アゼルバイジャン中央銀行は2026年10月29日、理事会が政策金利(リファイナンス金利)を6.5%、金利回廊の下限を5%、上限を7.5%で据え置くと決めたと発表した。インフレ率とインフレ期待、外貨市場、銀行部門の流動性、世界の金融環境を考慮したとしている。
前回の9月23日の決定では、政策金利と上限を据え置き、下限だけを0.5ポイント下げて5.5%から5%にした(9月24日から適用)。中銀は当時、銀行部門の流動性が余っているなかで銀行間市場の取引を促すことが狙いだと説明していた。政策金利と上限は2026年2月5日から変わっていない。
9月の年間インフレ率は5.5%で、8月より0.2ポイント下がり、目標の4±2%の範囲内にある。品目別では食品・アルコール飲料・たばこが6.9%、有料サービスが5.1%、非食品が3.6%で、コアインフレ率は4.9%だった。10月の基本シナリオの予測では、インフレ率は2026年末、2027年末ともに5.9%で、7月の予測から2026年は0.2ポイント下げ、2027年は0.1ポイント上げた。この予測は、国が定める価格と料金が変わらないことを前提にしている。
| 項目 | 9月23日の発表 | 10月29日の発表 |
|---|---|---|
| 政策金利 | 6.5%(据え置き) | 6.5%(据え置き) |
| 金利回廊 | 5〜7.5%(下限を0.5ポイント引き下げ) | 5〜7.5%(据え置き) |
| 年間インフレ率 | 5.7%(8月) | 5.5%(9月) |
| コアインフレ率 | 5.1%(8月) | 4.9%(9月) |
| 中銀の外貨準備 | 153億ドル(8か月で32.9%増) | 154億ドル(9か月で33.4%増) |
| 両替所の現金外貨の買い取り超過 | 6億7,300万ドル(1〜8月) | 7億5,900万ドル(1〜9月) |
| 貿易黒字(国家関税委員会) | 104億ドル(1〜8月) | 105億ドル(1〜9月) |
| 送金の収支(速報) | 7億5,100万ドル(1〜8月、前年同期比74.1%増) | 8億3,050万ドル(1〜9月、同70%増) |
中銀によると、今年に入ってからの期間、外貨市場では現金・非現金の両方で供給が需要を大きく上回った。中銀は需要が急減し供給が増えるなかで外貨を買い入れ、外貨準備は9か月で33.4%増えて154億ドルになった。居住者個人の預金のドル化率は12か月で3.3ポイント下がり、9月に25.7%になった。タレ・カジモフ総裁は同日の記者会見で、中銀は今年36億ドルの外貨を買い入れてマナトを供給しており、年末までにさらに約5億〜10億ドルを買い入れる可能性があると述べた。外貨準備を一定の水準へ引き上げる目標や上限は無いとも述べた(APA通信の報道)。
中銀は、主要な輸出品の価格が高いことと、石油ガス以外の財・サービスの輸出の好調が続いていることを挙げ、2026年と2027年の経常黒字の予測を上方修正した。新しい予測は、2026年が85億ドル(GDPの10%超)、2027年が54億ドル(GDPの6%超)である。9月の発表は2026年末の予測を上方修正する可能性に触れていたが、額は示していなかった。カジモフ総裁は会見で、この予測の前提とした原油の年平均価格を2026年は1バレル92.8ドル、2027年は82.8ドルとし、GDPの成長率の予測を2026年1.3%(上方修正)、2027年2.4%、うち石油ガス以外の部門を2.8%と4.3%とした(同)。
銀行部門の流動性は余剰が続いている。法定準備を除いた構造的な流動性の余剰は9月末で62億マナトと、前年12月の2.2倍になった。無担保の銀行間金利AZIRの日平均は8月6.31%、9月5.93%、10月のこれまでの期間は5.99%だった。
中銀は、インフレのリスクは主に国外にあるとみている。地政学的な不確実性のなかでエネルギーと食料の価格が上がり、それが主要な貿易相手国を通じて国内の価格へ波及するリスクは大きいままで、その度合いはマナトの名目実効為替レートの動きにも左右されるという。一方、現在の財政・金融政策のもとでは、国内の需要がインフレ圧力を大きく強めるとは見ていない。次回の金利回廊の決定は12月23日に発表する。
