銀行監督とは、銀行に免許を与え、健全性の基準を課し、基準に届かない銀行に是正を求め、最後は市場から退出させるまでの一連の権限をいう。中央アジア・コーカサスの8か国はいずれも、旧ソ連の一元的な銀行制度から中央銀行と商業銀行に分かれる二層制へ移行した経緯を共有しており、監督の骨格は似ている。しかし権限をどこに置くか、規制の水準をどこまで国際基準に合わせるか、預金者をどれだけ厚く保護するかは国ごとに違う。
最も大きな制度上の違いは、監督の権限を中央銀行の内側に置くか外側に置くかである。域内でこれを外側に出したのはカザフスタンだけで、金融市場規制・発展庁が銀行と保険と証券をまとめて監督し、中央銀行は金融政策とマクロプルーデンス政策、決済インフラを担う。ほかの7か国は中央銀行が両方を担う。アゼルバイジャンは2016年から2019年まで独立した監督機関を置いていたが、2019年11月に廃止して中央銀行へ戻した。
2025年から2026年にかけて、域内では監督法制の書き換えが集中している。カザフスタンは1995年から使ってきた銀行法を2026年1月に全面的に置き換えた。ウズベキスタンは2025年に預金保証法と銀行の再建・清算法を相次いで新しくした。ジョージアはEUの銀行再建・破綻処理指令(BRRD)に沿った損失吸収力の要件を段階的に引き上げている。いずれも、2008年の金融危機のあとに国際的に整備された枠組み、すなわちバーゼルIIIの自己資本規制、金融安定理事会が示した破綻処理の枠組み、預金保険の中核的原則を国内法へ取り込む作業にあたる。
以下では、監督当局の配置、健全性規制の中身、預金保護、破綻処理、そして公表される数字の読み方を、法令と当局の資料で確認できる範囲に絞って整理する。個々の銀行の健全性についての評価は行わない。
| カザフスタンの監督当局 | 金融市場規制・発展庁。2019年11月11日の大統領令第203号にもとづき2020年1月1日から活動する。国立銀行から移された機能について、権利と義務の承継者と位置づけられている |
|---|---|
| カザフスタンの銀行法 | 2026年1月16日の法律第258-VIII号。最初の公式公表から60日後に施行。1995年8月31日の法律第2444号を廃止した(一部の条項は2026年7月1日、2027年1月1日に失効する経過措置が置かれている) |
| 同法の免許の区分 | 普遍銀行免許、基礎銀行免許、イスラム銀行業務等の免許。最低授権資本の額は区分ごとに監督当局の規則で定める(第8条、第19条) |
| 同法のプルーデンシャル規制(第72条、監督当局が設定) | 最低授権資本と自己資本の額、自己資本充足率、1借り手あたりの最大リスク、流動性比率、外貨持高の上限、損失の吸収力を持つ商品の最低残高、レバレッジ比率 |
| 同法のマクロプルーデンシャル規制(第73条、国立銀行が設定) | 対抗循環資本バッファー、セクター別の対抗循環資本バッファー、借り手の債務負担係数、借り手の債務対所得係数。遵守の監督は金融市場規制・発展庁が行う |
| カザフスタンの銀行部門(2026年8月1日時点) | 23行。うち子会社銀行10行、国が100%出資する銀行1行。資産75.6兆テンゲ、自己資本11.4兆テンゲ |
| 同・健全性の実績値(同時点) | 基本資本充足率19.9%、自己資本充足率20.7%、90日超の延滞債権の比率4.1%(1兆9,000億テンゲ)、引当による不良債権のカバー率60.4% |
| ジョージアの監督当局 | 国立銀行。商業銀行、銀行グループ、マイクロバンク、証券会社、資産運用会社、中央預託機関、取引所、マイクロファイナンス機関、決済サービス事業者、両替所、信用情報機関、貸金業者を一括して監督する |
| ジョージアのシステミック・バッファー(2026年) | リスク資産に対して、ジョージア銀行3.0%、TBC銀行2.5%、ベイシス銀行1.0%、リバティ銀行0.5% |
