米下院歳入委員会は2026年9月2日、「重要資源とサプライチェーンを確保するための戦略的パートナーシップ」と題する全体公聴会をキャノン下院事務所ビル390号室で開いた。8月26日に出た開催告知は、中央アジアとアフリカのパートナーシップに重点を置くと明記している。証人は5人で、委員会は9月4日に公聴会の要点をまとめた記事を公式サイトに載せた。カザフスタンは、ウランとタングステンの供給元としても、冷戦期の通商制限が今も適用される国としても、繰り返し取り上げられた。
公聴会は、ジェイソン・スミス委員長(ミズーリ州第8区)がウズベキスタン、カザフスタン、モンゴルへ議会代表団を率いた翌週に開かれた。委員長は冒頭発言で、3か国はいずれも中国とロシアの影響のはざまにあり、米国を強い通商相手として求めていると述べたうえで、カザフスタンはすでに米国のウラン輸入の4分の1超を供給しており、ウズベキスタンは2030年までに自国のウラン生産をほぼ倍増させようと急いでおり、モンゴルは世界最大級の銅・金鉱床の上にあると挙げた。中国については、米国が重要と指定した60鉱種のうち30鉱種で世界最大の生産国であり、レアアースの世界の処理能力の約90%を握るとした。
そのうえでスミス委員長は、ジャクソン=バニック修正条項(Jackson-Vanik Amendment)として知られる現行法が1974年以来、一部の旧共産圏諸国との通常の通商関係を維持するために毎年の適用免除を必要としてきたと述べ、先の中央アジア訪問から、この地域のパートナーがこれらの制限を経済関係の深化の妨げと見ていることは明らかだと続けた。中央アジアとのパートナーシップ強化を推してきた議員として、キャロル・ミラー議員とジミー・パネッタ議員の名を挙げている。
ジャクソン=バニック修正条項は、1974年通商法(公法93-618)第4編第402条として1975年1月3日に発効した規定である。合衆国法典第19編第2432条に収められている。
条文は、非市場経済国について、大統領が(1)自国民に移民の権利または機会を認めない、(2)移民または移民に必要な査証その他の文書に名目的な水準を超える税を課す、(3)移民を望むことを理由に国民に名目的な水準を超える税・課徴金・罰金・手数料を課す、のいずれかに当たると判断した期間、その国の産品は無差別待遇(通常の通商関係)を受けられず、その国は米国政府の信用供与・信用保証・投資保証の制度に参加できず、大統領はその国と通商協定を結べないと定める。1998年の改正で、条文上の「最恵国待遇」という語が「通常の通商関係」に置き換えられた。
その国が(1)から(3)に違反していないとする報告を大統領が議会に提出して初めて、無差別待遇と信用供与制度への参加、通商協定の締結が可能になる。報告は当初の提出の後も、毎年6月30日と12月31日までに現況を添えて出し続けることが求められる。あわせて大統領は、行政命令でこれらの規定の適用を免除することもできる。免除の権限は12か月ごとの延長を重ねる形で維持される。したがって、待遇そのものが与えられていても、その根拠は期限付きの手続きに依存し続ける。
恒久的に対象から外すには立法が要る。第4編の適用を終える法律を作り、大統領が「その国にはもはや第4編を適用しない」と判断して無差別待遇の延長を宣言すると、以後その国に第4編は適用されなくなる。キルギスは2000年5月18日に成立した公法106-200(2000年通商開発法)第302条でこの手続きを通った。ロシアとモルドバは2012年12月14日成立の公法112-208で第4編の適用が終わっている。ただしロシアについては、2022年4月8日に成立した公法117-110がロシアとベラルーシの通常の通商関係の待遇を停止しており、ジャクソン=バニックからの卒業と、その後の通商上の扱いとは別の話である。
ハーブスト元大使の書面証言によれば、ジャクソン=バニックはロシアやキルギスを含む多くの国で解除された一方、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンに、そしてアゼルバイジャンにも今なお適用されている。
証人5人のうち4人が、書面証言でこの条項に言及した。3人は適用を終えることを明言し、1人は検討を促す書き方にとどめている。対象として挙げた国は証人ごとに異なる。
| 証人 | 所属 | 挙げた対象国 | 書面証言で求めた内容 |
|---|---|---|---|
| ジョン・ハーブスト(元駐ウズベキスタン大使) | アトランティック・カウンシル ユーラシアセンター上級部長 | カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、アゼルバイジャン | 適用の終了(C5+1の会合前に立法を) |
