ORGANIZATION · GOVERNMENT AGENCY

アゼルバイジャン国家税関委員会

アゼルバイジャンの税関行政を担う政府機関。国境検問所の通関業務を所管し、貨物車の滞留状況や近隣国の税関当局との協議結果を発表する。

State Customs Committee of Azerbaijan
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

アゼルバイジャン国家税関委員会は、同国の税関行政を所管する中央官庁である。通関、関税・税の徴収、密輸取締り、そして対外貿易統計の作成を担う。アゼルバイジャンの輸出入の数字を月次・期間累計で公表しているのはこの機関であり、原油・天然ガスとそれ以外の品目の内訳、相手国別の内訳もここから取れる。

同国の対外貿易は炭化水素の比重が大きいため、税関統計は経済全体の動きを読む主要な材料の一つになっている。

正式名State Customs Committee of the Republic of Azerbaijan(Dövlət Gömrük Komitəsi)
設立1992年1月30日
国際加盟世界税関機構(WCO)に1992年6月加盟
主な法令関税法(1995年)、税関法典(1997年制定、2011年9月に新法典)、国家税関委員会規程(1998年)
主な公表物対外貿易統計、品目別の輸出入上位、関税収入統計、統計公報、国家予算への納付額
言語アゼルバイジャン語・英語(一部ロシア語)

沿革

同委員会の歴史のページによれば、アゼルバイジャンでの関税徴収は9世紀にさかのぼる。近代の税関は帝政ロシア期に置かれたもので、1807年1月25日(ユリウス暦、グレゴリオ暦2月9日)に皇帝アレクサンドル1世が元老院に示した勅令によりバクー税関が設けられ、アストラハン税関管区に属した。のちにアスタラとジュルファにも税関が置かれている。

1918年から1920年のアゼルバイジャン民主共和国期にも税関業務の組織化が試みられたが、23か月で共和国が終わったため完結しなかった。ソ連期には対外貿易が国家独占となり、税関の役割は縮小した。

独立回復後、1992年1月30日に国家税関委員会が設立された。1997年以降、1月30日は税関職員の職業上の記念日とされている。1992年2月24日にはナヒチェヴァン自治共和国最高会議の決定により同自治共和国の税関委員会が設けられた。

1990年代後半から2000年代にかけて法制が整備され、1995年に関税法、1997年に税関法典(2011年9月に新法典を採択)、1998年に国家税関委員会規程、1999年に税関勤務規程、2001年に税関の旗と識別章に関する法律が定められた。

国際的な枠組みへの参加

同委員会は1992年6月に世界税関機構(WCO)へ加盟した。2000年12月にはWCO政策委員会の第44回会合がバクーで開かれ、独立国家共同体(CIS)諸国では初の開催となった。2011年にはWCOの欧州地域能力構築事務所がバクーに開設されている。

条約への加入も進んだ。1996年にTIR条約、2000年2月に物品の国境検査の調和に関する国際条約(ジュネーブ、1982年)、2000年5月に商品の名称および分類についての統一システムに関する国際条約(HS条約)、2002年2月にナイロビ条約、2003年12月に税関手続の簡易化および調和に関する国際条約(改正京都条約)に加入した。1996年には欧州連合およびその加盟国とのパートナーシップ・協力協定に署名している。

何を公表しているか

公式サイトの「税関統計」の下に、対外貿易の状況、輸入額の大きい品目、輸出額の大きい品目、関税収入の統計、統計公報、国家予算への納付額の各欄がある。対外貿易統計は品目別・相手国別の表を含み、期間累計の形で更新される。

このほか、通関に関わる実務情報として、輸入禁止・制限品目、自動車の輸入、郵便物、通貨管理、国境通過地点、税関手数料、税関代理人、事前教示、認定事業者(AEO)制度、グリーン・コリドー制度の説明が置かれている。関税分類(品目表)と税関用語集も公開されている。

