ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は8月27日、大統領令UP-175に署名した。企業家との第6回公開対話で示された課題を実施するための政令で、国家法令データベースに8月28日付、番号06/26/175/0878で公布され、同じ8月28日から効力を持つ。本文は35項からなり、付属書が5つ付く。政令は、対話とその準備の会合に寄せられた約1万4,000件の申立てを起点に掲げている。
その対話は8月18日にホレズム州ヒヴァで開かれた。罰金の平均50%引き下げ、30種超の許認可の廃止、人工知能の導入費用の半額補助などが並んだ場である。その対話を伝えた記事では、企業と国の紛争に持ち込まれる推定の原則について、導入は2027年からとされていた。対話の場でそう表明されていたためである。
政令にその繰り延べは無い。第11項と第12項には適用開始の日付が置かれておらず、第32項は国家機関に対し、下位法令や省庁の指示の採択を待たず、政令の規範の施行の時点から無条件かつ直接に適用するよう命じている。政令の用語は「企業活動主体の正当性推定」で、8月28日から効力の範囲に入っている。
第11項が置く内容は三つである。国家機関が反対を証明するまで、企業家とその役職者は法令に従って行動し義務を適切に履行したものと見なす。紛争を裁く裁判所や行政機関では、国家機関がとった決定や法的措置の妥当性・適法性・比例性と、違反の事実そのものを証明する義務が、全面的に国家機関の側に置かれる。法令の解消できない矛盾・不明確さ・食い違いと、国家機関が示した証拠の不足から生じる疑いは、無条件かつ直接に企業家に有利に解釈される。第12項は、行政裁判所が国家機関に決定の再審査を命じた場合、裁判所の法的見解を考慮することが義務づけられ、再審査の結果が従前より企業家の立場を悪化させてはならないと定める。再審査の期限は判決の確定から30日で、期限を過ぎた後はその事件について企業家にいかなる法的措置も適用できない。
ただし同じ政令が、この原則を法律に落とし込む作業も命じている。第13項は法務省に、最高裁判所および検事総局と共同で、第11項と第12項の規範に沿って法令を改正する法案を3か月以内に閣僚会議へ提出することと、関係省庁の規範文書をこの保障に完全に一致させることを求めている。直接適用を命じる条文と、3か月以内の立法を求める条文が、同じ政令の中に並んでいる。
措置ごとに効力の発生時点が違うので、主なものを並べる。
| 条項 | 内容 | 効力・期日 |
|---|---|---|
| 第1〜3項 | 小企業への検査を3年間停止。刑事事件、健康への影響、労働法令、市民の申立て、付加価値税の還付、清算に伴うものは除く | 3年間 |
| 第7項 | 中小企業の経済恩赦「セカンドチャンス」 | 2026年12月31日まで |
| 第9項 | 経済財務省などの提案に同意し、物品・サービスの現金決済の上限を基準計算額の400倍に設定 | 8月28日から |
| 第11〜12項 | 企業活動主体の正当性推定。立証責任を国家機関に置く | 8月28日から |
| 第10項 | 全種類の罰金を棚卸しし、平均で2分の1に引き下げる法令案を閣僚会議へ提出 | 3か月以内 |
| 第13項 | 第11・12項を法律に反映する法案を閣僚会議へ提出 | 3か月以内 |
| 第25項 | 不当な刑事訴追から企業を守り、第24項に挙げた事項の手続きを定める法案を策定 | 3か月以内 |
| 第8項 | 遠隔遮断機能付き計量器を持つ事業者の電力・ガスの月次前払いを15%に | 2026年11月1日から |
| 第4項 | 中堅・大企業の自主監査の法的実験、1年以内の再検査はオンブズマンの許可制、「初回の誤りは警告」 | 2027年1月1日から |
| 第14項 | スタートアップ計画。国立ベンチャー基金UzVCが8分野で最大30件に各最大50億スム | 2027〜2030年 |