| ダニエル・ランデ | 著述家、米輸出入銀行サブサハラ・アフリカ諮問委員会の元委員長 | カザフスタン、ウズベキスタン(アゼルバイジャンは検討を提案) | 卒業と恒久的通常通商関係の付与 |
| モーガン・バジリアン | コロラド鉱山大学ペイン公共政策研究所長 | カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン | 提出済み法案の可決 |
| グレイスリン・バスカラン | CSIS重要鉱物安全保障プログラム部長 | カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタンほか | 撤廃の検討 |
| メリンダ・セントルイス | パブリック・シチズン グローバル・トレード・ウォッチ部長 | 言及なし | 言及なし |
質疑でもこの論点が出た。スミス委員長がAGOA(アフリカ成長機会法)の長期延長やジャクソン=バニックの扱いの変更から得られる戦略的な利点を問うと、ランデ氏は「この委員会には、中央アジアを世界のきわめて重要な一部と見なすという積極的な一歩を踏み出す力がある。姿を見せること、いらだちの種を取り除くこと、明確な競技規則を定めることだ」と答えた。ネイサニエル・モラン議員(テキサス州第1区)が中国とロシアの影響力を問うた場面では「この4か国からジャクソン=バニックを外そう。それは大きな前進になる」と述べている。委員会の総括記事は、この「4か国」が具体的にどこを指すかを示していない。
行政府の立場についても証言に記述がある。バジリアン氏は、ルビオ国務長官が2026年6月に下院外交委員会で、政権も撤廃を支持すると述べたと書いた。ハーブスト元大使も同長官が撤廃を支持しているとしたうえで、同長官が年内に域内すべての国を訪問すると約束したこと、今年のC5+1が秋にウズベキスタンで開かれるとの観測があることに触れ、その会合の前に議会が撤廃の立法を済ませるよう促している。
制度を実際に動かすのは法案である。カザフスタンを対象から外す法案は第119議会に出ている。H.R.1024で、法案が定める略称は「米・カザフスタン通商近代化法(US-Kazakhstan Trade Modernization Act)」である。カザフスタンの産品に無差別待遇(通常の通商関係の待遇)を及ぼす権限を大統領に与える、短い内容である。米政府出版局が公表する法案原文によれば、提出は2025年2月5日、提出者はジミー・パネッタ議員(カリフォルニア州第19区、民主党)で、同じ日に歳入委員会へ付託された。原提出時の共同提案者は8人で、スミス委員長が冒頭発言で名を挙げたキャロル・ミラー議員(ウェストバージニア州第1区、共和党)もその一人である。
法案は認定として、カザフスタンが国民に移民の権利と機会を認めていること、1974年通商法第4編の移民の自由の要件について1997年以来、完全に適合していると認定されてきたこと、1992年から通常の通商関係の待遇を受け、1994年に米国との二国間投資条約が発効したこと、2015年11月30日に世界貿易機関へ正式加盟したことを挙げる。仕組みは2000年のキルギスの条文と同じで、大統領が第4編をカザフスタンにもはや適用すべきでないと判断し、無差別待遇の延長を宣言すると、以後カザフスタンに第4編は適用されなくなる。
ただし、公聴会で議論されたことと、法が変わることは別である。米政府出版局の法案経過記録は2026年8月25日が最終更新で、H.R.1024の最新の議事は2025年2月5日の歳入委員会への付託のままである。委員会の採決も、報告書の提出も、本会議の議事も記録されていない。公表されている法案本文も提出時の版だけである。共同提案者は提出後に増えて34人となり、内訳は共和党22人、民主党12人、直近の追加は2026年8月24日である。委員会の9月4日の総括記事に、この法案の採決日程は示されていない。成立するには下院と上院を通過して大統領の署名を得たうえで、さらに大統領の判断と宣言が要る。
対照的に、アフリカ向けの制度は同じ週に動いた。委員会の総括記事は、AGOAの2028年までの延長が同じ週に議会を通過し、大統領が署名して法律になったと記している。同じ公聴会で扱われた二つの通商制度のうち、一方は成立し、もう一方は委員会にとどまっている。
書面証言に出た数字は、カザフスタンの資源上の位置づけを具体的に示している。ハーブスト元大使は、カザフスタンが世界最大のウラン生産国で世界の生産の39%を占め、チタンの生産量は世界3位、マンガンの埋蔵量は世界2位、銅の埋蔵量は約3,600万トンで、リチウムとタングステンにも相当の埋蔵があるとした。バジリアン氏はウランについて世界の産出の約40%、確認されている世界のウラン資源の約14%を保有すると記している。バスカラン氏はカザフスタンを世界最大のウラン生産国であり、タングステン、クロムなど戦略金属の主要な供給源だとした。
