タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領は2026年10月28日、中小企業の活動に対するあらゆる種類の検査を停止する令第1237号に署名した。停止の期限は2029年1月1日で、税務当局の検査は停止の対象から除く。政府には、令を実施するための法令を1か月以内に提出するよう命じた。令の全文は同じ日に国営通信ホバルと大統領府のサイトに掲載された。
検査の停止を新たに設けたのではない。現行の停止は2025年1月10日の令第915号によるもので、対象は事業者全般、期限は2027年1月1日、除外は同じく税務当局の検査である。今回の令は対象を中小企業に絞ったうえで、期限を2年先へ延ばした。
延長の方針は、大統領が10月14日の企業家・投資家との会合での演説で表明していた。演説は2025年の停止を、事業者支援の政策として「5回目」に導入したものと位置づけ、中小企業について税務当局の検査を除き2029年1月1日まで2年延長すると述べた。それ以外の事業者については、2027年1月1日から、法律とリスク評価にもとづいてのみ検査を行うべきだとした。10月28日の令が定めているのは中小企業の停止だけで、それ以外の事業者の扱いは書かれていない。
演説は政府に対し、検事総局や関係省庁と共同で、停止の延長と検査制度の改善に必要な法令案を2026年12月1日までに作って提出するよう命じた。案には、すべての監督機関の検査の計画と実施へのリスク管理制度の導入、根拠のない検査や重複する検査の防止、罰金の代わりに警告を出す手続き、事業への不当な介入に対する責任の強化を盛り込むよう求めた。
ホバルが令とあわせて掲載した解説によると、停止にかかわる事項は法律「事業者の活動に対する検査のモラトリアムについて」が定め、停止の期間中は中小企業の検査に関する法令の規定の効力が止まる。中小企業の定義と、税務当局のほかに停止の例外となる場合の中身は、令にも解説にも書かれていない。演説は、法律が定める例外的な場合を考慮して実施すると述べている。
域内では、ウズベキスタンが8月27日に署名した大統領令UP-175で、小企業への検査を3年間停止した(ウズベキスタン、大統領令UP-175が8月28日施行。小企業の検査を3年停止)。刑事事件、健康への影響、労働法令、市民の申立てなどにかかわる検査は除かれる。カザフスタンでは、カシムジョマルト・トカエフ大統領が10月28日の国民への教書で、2027年1月1日から新たな3年間の検査の停止を導入することの是非を、クルルタイ(議会)の議員と政府で協議するよう提案した。2020〜2023年に零細・小規模事業への検査を停止した経験を挙げての提案だが、提案の文は新たな停止の対象を示しておらず、制度として決まったものでもない。
ウズベキスタンの令が対象を小企業までにとどめるのに対し、タジキスタンの令は中規模の企業まで含める。一方、それ以外の事業者は、演説のとおりなら2027年1月1日から停止の対象を外れ、リスク評価にもとづく検査に移る。令と解説は中小企業の定義を示していない。停止の内と外の線をどう引くかは、政府が1か月以内に出す法令と、演説が12月1日までと期限を切った法令案で具体化されることになる。
