中央アジア5カ国にアゼルバイジャンを加えた「C6」と呼ばれる枠組みが、実務の段階へ移りつつある。キルギスのチョルポン・アタで地域の首脳が集まってから2週間足らずの2026年8月、この枠組みの外交官がワシントンでの討論に臨んだ。タイムズ・オブ・セントラルアジアが伝えた。
議論の焦点は、結束をうたう宣言から統合の仕組みへ移った。具体的に挙げられたのは税関、鉄道、電子化された通商、欧州市場へのアクセス、そしてカスピ海を挟む連結の強化である。
この5つは、いずれも本サイトが個別に追ってきた案件と重なる。ウズベキスタンとカザフスタンは19分野の関税・非関税障壁を8月10日から撤廃した。ジョージアではアゼルバイジャンとアルメニアの国境へ通じる高速道路の入札が動き、ポチ港のコンテナ取扱は7%増えている。バクー〜トビリシ間の旅客鉄道は6年ぶりに再開した。宣言ではなく個別の案件として、実際に動いているものがある。
もっとも、統合の障害も同じ場所にある。ジョージア鉄道の貨物輸送量はカザフスタンからの通過が減って4.9%落ち込んだ。カズベギ検問所は土石流警報で全面停止した。税関と鉄道が議題になるのは、そこが詰まっているからである。
EUとの関係も動いている。同じくタイムズ・オブ・セントラルアジアによれば、EUは中央アジアとの貿易、投資、政治の各面での関係を急速に深めつつある。一方で、EUが毎年公表する「世界の人権と民主主義」の国別報告書は、域内の多くの国で人権状況が悪化しているとの評価を示している。カザフスタンについては司法と政治の改革に言及しつつ、懸念も併記された。
経済関係を深めながら人権評価は下げるという組み合わせは、EUがジョージアに対して取っている姿勢とも重なる。EUはジョージアの民主主義の「著しい後退」を指摘して政治対話を停止し、外交旅券保持者の査証免除も止めた。それでも欧州投資銀行は同国の対外公的債務のうち11億8,500万ドルの債権者であり続け、2億5,000万ユーロの高速道路事業に融資している。
投資の観点からは、この二重性そのものが判断材料になる。政治的な評価が下がっても資金は流れ続けるのか、それともある時点で止まるのか。C6の枠組みが実務でどこまで進むかは、その問いとも結びついている。
