カザフスタンが、未開発としては世界最大級の2つのタングステン鉱床を、同国初の一貫生産事業に転換する計画を進めている。鉱石を原料のまま輸出するのではなく国内で加工する方式であり、重要鉱物からより多くの付加価値を取り込む狙いである。アスタナ・タイムズが伝えた。
対象となるのは北カトパルとアッパー・カイラクティの2鉱床で、カラガンダ州シェト地区に位置する。州都カラガンダから約130キロメートルで、輸送と電力の基盤に近い。
事業主体は合弁で、米国のコーブ・キャピタルが70%、カザフスタン国営鉱業会社タウケン・サムルクが30%を保有する。コーブ・キャピタルは最低11億ドルの資金に加えて、加工技術と国際市場への販路を提供する見込みである。
合意は2025年11月、カシムジョマルト・トカエフ大統領のワシントン訪問中に署名された。2026年2月には株式譲渡契約と株主間契約を含む一連の取引文書が締結され、投資が正式なものとなっている。
「北カトパル事業は、北カトパルとアッパー・カイラクティの両鉱床を基盤に、採掘・選鉱から冶金処理までの完全な生産サイクルをカザフスタン国内に構築するものである。この種の事業が同国で実施されるのは初めてだ」——事業側はそう説明している。
タングステンは硬度と融点の高さから、切削工具、装甲、半導体製造装置などに使われる。中国が世界の供給の大半を握っており、西側諸国にとっては供給源の分散が課題になっている重要鉱物である。米国企業が過半を握るこの案件には、その文脈も重なる。
カザフスタンにとっての意味は「原料を掘って売る」段階からの脱却である。ただし一貫生産には冶金処理の技術と電力、そして安定した需要先が要る。事業が計画どおり進むかどうかは、同国の資源政策の転換が実現可能かを測る試金石になる。
