ORGANIZATION · MEDIA ORGANIZATION

タイムズ・オブ・セントラルアジア

中央アジア5カ国とコーカサスを対象とする英語媒体。特定の1国に偏らず地域全体を扱う。

The Times of Central Asia
公式サイト ↗

解説 · 2026年9月時点

タイムズ・オブ・セントラルアジア(TCA)は、中央アジア5か国を対象とする英語の報道・分析媒体である。1999年、キルギスのビシュケクで、イタリアの駐キルギス名誉領事だったジョルジョ・フィアッコーニによって創刊された。最初は印刷版で、のちにオンラインへ軸足を移した。自らを、英語圏の読者に向けて中央アジアを継続的に深く報じた最初の媒体と位置づけている。

現在の所有者はアレン・コリンズワースで、編集の実務は運営編集長のスティーヴン・M・ブランドが率いる。執筆陣には中央アジアに拠点を置く記者と、欧米の研究者・元記者が混在する。利用規約は米国およびニューヨーク州法に準拠すると定めており、法的な拠点は米国にある。

記事はすべて無料で読める。2026年9月4日時点で1万3,549本が掲載されているが、サイト上で辿れる最も古い記事は2016年1月1日付であり、創刊から2015年までの記事はウェブ上には残っていない。

正式名The Times of Central Asia(TCA)
創刊1999年、キルギス・ビシュケク。当初は印刷版、のちにオンラインへ
創刊者ジョルジョ・フィアッコーニ。約15年にわたりイタリアの駐キルギス名誉領事を務めた
現在の所有者アレン・コリンズワース
所有者の他の職務ファラ・グループ(Fara Group Inc.)を率いる。国際紛争、金融機関向けのフォレンジック調査、対外直接投資のリスク軽減を扱う
運営編集長スティーヴン・M・ブランド(調査報道部門の責任者を兼ねる)
主な編集者ロバート・M・カトラー(シニアエディター兼特派員)、K・クロンビー、アスカル・アリムジャノフ、アスカル・クバイジャノフ、ジョー・リュック・バーンズ、ザウレシュ・ダナエワ
主な寄稿者ブルース・パニエ(外交政策研究所ユーラシア部門の中央アジア・フェロー、カスピアン・ポリシー・センター諮問委員)
対象国カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン。中央アジア全体に影響する場合は周辺地域も扱う
区分特集、論説、ビジネス・経済、国内政治、国際関係、生活・文化、司法、環境
言語英語。一部の記事はロシア語版と中国語版でも提供される
音声ブルース・パニエの「スポットライト・オン・セントラルアジア」など、ポッドキャストを配信
掲載記事数2026年9月4日時点で1万3,549本。サイト上で辿れる最も古い記事は2016年1月1日付
購読料無料。有料の壁は設けていない
広告記事ページとトップページのバナー広告を販売する。有料の記事広告(アドバトリアル)は掲載しないと明示
準拠法利用規約は米国およびニューヨーク州法に準拠し、紛争は米国仲裁協会の規則にもとづく仲裁で解決すると定める
公式サイトtimesca.com

創刊と沿革

創刊者のジョルジョ・フィアッコーニは、ジャーナリストであり事業家でもある人物で、東南アジアで複数の事業を手がけたのち1989年にモスクワへ移った。1994年にカザフスタン、続いてキルギスへ移り、イタリア政府と欧州連合と連携して中央アジアとイタリアの通商関係の構築に携わった。ビシュケクでイタリアの初代名誉領事を約15年務めている。

1999年にビシュケクでタイムズ・オブ・セントラルアジアを創刊した。当初は印刷の新聞で、のちにオンラインへ移行した。フィアッコーニは現在も「エメリタス、ジャーナリスト、創刊者」として同紙の執筆陣に名を連ねているが、経営からは退いている。

その後、所有はアレン・コリンズワースへ移った。移転の時期は公表されていない。同紙は広告案内のページで、自らを「1999年以来この地域を扱う最も古い英語の媒体」と説明している。

所有と運営

所有者のアレン・コリンズワースは、1990年代後半にイーストウェスト研究所のユーラシア戦略グループを率い、ソ連解体後まもない時期の域内のエネルギー協力と安全保障の課題に関わった。トルコとその周辺地域の地政学・経済を扱うテレビ番組「コリドー39」の司会も務めた。

現在はファラ・グループ(Fara Group Inc.)を率いている。同社は国際紛争、金融機関向けのフォレンジック調査、対外直接投資のリスク軽減を扱う企業である。このほかカリフォルニア大学バークレー校のAMENAセンターと協働し、スティムソン・センターのイーストウェスト諮問評議会に名を連ねる。