| ジョージアの第2の柱のバッファー | 通貨誘発信用リスク、集中リスク、信用リスク調整、ストレステスト、総合リスク評価プログラムの5種。2026年第2四半期の普通株式等Tier1に対する要件は連結で4.98%、行ごとには1.74%から15.93% |
| ジョージアの対抗循環資本バッファー | 普通株式等Tier1で満たす。リスク資産の0%から2.5%の範囲で四半期ごとに決め、0.25ポイントまたはその倍数で動かす。引き上げは1年の猶予、引き下げは即時に適用される |
| ジョージアの損失吸収力の最低要件(MREL) | システム上重要な銀行に対し、2024年1月1日から10%、2025年12月31日から15%、2027年12月31日から20%。EUの銀行再建・破綻処理指令の枠組みにもとづく |
| アゼルバイジャンの監督当局 | 中央銀行。2019年11月28日の大統領令により金融市場監督機構を廃止し、免許・規制・監督と投資家および金融サービス利用者の保護に関する権限と財産を中央銀行へ移した |
| アルメニア・ウズベキスタン・キルギス・タジキスタン・トルクメニスタンの監督当局 | いずれも中央銀行 |
| 預金保護の限度額(カザフスタン) | テンゲ建ての貯蓄性預金2,000万テンゲ、その他のテンゲ建て預金1,000万テンゲ、外貨建て預金500万テンゲ。同一銀行で複数の種類を持つ場合の合計は2,000万テンゲまで |
| 預金保護の限度額(ジョージア) | 通貨を問わず5万ラリ。2026年4月1日に3万ラリから引き上げられた。個人だけでなく法人と組織単位の預金も対象 |
| 預金保護の限度額(アルメニア) | ドラム建てのみの場合1,600万ドラム、外貨建てのみの場合700万ドラム |
| 預金保護の限度額(アゼルバイジャン) | 1行あたり10万マナト。個人が事業のために開いた口座は2万マナト、公証人の預り金は全額。保護の対象となる預金には金利の上限があり、国内通貨建て12%、外貨建て2.5% |
| 預金保護の限度額(ウズベキスタン) | 2億スム。2025年2月18日の法律第ZRU-1031号による。それ以前の制度は国が全額を保証していた |
| 預金保護の限度額(キルギス) | 100万ソム |
| カザフスタン預金保証基金 | 1999年11月15日に国立銀行が設立。国立銀行が単独株主の非営利の株式会社。参加銀行は20行(2026年9月時点)。保険料率は銀行をA〜Eの5区分に分けて0.07%から0.36%。特別準備金の目標は保証対象預金の5%以上 |
| ジョージア預金保険庁 | 2017年7月3日設立の公法人。2026年7月31日時点で19行の預金総額753億7,594万ラリに対し、付保預金は159億8,175万ラリ。破綻時の支払いは20暦日以内 |
| ウズベキスタンの破綻処理法 | 2025年6月23日の法律第ZRU-1070号「銀行の再建および清算について」。資産負債の移転、ブリッジバンク、資本商品と負債の元本削減・株式転換を処理の手段として定める |
誰が監督しているか
銀行監督の権限は、大きく三つの場面に分かれる。参入の場面で免許を与えるか否かを決める権限、平時に健全性の基準を課して遵守を監督する権限、そして基準を割った銀行に是正を求め、回復しなければ処理する権限である。この三つを誰が持つかが、制度の骨格を決める。
カザフスタンは、この三つを中央銀行から切り離した唯一の国である。金融市場規制・発展庁は2019年11月11日の大統領令第203号にもとづいて2020年1月1日から活動しており、国立銀行から移された機能については権利と義務の承継者と位置づけられている。ただし切り離しは完全ではない。2026年の新しい銀行法は、個別行に課す健全性の基準(プルーデンシャル規制)を庁が定め、景気循環や家計債務に効く基準(マクロプルーデンシャル規制)を国立銀行が定めると分けたうえで、どちらについても報告は国立銀行へ提出させ、遵守の監督は庁が行うとしている。システム上重要な銀行の認定も、国立銀行が庁と協議して手順を定める。二つの当局が同じ銀行を別の角度から見る設計である。