それでも米国との結びつきは薄い。ハーブスト元大使は、中央アジアからの鉱物輸出のうち米国向けは2.1%にすぎないと書いた。米国勢調査局の統計に基づくとして、米国と中央アジアの貿易額は2006年の22億ドルから2025年の65億ドルへ名目で増え、インフレ調整後では85%の増加だとしている。2025年11月にワシントンで初めて開かれたC5+1の首脳会合では、カザフスタンとの間で最大170億ドル規模の商談が結ばれ、ウズベキスタンは10年間で最大1,000億ドルの購入と対米投資を約束したとも記した。同氏はまた、中央アジア5か国が2025年末にアゼルバイジャンを加えてC6と呼ばれる枠組みとしたことに触れ、C5+1がC6+1になるかについて政権はまだ立場を示していないとしている。
ウラン取引の実務に踏み込んだのはバジリアン氏である。カザフスタンが世界の約40%を産出しても、その多くはロシアの転換・濃縮設備とサンクトペテルブルク港を経由して西側の電力会社に届いている。ロシア産の濃縮ウランに対する法律上の禁止は2028年1月に発効し、米国の電力会社は、これまで米国内の濃縮役務の4分の1近くを担ってきたこの供給源を置き換える期限を負う。同氏は、カザフスタンの鉱石を多く買うだけではこれは解決しないとし、カザフスタンとウズベキスタンのウランがロシアを通らずに西側の転換・濃縮設備へ届く中間回廊の輸送路と、増える量を吸収できる国内および同盟国の濃縮能力の双方を議会が支えるべきだと書いた。
輸送路は質疑でも出た。グレッグ・スチューベ議員(フロリダ州第17区)の問いに、ハーブスト元大使は、中央アジアは内陸であることが最大の問題であり、カザフスタンが欧州との間で製品を出し入れする構想として中間回廊を発展させてきたと述べ、南コーカサスの「トランプ回廊」がこれと自然につながるとした。同氏は書面証言で、この回廊をTRIPP(Trump Route for International Peace and Prosperity)と記している。もっとも回廊の現状は、この見通しほど単純ではない。輸送回廊研究センターはザンゲズル回廊の完成を2030年と見ており、アルメニアのパシニャン首相は8月24日の国民議会で、TRIPPの枠内で最初に稼働するインフラは送電線になる可能性が高いとの見通しを示している。
投資の判断材料についても指摘があった。バジリアン氏によれば、C5+1の重要鉱物対話は2026年6月にアスタナで再び開かれ、そこで米商務次官補が、米国の投資を縛っているのは政治リスクではなく利用可能な地質データだと出席者に語った。中央アジアの鉱物資源について、包括的に電子化された地質調査はまだ存在しないとも書いている。カザフスタンは地質・地球物理探査の対象を年内に220万平方キロメートルへ広げ、20万分の1の広域調査から5万分の1の詳細地質図へ切り替える計画を進めている。
5人目のセントルイス氏はジャクソン=バニックに触れず、鉱物取引に投じられる米国政府の資金の監督を主題にした。同氏の書面証言は、2026会計年度の国防授権法によりDFC(米国国際開発金融公社)の偶発債務の上限が600億ドルから2,050億ドルへ引き上げられ、財務省に50億ドルの株式リボルビング基金が設けられたと記す。2025年以降にDFCが支援を確定した重要鉱物事業の対象国にはカザフスタンが入っており、カザフスタンのタングステン採掘についてはDFCと輸出入銀行が最大16億ドルを提示したとしている。同氏はこれを利益相反の懸念に結び付けているが、根拠として挙げているのは報道であり、証言自体に独自の事実認定は示されていない。カザフスタンのタングステンでは、北カトパルとアッパー・カイラクティの2鉱床を対象に米コーブ・キャピタルが70%、国営タウケン・サムルクが30%を持つ一貫生産事業が動いており、2026年8月31日にはこの事業が実務段階に入ったとタウケン・サムルクが発表している。
公聴会が示したのは、この論点が委員会の場で正面から取り上げられたことである。法案の共同提案者は共和党22人と民主党12人にまたがり、ランデ氏も書面証言で、これは党派の問題であるべきではなく、両党の議員がジャクソン=バニックからの卒業を支持してきたと書いた。ただし、カザフスタンにとって当面の実務が変わるわけではない。法案の認定によれば同国は1992年から通常の通商関係の待遇を受けており、H.R.1024が変えるのは待遇の水準ではなく、その待遇が毎年の手続きに依存している状態である。バスカラン氏はこの点を、米国は30年の鉱山事業に資本を投じるよう自国企業に求めながら、通商関係そのものは冷戦期の法律のもとで1年ごとに更新されている、と表現した。その法律をカザフスタンについて終わらせる法案は、2025年2月の付託以来、歳入委員会にとどまっている。
