますか」という問いを付すと定めた。中央選挙管理委員会の発表によれば、有権者1,228万4,487人のうち782万204人が投票し(63.66%)、賛成は556万1,937票の71.12%だった。2025年6月14日にはロスアトムが、カザフスタン初の大型原発を建設する国際コンソーシアムの主導者に決まった。同月のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムでは原子力庁とロスアトムが指標的な工程表を承認しており、そこには調査と設計書類の作成に続いてEPC契約の締結が段階として明記されていた。今回の署名は、その工程を1つ進めたことになる。

立地するアルマトイ州では、8月14日に500キロボルト送電線3本の同時停止による大規模な停電が起きている。同国は再生可能エネルギーでも2035年までに10ギガワットの導入を目標に掲げており、基幹電源の積み増しが課題になっている。

金額も稼働時期も示されないまま、事業は設計の段階へ移る。次に外から確かめられるのは、カザフスタン政府の承認手続きと、2027年に終わる立地調査の結果である。

この記事の日付 2026年9月3日 は、出典が発表された日です。

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