ほかの7か国では中央銀行が金融政策と銀行監督の両方を担う。アゼルバイジャンは一度この形を離れ、2016年に独立した金融市場監督機構を設けたが、2019年11月28日の大統領令でこれを廃止し、免許・規制・監督と、投資家および金融サービス利用者の保護に関する権限と財産を中央銀行へ戻した。
監督の対象は銀行に限らない。ジョージア国立銀行の監督権限は、商業銀行と銀行グループのほか、マイクロバンク、証券会社、資産運用会社、中央預託機関、取引所、マイクロファイナンス機関、決済サービス事業者、両替所、信用情報機関、貸金業者に及ぶ。銀行の外側で信用を供給する業態が育っている地域では、監督の範囲がどこまで広がっているかが、規制の抜け道の大きさを決める。
カザフスタン — 2026年に置き換わった銀行法
カザフスタンは1995年8月31日の法律第2444号を30年にわたり銀行法として使ってきた。2026年1月16日の法律第258-VIII号はこれを全面的に置き換えるもので、最初の公式公表から60日後に施行される。旧法のうち一部の条項は2026年7月1日、別の一部は2027年1月1日まで効力を残す経過措置が置かれている。
免許の区分が変わった点が目を引く。新法は普遍銀行免許と基礎銀行免許を分け、これにイスラム銀行業務等の免許を並べる。最低授権資本の額は区分ごとに監督当局の規則で定めるとされ、法律の本文には金額が書かれていない。マイクロファイナンス機関が銀行へ転換する道(第13条)も新設された。参入の敷居を業態ごとに変えて、規模の小さい銀行が過大な規制の負担を負わない設計である。
健全性の基準は第72条に列挙されている。最低授権資本と自己資本の額、自己資本充足率、1借り手あたりの最大リスク、流動性比率、外貨持高の上限に加えて、損失の吸収力を持つ商品の最低残高とレバレッジ比率が入った。前者は金融安定理事会が大手銀行向けに整えた総損失吸収力の考え方、後者はバーゼルIIIで導入された比率であり、いずれも国際的な枠組みの取り込みにあたる。システム上重要な銀行には、これに加えて自己資本の上乗せが課される。
第73条のマクロプルーデンシャル規制は国立銀行が定める。対抗循環資本バッファー、セクター別の対抗循環資本バッファー、借り手の債務負担係数、借り手の債務対所得係数の四つで、後の二つは家計の過剰債務を直接に抑える道具である。カザフスタンでは個人向け貸出が伸びており、2026年7月末の貸出残高42兆1,000億テンゲのうち26兆1,000億テンゲが個人向けである。
引当については第74条が、国際財務報告基準に従って積むことを義務づけたうえで、その十分性を監督当局が評価するとし、評価にあたって動機づけられた判断を用いることができるとしている。基準の形式的な適用だけでなく、監督当局が実質を見て引当の積み増しを求めうる仕組みである。
危機時の段階も法律の章立てに現れている。強化された監督、財務健全性の回復、破綻処理、一時管理、任意再編、任意清算、強制清算という順に章が並び、それぞれの発動要件と手段が定められている。破綻処理の局面では、銀行の債務を普通株式へ転換して資本に充てることが認められている(第8条第3項)。
ジョージア — バーゼルIIIの積み上げとEU型の破綻処理
ジョージアの自己資本規制は、最低比率の上にバッファーを積み上げる構造をとる。最低比率に加えて、システム上重要な銀行に課すシステミック・バッファー、景気の局面に応じて動かす対抗循環資本バッファー、監督上の点検の結果に応じて個別行に課す第2の柱のバッファーが重なる。
システミック・バッファーは銀行ごとに公表される。2026年はジョージア銀行3.0%、TBC銀行2.5%、ベイシス銀行1.0%、リバティ銀行0.5%で、いずれもリスク資産に対する比率である。認定にはバーゼル銀行監督委員会の勧告と欧州銀行監督機構の方法論を用い、資産の規模、ほかの銀行との相互関係、代替可能性、複雑性を見るとされている。リバティ銀行が2023年の1.0%から2024年に0.5%へ下がり、ベイシス銀行が2026年から1.0%を課された例のように、比率は毎年見直される。
