ORGANIZATION · DEVELOPMENT BANK

カザフスタン開発銀行

カザフスタンの国策金融機関。

Development Bank of Kazakhstan
公式サイト ↗

解説 · 2026年8月時点

カザフスタン開発銀行(DBK)は、カザフスタンの非資源部門の開発を目的とする国家開発金融機関である。名称に「銀行」とあるが中央銀行ではなく、預金を集めて個人に貸す商業銀行でもない。製造業とインフラの大型プロジェクトに長期資金を供給し、輸出取引を金融面で支える機関であり、役割としては欧州復興開発銀行やアジア開発銀行に近い。

設立の根拠は2000年12月28日の大統領令第531号と、2001年5月18日の政府決定第659号である。2013年5月に持分がバイテレク国家運営持株会社の信託管理へ移され、以後は同持株会社の傘下で国家の産業政策を金融面から実行する役割を担っている。本部はアスタナにある。

正式名Development Bank of Kazakhstan JSC(DBK。カザフ語略称ҚДБ)
設立2000年12月28日の大統領令第531号と、2001年5月18日の政府決定第659号
位置づけ非資源部門の開発を担う国家開発金融機関。中央銀行ではない
所有2013年5月に持分がバイテレク国家運営持株会社の信託管理へ移された
本部カザフスタン・アスタナ市エシル区マンギリク・エル大通り55A
総資産7兆6,703億テンゲ(2025年12月31日時点。前年は5兆6,482億テンゲ)
自己資本1兆1,346億テンゲ(2025年12月31日時点。前年は9,620億テンゲ)
純利益1,114億テンゲ(2025年通期。前年は1,345億テンゲ)
融資実行額1兆4,657億テンゲ(2024年)
格付けS&P、フィッチ、ムーディーズのいずれもカザフスタン国家格付けと同水準
主な子会社産業開発基金(旧DBKリース)、DBKキャピタル・ストラクチャー・ファンドB.V.

事業の性格

DBKの使命は、非資源部門の持続的な発展と、経済成長を支えるインフラの整備を通じて国民の福祉を高めることと定められている。戦略目標として、社会経済的な効果が大きい製造業案件(輸入代替と輸出の可能性を持つもの)の融資、国のインフラ整備の支援、民間部門の役割の拡大、資産の質の確保、資金調達基盤の拡大、ESG原則の実装が掲げられている。

融資の対象は、加工業とインフラの案件で、更地から立ち上げるグリーンフィールド案件と輸出取引を含む。大企業向けの大型案件に特化しており、この点で中小企業向けの窓口とは棲み分けている。中小企業向けのリース金融は、2020年8月18日の大統領指示によりDBKリースを基礎として設立された産業開発基金が担う。同基金は優遇自動車ローン制度の運営主体でもある。

累計の実績として、9兆4,000億テンゲ超を国内経済に投じ、141件の生産設備を立ち上げ、3万4,315人の雇用を生んだと公表している。2024年の融資実行額は1兆4,657億テンゲ、支援先企業の売上高は4兆1,649億テンゲ、そのうち輸出収入は2兆964億テンゲだった。融資・リース資産が総資産に占める比率は67.8%、貸出金の引当率は7.64%である。

財務と資金調達

2025年12月31日時点の総資産は7兆6,703億テンゲで、前年末の5兆6,482億テンゲから大きく伸びた。自己資本は1兆1,346億テンゲ(前年末9,620億テンゲ)、2025年通期の純利益は1,114億テンゲ(前年1,345億テンゲ)である。

資金は国際・国内の債券市場から調達する。2002年10月にルクセンブルク証券取引所で1億ドルのユーロ債を発行したのが最初で、2012年には10億ドルのユーロ債を単一トランシェとして発行した。当時カザフスタンの銀行による単一トランシェとして最大規模で、独立国家共同体の非ソブリン発行体としては歴史的に低い利回りと表面金利だった。同じ2012年には、旧ソ連圏の発行体として初めてイスラム証券(スクーク・アル・ムラーバハ)を発行している。

2017年12月にはテンゲ建てユーロ債1,000億テンゲをカザフスタンの発行体として初めて公募発行し、ほぼ全量を国際投資家が購入した。2023年3月にはカザフスタン証券取引所(KASE)で初のグリーンボンド100億テンゲを発行している。2025年10月16日には、5億ドル建て(表面金利4.60%)と3,000億テンゲ建て(表面金利18.40%)のユーロ債を発行した。

信用格付けは、S&Pグローバル・レーティング、フィッチ・レーティングス、ムーディーズのいずれからもカザフスタン国家と同水準を得ており、同国の準ソブリン・銀行部門の中では最上位に位置する。2003年には、独立国家共同体の機関として初めて3大格付会社すべてから国家並みの格付けを取得した。

国際協力

DBKは海外の開発金融機関との協調にも積極的である。2013年12月には欧州投資銀行と総額1億2,000万ユーロの4件の金融契約に署名した。2023年には中国国家開発銀行との間で3億ドルを上限とする包括的な融資契約を結んでいる。

近隣国との連携も進む。同じく2023年、ウズベキスタン対外経済活動国立銀行との間で、DBKがウズベキスタンの銀行に与信枠を供与する協定に署名した。カザフスタン製品・サービスの輸出金融を目的とするもので、輸出信用機関としての性格が表れている。2018年12月には、キルギスの大型金鉱床ジェルイの金選鉱プラント建設に保証を発行し、初めてカザフスタンのサービス輸出を支援した。

2007年10月には上海協力機構(SCO)銀行間協会の議長行を務めた。この枠組みは現在も維持されており、DBKの国際協力の柱のひとつになっている。

読むときの注意

DBKはカザフスタンの中央銀行ではない。金融政策を決めるのはカザフスタン国立銀行であり、DBKは政府の産業政策を金融面で実行する機関である。報道でこの2つが混同されることがあるため、政策金利や為替に関する発言はDBKのものではないと考えてよい。

また、DBKが公表する「支援先企業の売上高」や「創出された雇用」は、DBKが融資した案件の成果を集計したものであり、DBK自身の売上や従業員ではない。企業の規模を測る数字としては、総資産、自己資本、純利益を見る必要がある。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

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