解説 · 2026年8月時点
ジョージア国家統計局(通称ジオスタット、Geostat)は、ジョージアの公式統計を作成・公表する国の機関である。公法人という形態をとり、府省の下にぶら下がるのではなく、法律に基づいて自律的に活動する。四半期ごとの国内総生産、毎月の消費者物価指数と対外商品貿易、対内直接投資、雇用と賃金、人口といった、この国の経済を論じるときに使われる数字のほとんどは、この機関が出している。
経済統計の一次資料としての位置づけは大きい。国際通貨基金や世界銀行がジョージアについて示す数字も、多くはジオスタットの原データを組み替えたものである。金融・銀行関連の数字はジョージア国立銀行が別に公表しており、両者は役割を分けている。
| 正式名 | National Statistics Office of Georgia(Geostat、საქართველოს სტატისტიკის ეროვნული სამსახური) |
|---|---|
| 法的地位 | 公法人(Legal Entity of Public Law)。自律的に活動する独立機関 |
| 根拠法 | 2009年12月11日施行の「公式統計に関するジョージア法」。現行法は2023年5月31日採択の同名法 |
| 所在地 | トビリシ市ツォトネ・ダディアニ通り30番地 |
| 統轄 | 事務局長(Executive Director)。首相が任期4年で任命し、ジオスタット理事会の議長を兼ねる |
| 主な公表物 | 消費者物価指数、生産者物価指数、対外商品貿易、GDP(四半期・年次)、対内直接投資、雇用・賃金、人口、観光、農業、企業統計 |
| 言語 | ジョージア語・英語 |
沿革
ジオスタット自身の説明によれば、ジョージアにおける統計データの収集は13世紀にさかのぼる。1254年から1258年にかけてモンゴルのアルグン・ハンが人口と資産の調査を行い、1689年以降のエレクレ1世の時代には軍事・行政区分の長が7年に一度の人口調査を行った記録が残るという。
近代的な統計機構は独立期に始まる。1918年11月15日に農業省に臨時の統計局が置かれ、1919年7月25日には憲法制定議会の法律により中央統計委員会が設けられた。1921年のソビエト化の後、4月3日の革命委員会布告で中央統計部が設置され、以後1990年代までソ連統計体系の一部として運営された。
独立後は所管が何度も動いた。1991年から1995年までは最高会議に置かれた社会経済情報委員会、1995年から1997年までは社会経済情報国家局、1997年から2004年までは国家統計局が統計を担った。2004年に経済発展省へ統合され、2009年12月11日まで同省の下部機関として活動している。
転機は2009年で、「公式統計に関するジョージア法」により、公法人として独立したジオスタットが設けられた。府省から切り離して専門的な独立性を確保することが法改正の主眼であり、機関自身も「統計当局の高度な自律性を確保する改革だった」と説明している。現行の根拠法は2023年5月31日に採択された新しい公式統計法である。
組織と意思決定
ジオスタットを率いるのは事務局長で、首相が任期4年で任命する。事務局長はジオスタット理事会の議長を兼ね、統計作業プログラムの策定、統計の方法論・標準・分類の承認、人口センサス・農業センサス・経済センサスの計画づくりを担う。
説明責任の形も法定されている。事務局長は毎年5月1日までにジオスタットの年次活動報告をジョージア議会と政府に提出し、その報告を公開しなければならない。予算、入札、欠員、統計作業プログラム、活動報告はいずれも公式サイトの「About Us」の下に置かれている。
ジオスタットは国連統計委員会の「公式統計の基本原則」10項目を活動の基礎として掲げており、公式サイトにその全文を掲載している。個票データの機密保持、公表日程の事前公開と全利用者への同時アクセス、方法論の公開はこの原則から来ている。
何を、いつ公表しているか
公表は分野別に整理されている。国民経済計算(GDP、GNI、供給・使用表、産業連関表、部門別勘定)、価格統計(消費者物価指数、生産者物価指数、調和消費者物価指数)、対外貿易、対内直接投資、雇用と賃金、人口・人口動態、企業統計とビジネスレジスター、産業・建設・エネルギー、農業・食料安全保障、観光、環境、情報通信技術、生活水準、医療・社会保障、犯罪統計、地域統計、政府財政統計、貨幣統計が並ぶ。
公表の頻度は指標ごとに違う。消費者物価指数と生産者物価指数、対外商品貿易は月次で、GDPは四半期と年次で出る。速報値は後の改定で動くため、同じ四半期の数字が発表時期によって食い違うことがある。ジオスタットは公表日程をあらかじめカレンダーとして公開しており、どの指標がいつ出るかを事前に確認できる。
各リリースはPDFの形で「News」欄に載り、あわせてXLSまたはCSVの数表がダウンロードできる。統計の分野ごとにメタデータのページがあり、定義・調査方法・対象範囲がそこで確認できる。人口センサスは別のサイト(census2024.geostat.ge)で結果を公開している。
ジョージアは国際通貨基金の特別データ公表基準(SDDS)に参加しており、ジオスタットのサイトにはSDDS向けの一覧ページも置かれている。
利用上の注意
四半期GDPや貿易統計は速報・改定・確報の順に更新されるため、数字を引くときは公表時点を明示するのが安全である。年次データも国民経済計算の改定にあわせて遡及改定されることがある。
銀行部門の資産・利益といった金融機関別の数字はジオスタットではなくジョージア国立銀行が公表しており、財政の執行状況は財務省が出す。ジオスタットの統計と他機関の統計が同じ対象を扱う場合、定義が一致しないことがある。
調査と国際協力
ジオスタットは企業・機関を対象とする調査と世帯を対象とする調査を実施しており、調査票と実地調査の日程を公開している。世帯調査には多指標クラスター調査(MICS)が含まれる。回答者向けにオンラインの調査票提出システムも用意されている。
国際協力については、国際機関との協定にもとづいて国際的な実務と方法論を取り入れ、経験を共有することを目的に掲げている。国内では、統計を作成する他の機関との調整も同局の機能とされており、公式統計の作成者を認定する基準と手続きは事務局長がジオスタット理事会に諮り、政府の承認を得て定めることになっている。
問い合わせ先はトビリシ市ツォトネ・ダディアニ通り30番地で、公式サイトには有料の追加データ処理サービスの案内も置かれている。統計作業プログラムの範囲を超える集計を求める場合の窓口である。
参考資料
- National Statistics Office of Georgia(公式サイト) ↗
- About Geostat — 国家統計局(根拠法・機能・事務局長の権限) ↗
- History — 国家統計局(1918年以降の沿革) ↗
- About Us — 国家統計局(法令・統計作業プログラム・活動報告の所在) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。