第2の柱のバッファーは5種類ある。通貨誘発信用リスク、集中リスク、信用リスク調整、ストレステスト、総合リスク評価プログラムの各バッファーである。このうち通貨誘発信用リスクのバッファーは、外貨で貸した資金の返済原資が国内通貨である場合のリスクを対象とし、貸出のドル化率が40%以下なら40%のリスクウェイト、それを1ポイント超えるごとに3ポイントずつ100%まで上がる設計になっている。ドル化を下げる誘因を資本規制に組み込んだものである。
対抗循環資本バッファーは普通株式等Tier1で満たすことが求められ、リスク資産の0%から2.5%の範囲で四半期ごとに決められる。動かす幅は0.25ポイントまたはその倍数で、引き上げには1年の猶予がつく一方、引き下げは即時に適用される。
破綻処理の枠組みはEUの銀行再建・破綻処理指令に沿っている。システム上重要な銀行には損失吸収力の最低要件が課され、2024年1月1日から10%、2025年12月31日から15%、2027年12月31日から20%と段階的に上がる。あわせて、外国法に服する資本商品の契約には2023年12月から、対象となる負債の契約には2024年4月1日から、元本削減または株式転換に同意する条項の記載が義務づけられた。国立銀行は、この条項の記載が法律上の債権者の順位を変えるものではないと明記している。
ウズベキスタンの二つの新しい法律
ウズベキスタンは2025年に、預金保護と破綻処理をそれぞれ新しい法律で書き直した。
一つ目は2025年2月18日の法律第ZRU-1031号「銀行における預金の保護の保証について」で、公式公表の日から施行された(2026年3月27日の法律第ZRU-1126号による改正が同年6月29日から効力を持つ)。2002年の旧法を置き換えたもので、預金保証庁が基金を運用し、保証事故が起きたときに補償を支払う。補償の額は、保証の対象となる残高が2億スム以下なら全額、2億スムを超えるなら2億スムである。同じ銀行に複数の対象を持つ場合も、通貨と種類を問わず合計で同じ上限が適用される。基金の資金は銀行が払う一時金・定期・特別の拠出金で積み、不足すれば予算からの貸付や中央銀行からの与信で補う。庁は3年に1度以上、基金の目標残高と保証の上限額が妥当かを評価し、変更が要るなら中央銀行を経て閣僚会議へ提案する。
二つ目は2025年6月23日の法律第ZRU-1070号「銀行の再建および清算について」である。中央銀行の再建に関する機能をその他の機能から分離すること(第5条)、金融安定理事会を置くこと(第7条)を定め、原則として株主が最初に損失を負担すること(第10条)、保証対象の預金とその上限を超える部分を保護すること(第12条)を掲げる。処理の手段は、資産と負債の移転・売却、ブリッジバンクの設立、資本商品の元本削減または転換、負債の元本削減または転換である。負債の削減・転換から除かれる範囲も条文に置かれている。域内でこの水準の破綻処理法制を持つのは、ジョージアとカザフスタン、ウズベキスタンである。
預金保護 — 限度額と、資金の出どころ
預金保護の限度額は国ごとに大きく違い、対象の範囲も一様ではない。カザフスタンは預金の種類と通貨で3段階に分けており、テンゲ建ての貯蓄性預金が2,000万テンゲ、その他のテンゲ建てが1,000万テンゲ、外貨建てが500万テンゲである。同一銀行で複数の種類を持つ場合の合計は2,000万テンゲまでとされる。国内通貨で長く預けるほど手厚くなる設計で、ドル化を下げる政策と方向が揃っている。一方、法人の預金、貸金庫の中身、預金証書、そしてイスラム銀行に置かれた預金は保証の対象外である。
ジョージアは通貨を問わず5万ラリで、2026年4月1日に3万ラリから引き上げられた。特徴は対象の広さで、個人だけでなく法人と組織単位の預金も保護される。商業銀行に加えてマイクロバンクも制度に参加する。除かれるのは、銀行の役員とその家族、資本の5%以上を持つ株主とその家族、金融機関と行政機関の預金である。