国家税関委員会は法令の一覧ページも設けており、税関関係の法令と、意見公募中・公募終了の規則案を掲載している。

対外貿易の状況の報告書は年ごとに整理され、月次と期間累計のPDFとして掲載される。2026年8月時点では2026年分と2025年分の報告が並んでいた。関税収入の統計と統計公報は別の欄にあり、国家予算への納付額も月ごとに公表されている。

公表は税関の記録にもとづく通関ベースの数字である。国家統計委員会が示す貿易額と定義や集計時点が異なることがあり、両者を比べるときは対象範囲の注記を確認する必要がある。

近年の取り組み

電子申告は2016年に開始された。2022年に税関サービスの行動プログラムが承認され、透明性、利用者満足、デジタル化、安定した関税収入、法執行が戦略目標として掲げられた。2023年には運営構想として「税関発展モデル」が策定されている。

2024年初頭には、同委員会の職員が開発したという機械学習ベースの自動リスク分析システム(ARAS)が稼働した。また、中間回廊(カスピ海横断輸送ルート)沿いの貨物移動を対象とするトランス・カスピ海税関通過ポータルの構想を同委員会が主導している。

組織と窓口

国家税関委員会の組織は、本部の各局に加え、地方の税関(customs offices)とその他の税関機関からなる。委員会規程、構成、幹部の一覧、活動報告は公式サイトに掲載されている。

利用者向けの窓口としては、委員長宛ての申立て、委員会宛ての申立て、信頼ホットライン、申立て評議会、面談日の案内があり、公共評議会(Public Council)も設けられている。

支援施設としては、2000年に中央検査所(Central Laboratory)、2003年に世界税関機構の地域研修センターと麻薬探知犬センター、2006年に情報照会センターとサーバー設備がバクーで稼働を始めている。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

MENTIONED IN

先週の中央アジア・コーカサス:ウズベクが2030年GDP目標3,000億ドル、クルルタイ初選挙は得票率71.17%(8月24日〜30日)2026.08.31ウズベキスタンは独立35周年の週に163事業を稼働させ、式典で大統領が2030年のGDPを3,000億ドルにすると述べた。カザフスタンではクルルタイ初選挙の暫定結果でアディレット党が得票率71.17%で最多となり、2027〜29年の予算案の審議も同じ週に入った。物流ではザンゲズル回廊の完成を2030年と見込む分析が出た。アゼルバイジャン税関、ジョージア国境の混雑解消を発表。出国待ちは赤い橋330台・マズムガラ56台2026.08.26アゼルバイジャン国家税関委員会は8月26日、ジョージアとの国境で実施した相互の措置により双方向の車両の混雑は解消し、行列は最小限になったと発表した。出国方向で待機する車両は赤い橋検問所が330台、マズムガラ検問所が56台。同委員会が待機台数を示したのは、今回の混雑をめぐる一連の発表では初めてになる。措置の中身は示されていない。アゼルバイジャンの茶輸出は531トン・470万ドル。輸入はその10倍の8,124トン2026.08.19アゼルバイジャン国家税関委員会によると、2026年1〜7月の茶の輸出は531.33トン・470万ドルで、金額で19.5%増、物量で23.3%増えた。一方、輸入は8,124.63トン・4,870万ドルと輸出の10倍を超える。国内生産は6,537トンで1.9%減った。アゼルバイジャン・ジョージア国境の赤い橋で貨物車1,030台が滞留。両国税関が解消策を協議2026.08.18アゼルバイジャン陸上運輸庁の集計で、対ジョージア国境の赤い橋検問所に出国待ちの貨物車1,030台が並んだ。対イランのアスタラ37台、対ロシアのサムール47台とは桁が違う。国家税関委員会はAPAの照会に、両国税関当局が協議を行い滞留解消の措置を実施する予定だと回答した。アゼルバイジャンの綿花輸出が31.4%増の1億7226万ドル。輸出全体に占める比率は0.89%2026.08.17アゼルバイジャン国家税関委員会によれば、2026年1〜7月の綿花輸出額は1億7226万4470ドルで前年同期比31.4%増えた。輸入は603万9370ドルで6.6%増である。ただし綿花は同国の輸出全体の0.89%にとどまり、石油とガスに偏った輸出構成を動かす規模には至っていない。