| 付属書3の1 | 30種超の許認可を廃止する大統領令案 | 2026年9月 |
| 付属書3の25 | 「1万社にAIパートナー」計画を含む大統領令案 | 2027年2月 |
| 付属書3の55 | 「沈黙は同意」が適用されていない企業向け行政サービスの50%を同原則へ移す閣僚会議決定案 | 2027年4月 |
検査の停止は第1項から第3項に置かれている。対象は小企業で、恩赦の対象である中小企業より狭い。期間中に、除外に当たらない検査を小企業に行うことは違法とされ、行った者は所定の手続きで責任を問われる。あわせてビジネス・オンブズマンが「実効的統制」という取り組みを行い、監督機関の過去3年分の検査資料を現地に出向いて全件精査する。半年ごとに大統領府へ報告し、2028年12月1日までに、予防的で結果を重視する統制の仕組みについて提言を出す。
第7項の経済恩赦「セカンドチャンス」は、対象を中小企業に限り、期限を2026年12月31日に置く。恩赦の公表前に生じた税の滞納を、延滞金を除いて12月31日までに全額納付すれば、その滞納に課された延滞金は帳消しになり、関連する強制執行の手続きも終わる。この扱いには条件が付いていて、2027年1月1日の時点で、延滞金を除く税の滞納が無いことが求められる。納税者が自ら過去の申告を訂正して追徴税額を年内に全額納めた場合は、その額に延滞金を課さない。自主的に誤りを直した者は事業者持続性レーティングの点数を下げられず、税・手数料の支払指図書を銀行に出さなかったことへの行政責任も免除される。2026年1月1日より前に生じた債務のうち帳消しの対象になるのは、申告の遅延に科された行政罰金の未払分と、定額の売上高税の納税者に科された財務罰金の未払分に限られる。本税そのものが消えるわけではない。
2027年1月1日からの措置は第4項にまとまっている。中堅・大企業が監査法人を使って自らの税額計算を点検し、税務当局がその監査意見を承認する仕組みを、2028年12月31日までの法的実験として導入する。監査が行われた期間について税務当局は税務調査を行わない。ただし監査意見が扱っていない違反が見つかった場合は別である。監査法人が責任を負うのは、監査意見が承認されたことで判明した未納分についてである。誤りを30日以内に直せば財務罰金は科されない。同じ日から、1年以内に行う再検査はビジネス・オンブズマンの許可を要し、机上の税務調査だけが例外になる。「初回の誤りは警告」の規則も同日からで、人の生命・健康や他人の財産に害を与えない初回の違反には罰金を科さず、まず10日の是正猶予を与える。
金額を伴う支援は第17項から第21項に置かれた。担い手は株式会社の企業発展会社である。同社が、融資・銀行保証・信用状・リースに最大75%の保証を出し、公共調達に参加する事業者へ契約履行と前払金返還のために最大25億スムの保証を、規律を守る事業者へ最大50億スムの優遇融資を、国の管理下で使われていない建物や資産を買い取る事業者へ最大150億スムのモーゲージを提供する。ホテルについては、2年の据置期間と最長10年の期間で銀行が出す融資のうち、建設向けは最大500億スム、改修と設備向けは最大200億スムを対象に、自国通貨建てなら16%を超える部分、外貨建てならSOFR・EURIBOR・SHIBORの各金利を超える部分の利息を同社が負担する。第19項は同社の出資で、私的投資家の資金を集めて事業に投資する「ビジネス基金」と、マイクロファイナンス機関への信用枠を担う会社を新設させる。第28項は経済財務省に対し、2027年予算の策定にあたって、スタートアップ計画の初期段階の資金として国立ベンチャー基金へ計1,500億スム、この政令が導入する新たな支援策のために同社へ4,000億スムの配分を考慮するよう求めている。