アルメニアはドラム建てのみの場合1,600万ドラム、外貨建てのみの場合700万ドラムで、国内通貨を優遇する点はカザフスタンと同じである。アゼルバイジャンは1行あたり10万マナトだが、個人が事業のために開いた口座は2万マナトに下がり、公証人の預り金は全額が支払われる。あわせて保護の対象となる預金には金利の上限が設けられており、国内通貨建て12%、外貨建て2.5%を超える金利の預金は保護の枠から外れる。高い金利で資金を集める銀行に預金保険が補助金として働くことを避ける仕組みである。
資金の出どころは、域内でも国際基準に沿って事前積立が主流になっている。カザフスタン預金保証基金は1999年11月15日に国立銀行が設立した非営利の株式会社で、国立銀行が単独株主である。参加銀行は2026年9月時点で20行、保険料は四半期ごとに徴収され、料率は銀行のリスク区分によって変わる。基金は15の量的指標と4つの質的指標で各行を採点し、A(90〜100点、0.07%)、B(75〜90点、0.08%)、C(60〜75点、0.12%)、D(40〜60点、0.20%)、E(0.36%)の5区分に分ける。各行の区分と料率は非公開である。特別準備金の目標は保証対象預金の5%以上とされ、不足する場合は基金の授権資本の70%までを充てられるほか、追加拠出と国立銀行からの借入という手当てが法律に置かれている。
不良債権と資本の実績値
カザフスタンの監督当局は月次で部門全体の数字を公表しており、2026年8月1日時点の銀行部門は23行、資産75兆6,000億テンゲである。基本資本充足率は19.9%、自己資本充足率は20.7%で、当局は規制の水準を大きく上回るとしている。90日超の延滞債権の比率は4.1%(1兆9,000億テンゲ)で、内訳は個人向けが4.7%(1兆2,000億テンゲ)、事業者向けが3.9%(6,250億テンゲ)である。引当による不良債権のカバー率は60.4%だった。同じ月の預金のドル化率は19.1%である。
ジョージアは2023年1月1日に銀行部門を国際財務報告基準へ移行させた。この移行にあたり、規制資本のコストに対して中立を保つという方針を掲げ、資本の枠組みに信用リスク調整バッファーを追加した。資産に対して積む予想信用損失が不足する場合に、その分を資本で埋めさせる仕組みである。会計基準の変更が資本規制の実質的な緩和や強化にならないよう調整した例といえる。
不良債権の比率を国どうしで比べるときには注意が要る。90日超の延滞という目安は共通していても、分類の細目、担保の評価、条件変更した債権の扱い、引当の水準の決め方は国ごとに違う。同じ4%でも、内容が同じとは限らない。
数字の読み方
第一に、自己資本比率が何を指しているかを確かめる。カザフスタンの公表値は基本資本充足率と自己資本充足率の二つで、ジョージアは普通株式等Tier1、Tier1、規制資本の三つの層それぞれについて要件を公表する。層が違えば分子が違うので、数字だけを並べても比較にならない。
第二に、最低比率とバッファーを含む所要水準を混同しない。ジョージアの第2の柱の要件は、2026年第2四半期で連結の普通株式等Tier1が4.98%だが、行ごとには1.74%から15.93%まで幅がある。連結の数字は加重平均であって、どの銀行にも4.98%が課されているという意味ではない。
第三に、預金保護の限度額は1人1行あたりである。複数の銀行に分けて預ければ、それぞれの銀行について限度額まで保護される。逆に同一の銀行に複数の口座を持っていても、上限は合算で判定される。
第四に、付保預金の比率は上限の水準に左右される。ジョージアでは2026年7月31日時点で、19行の預金総額753億7,594万ラリに対して付保預金が159億8,175万ラリ、すなわち21.2%である。この比率は2026年4月1日の上限引き上げ(3万ラリから5万ラリ)で押し上げられているので、時系列で並べるときは上限の改定日を確かめる必要がある。