利用規約は、米国およびニューヨーク州法に準拠し、知的財産に関する請求などを除く紛争は米国仲裁協会(AAA)の消費者仲裁規則にもとづく個別の仲裁で解決すると定めている。集団訴訟の放棄条項も置かれている。この条項の構成から、法的な拠点が米国にあることが分かる。

収入の内訳、法人の名称と登記地、従業員数は公表されていない。

執筆陣

運営編集長のスティーヴン・M・ブランドは、中央アジアとコーカサスを専門とするジャーナリスト・著述家で、調査報道部門の責任者を兼ねる。同紙に加わる前は、NGO、シンクタンク、英国放送協会(BBC)、ザ・ディプロマット、ユーラシアネットなどで仕事をしていた。中央アジアを扱う著書が2016年に刊行されている。

シニアエディターにはロバート・M・カトラー(特派員を兼ねる)、K・クロンビー、アスカル・アリムジャノフが、地域エディターにはアスカル・クバイジャノフ、ジョー・リュック・バーンズ、ザウレシュ・ダナエワが名を連ねる。

寄稿者のブルース・パニエは、外交政策研究所ユーラシア部門の中央アジア・フェローで、カスピアン・ポリシー・センターの諮問委員でもある。10年にわたり自由欧州放送・自由ラジオ(RFE/RL)のポッドキャスト「マジリス」に出演し、現在は同紙と共同で「スポットライト・オン・セントラルアジア」を配信している。

このほか現地と国外に20人以上の記者・寄稿者が登録されている。記者、編集者、研究者、調査担当、データ分析、映像制作を組み合わせた体制だと同紙は説明している。

扱う範囲

報道の対象は、政治と統治、ビジネス・貿易・経済開発、エネルギーとインフラと環境、法と司法と人権、社会と文化と地域のアイデンティティ、外交と国際関係にわたる。サイトの区分は特集、論説、ビジネス・経済、国内政治、国際関係、生活・文化、司法、環境で、国別にカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの欄が置かれる。

対象地域は中央アジア5か国が基本で、中央アジア全体に影響する場合には周辺地域も扱う。南コーカサス3か国は常設の対象には入っていない。この点はアゼルバイジャンとジョージアを日常的に扱うトレンド通信などとの違いになる。

近年はビジネスと投資の報道を強化する方針を掲げ、市場環境、規制の枠組み、越境貿易、インフラ案件、進出企業と投資家が直面する機会とリスクの分析に重点を置くとしている。

英語が基本だが、一部の記事はロシア語版と中国語版のページでも提供される。ポッドキャストも配信している。

域内の英語媒体のなかでの位置

中央アジアを英語で日常的に扱う媒体は限られる。国営通信社としてはカザフスタンのカズインフォルムなど各国に発信元があり、政府と省庁の発表を伝える公式の経路になっている。国内発行の英語紙としては、カザフスタンで非営利団体が発行するアスタナ・タイムズがある。域外に拠点を置く独立系としては、米国の非営利報道組織ユーラシアネットがある。

タイムズ・オブ・セントラルアジアは、創刊の地が域内(ビシュケク)でありながら、現在は米国の所有者のもとで運営されるという中間的な位置にある。現地に拠点を置く記者と、欧米の研究者・元記者を組み合わせた執筆陣の構成も、この位置づけを反映している。

対象範囲の面では、5か国を一つの編集体制で横断的に扱う点が特徴である。国別の媒体では拾いにくい、国境をまたぐ輸送回廊、水資源、労働移民、重要鉱物といった主題が継続的に扱われる。

編集方針と広告

編集の独立を掲げ、事実にもとづき検証された情報源に支えられた報道を行うとしている。ニュース、分析、論評を明確に区別して掲載する方針も明示している。

有料の記事広告(アドバトリアル)を掲載せず、報道の見返りに金銭その他の対価を受け取らないことを会社概要で明記している。広告や宣伝素材を載せる場合は、記事と明確に区別して表示するとしている。

広告そのものは販売しており、記事ページとトップページのバナー枠が3種類用意されている。掲載の対価が記事の内容に及ばないことを、上記の方針で担保する構成になっている。

訂正については、誤りがあると考える場合の連絡先を利用規約に記している。トレンド通信のような訂正の類型分けや期限を定めた手続きは公開されていない。

アーカイブと読むときの注意

サイトに掲載されている記事は2026年9月4日時点で1万3,549本である。ただし、辿れる最も古い記事は2016年1月1日付で、1999年の創刊から2015年までの記事はウェブ上に残っていない。この期間は主に印刷版で発行されていた。「20年以上の継続的な取材」という同紙の説明と、電子的に参照できる範囲は一致しないので、過去の経緯を確認する用途では注意が要る。