スタートアップは第14項から第16項である。2027年から2030年まで「未来の企業家(Kelajak tadbirkori)」計画を実施し、国立ベンチャー基金UzVCが公開の競争で最大30件を選んで資金を入れる。対象は付属書1が列挙する8分野で、電機、機械・装置製造、医薬品、化学工業、建材、水と省エネの技術、農業と農業技術、航空宇宙が並ぶ。1件あたり最大50億スムを、3年の無利子・無担保の融資として出して将来的に持分へ転換するか、SAFEの形で入れる。国の持分は49%を超えてはならず、創業者には市場価格で買い戻す権利が与えられる。持分の転換と売却で得た資金は、新たな案件の原資に回す。第16項は、登録された案件へ出資した個人に「スタートアップ投資家」の地位を与え、持分の売却益を個人所得税から免除する。保有が3年に満たない場合は免除されない。
刑事手続きは第24項と第25項にある。第24項は検事総局などの提案に同意する形をとる。刑事事件で納めた保釈金の返還について、返還を命じる裁判所の決定を即時執行の対象に含め、法定の期限を守らずに返還が遅れた場合は、遅延の各日について中銀の基準金利で計算した年利分を上乗せして取り立てる。損害賠償として国庫に取り立てられた金銭の返還は、裁判所の決定に基づいて経済財務省が国家予算から行う。刑事手続きで名誉を回復された者への財産的・精神的損害の賠償も、裁判所の決定に基づき、財産被害の補償にあてる共和国目的基金から同省が支払う。確定した判決が提出から10営業日以内に履行されない場合も、未履行部分に同じ基準金利で利息が付く。政令は基準金利の水準そのものを書いていない。ただしこれらはまだ手続きが定まっていない。第25項が検事総局・国家保安庁・内務省・法務省に、不当な刑事訴追から企業を守る法案とあわせて、第24項に挙げた事項の手続きを定める法案を3か月以内に策定するよう命じている。
費用の削減では、第8項が2026年11月1日からの措置を置いた。電力と天然ガスの自動制御・計量システムに接続し、遠隔で遮断と再開ができる計量器を備えた事業者は、月々の消費に対する前払いが15%になる。直近2か月の支払規律を守らなかった者は対象外である。消費量の書面報告の義務は廃止し、供給契約は紙をやめて電子で結ぶ。第9項は、経済財務省などの提案に同意する形で、現金決済の上限を基準計算額の400倍と定めた。付属書5は、2025年12月10日の大統領令UP-246にあった「2,500万スム」という表記をこの倍数に置き換えており、上限は今後、基準計算額の改定に連動して動くことになる。
政令の後半は実施の管理に充てられている。付属書3は作成すべき法令案61本を、担当省庁の責任者名と期限付きで並べた一覧である。付属書4は17項目の実務計画で、年間消費が500万キロワット時を超える事業者との個別の協議など、法令ではない作業が入る。第27項は、指示を完全に果たさなかった、期限に遅れた、あるいは履行を確保しなかった省庁の幹部と担当者について、履行が確保されるまで奨励給の支払を止めると定める。第31項は、法務省が毎月の進捗を会計検査院と閣僚会議に報告し、閣僚会議幹部会が毎月審議し、会計検査院と閣僚会議が毎月、大統領府へ報告する流れを作った。付属書1から4はウズベク語のみで示される。
政令の中で8月28日から条文として効いている主なものは、小企業への検査の停止と正当性推定、そして年末までの経済恩赦である。8月18日の対話で示された措置のうち、「初回の誤りは警告」は2027年1月1日からとされ、罰金の平均半減は3か月以内の法令案、許認可30種超の廃止は2026年9月、人工知能の導入補助は2027年2月、「沈黙は同意」の拡大は2027年4月の法令案として残った。政権は8月28日の独立35周年式典で2030年の国内総生産を3,000億ドルにする目標を掲げたが、UP-175から読み取れるのは目標ではなく、どの措置が8月28日から効き、どの措置が締切を待つのかという区分のほうである。