第五に、銀行の数え方を確かめる。カザフスタンの23行には子会社銀行10行が含まれる。ジョージアの19行にはマイクロバンクは含まれない。非居住銀行の支店を数えるかどうかも国によって違う。
第六に、監督当局の公表値と個別行の開示値は基準日と作成基準が違いうる。監督当局の集計は規制上の報告にもとづき、上場行の決算は国際財務報告基準にもとづく。同じ「自己資本」でも一致しないことがある。
参考資料
- О банках и банковской деятельности в Республике Казахстан(2026年1月16日 第258-VIII号。免許の区分、第72条のプルーデンシャル規制、第73条のマクロプルーデンシャル規制、第74条の引当、破綻処理の章) ↗
- О банках и банковской деятельности в Республике Казахстан(1995年8月31日 第2444号。冒頭に第258-VIII号による廃止と経過措置の記載) ↗
- Агентство Республики Казахстан по регулированию и развитию финансового рынка(設立の根拠と権限) ↗
- О состоянии банковского сектора Казахстана на 1 августа 2026 года(金融市場規制・発展庁。銀行数、資産、自己資本充足率、延滞債権、引当カバー) ↗
- Что гарантируется — カザフスタン預金保証基金(保護の対象と限度額) ↗
- Устойчивость системы гарантирования депозитов в Казахстане — 同基金(特別準備金の目標、差別化された保険料率) ↗
- Банки-участники — 同基金(参加銀行の一覧) ↗
- Systemic Buffer — ジョージア国立銀行(システム上重要な銀行と2023〜2026年のバッファー) ↗
- Pillar 2 Buffers — 同(第2の柱の5種のバッファーと2026年の所要水準) ↗
- Countercyclical Capital Buffer — 同(0〜2.5%の範囲、四半期ごとの決定、適用の猶予) ↗
- MREL — 同(損失吸収力の最低要件の水準と期日、ベイルイン条項の義務化) ↗
- Who is insured — ジョージア預金保険庁(対象と5万ラリの限度額) ↗
- Information about Deposits as of July 31, 2026 — 同(19行の預金総額と付保預金) ↗
- Deposit Guarantee Fund(アルメニア。ドラム建て1,600万・外貨建て700万の保証額) ↗
- Sığortalanmış əmanət — アゼルバイジャン預金保険基金(10万マナトの補償と金利の上限) ↗
- Maliyyə xidmətləri bazarında tənzimləmə və nəzarət sisteminin idarəedilməsinin təkmilləşdirilməsi haqqında Sərəncam(2019年11月28日。金融市場監督機構の廃止と中央銀行への権限移管) ↗
- О гарантиях защиты вкладов в банках(ウズベキスタン、2025年2月18日 第ZRU-1031号。2億スムの補償上限、基金の資金、3年ごとの見直し) ↗
- О санации и ликвидации банков(ウズベキスタン、2025年6月23日 第ZRU-1070号。処理の原則と手段) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年9月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。