解説 · 2026年8月時点
シティ(City LLC)は、アルメニア最大のスーパーマーケット・チェーン「エレバン・シティ(Yerevan City)」を運営する企業である。同じチェーンの名では、砂糖やバターの卸売を手がけるアレクス・ホールディング(Alex Holding LLC)も事業を行っており、いずれも元国会議員サムヴェル・アレクサニャン氏に結びつけられている。
アルメニアの小売市場は、少数のチェーンが強い地位を占め、その所有者が政治と近い距離にあることが長く問題とされてきた。競争当局は同グループに対し、砂糖とバターの市場での支配的地位の濫用を認定して制裁金を科している。
| 正式名 | City LLC。同じ「エレバン・シティ」の名でAlex Holding LLCも事業を行う |
|---|---|
| 事業 | スーパーマーケット「エレバン・シティ」の運営、食品の輸入・卸 |
| 位置づけ | アルメニア最大のスーパーマーケット・チェーン |
| 所有者 | サムヴェル・アレクサニャン(元国会議員) |
競争当局による制裁
アルメニアの経済競争保護国家委員会(SCPEC)は、砂糖市場の調査を経て、アレクス・ホールディングに2,470万ドラム(当時の為替で約5万1,000ドル)の制裁金を科した。2018年1月から2020年3月にかけて、同社が市場での支配的地位を濫用し、正当な理由のない値下げ、差別的な条件と価格の適用によって、他社が競争力のある価格で砂糖を販売することを不可能にしたと認定された。委員会は同社に対し、1か月以内に価格政策と販売条件を法に適合させるよう命じている。
バターの市場でも、エレバン・シティのチェーンは1,760万ドラム(約3万6,000ドル)の制裁金を科された。2018年7月から2020年4月にかけて、二つのバター製造者の製品を店舗で高い価格・少ない数量でしか扱わず、参入の障壁を作ったと認定されたものである。同時に、アレクサニャン氏の従兄弟が所有するアレクス・アンド・ホールディングにも、バターの卸売市場での差別的取り扱いについて警告が出された。
情報の限界
店舗数、売上高、従業員数、シェアといった経営の数値は公表されていない。非上場で、財務諸表の開示義務も限られるためである。外部から確認できるのは、競争当局の決定、税務当局が公表する納税額の順位、報道による断片的な情報にとどまる。
アルメニアの小売業では、供給者への圧力、レジ係の待遇、選挙時の従業員への働きかけといった問題が繰り返し報じられてきた。読み手は、この分野の企業について公表資料が乏しいこと自体を前提に置く必要がある。
参考資料
- Armenia's anti-trust agency fines Alex Holding to the tune of 24.7 million drams for abuse of dominant position — ARKA ↗
- Yerevan City Fined 17.6 Million for "Butter Bias" — Hetq ↗
- Politics, corruption, and abuse in Armenia's supermarket cartels — OC Media ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。