所有者が国際紛争の調査や対外直接投資のリスク評価を業とする企業を率いていることは、同紙自身が公開している事実である。記事の対象が投資案件や企業間の紛争に及ぶ場合、読み手はこの点を念頭に置く必要がある。同紙は報道の対価を受け取らないと明記しているが、所有者の他の事業との関係についての個別の開示方針は公開されていない。

記事にはニュース、分析、論説が混在する。同紙は三者を区別して掲載する方針を示しているので、引用する際は記事の区分を確かめておくとよい。統計や公表資料に由来する数字については、発表主体の資料に遡って確認するのが確実である。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年9月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

MENTIONED IN

カザフスタン、2026年の石油生産計画を9,600万トンへ改定。CPCへの攻撃による生産の逸失は約350万トン2026.08.25カザフスタンのアッケンジェノフ・エネルギー相は8月25日の政府ブリーフィングで、2026年の石油生産計画を9,800万トンから9,600万トンへ改定したと述べた。改定幅は200万トン。CPCへの攻撃による生産の逸失は約350万トンで、テンギスの大規模補修の翌年への繰り延べが一定の余裕を生んだと説明した。キルギス、制裁リスクのある企業19社を強制清算。銀行も口座を閉鎖2026.08.19キルギス当局は8月18日、欧米の制裁リスクをもたらしうる法人19社の強制清算に動いた。約40社を審査した結果で、5月にも50社に営業停止を命じている。大手銀行もリスクが高いと判断した顧客の口座を閉鎖しており、制裁を科されていない同国が事実上その運用に組み込まれつつある。キルギス、燃料調達の転機。ロシア供給に不安、中国シノペックと直接交渉へ2026.08.19ロシア製油所の操業低下でキルギスの燃料調達が揺らいでいる。石油トレーダー協会によると新規契約のディーゼル調達価格はトン1,550〜1,600ドルに上昇。政府は8月17日、中国シノペックと石油製品の直接供給交渉を開始し、9割超をロシアに頼る構造の見直しに動き出した。中央アジアの出生数、上半期は5.5%減の71万人。カザフ・ウズベクが減少、キルギス・タジクは増加2026.08.182026年上半期、中央アジア4カ国(トルクメニスタン除く)の出生数は約71万1,300人で前年同期比5.5%減った。ウズベキスタンが7.9%減、カザフスタンが7.1%減と大きく落ちる一方、キルギスは2%増、タジキスタンは0.9%増と方向が分かれ始めている。カザフスタン、ミニ製油所の鉄道輸出制限を解除。ロシアの燃料不足が輸出先に浮上2026.08.18カザフスタン鉄道(KTZ)は、運輸検察当局の8月7日の決定を受け、ミニ製油所の石油製品に対する鉄道輸出制限を解除した。国内22カ所・処理能力計約200万トンの小規模製油所に販路が戻る。折しもロシアが製油所への攻撃で燃料不足に陥っており、輸出先として浮上している。韓国がカザフスタンを雇用許可制の送り出し国に追加。就労開始は2028年、無許可就労1万1000人が背景2026.08.17韓国がカザフスタンを雇用許可制(EPS)の18番目の送り出し国に指定した。実際の就労開始は2028年の見込みである。カザフスタンは2023年から加入を求めてきたが、韓国内で無許可のまま働く自国民の多さが障害になっていた。2025年時点で在韓カザフスタン人は約1万5000人、うち約1万1000人が在留資格を欠いていたとされる。4か国大停電の原因でカザフとキルギスが食い違う。トクトグル発電所か、カザフ国内の送電線か2026.08.178月14日に4か国へ広がった停電の原因について、カザフスタンとキルギスの説明が一致していない。KEGOCはキルギスのトクトグル水力発電所で計60万キロワットの2基が緊急停止し、南北連系線が過負荷で遮断されたと説明する。キルギス側はカザフスタン国内の南北を結ぶ高圧送電線で外部障害が起きたと述べている。旧ソ連期に一体で設計された系統が、いまも国境をまたいで連動していることを示した。カザフの農産物輸出が5年で倍増し70億ドル。穀物から高付加価値へ、ウズベクとの競合も2026.08.14カザフスタンの農産物輸出は2025年に70億ドルとなり、5年前の38億ドルからほぼ倍増した。輸出先は72か国を超え、穀物と小麦粉が主力である。一方で加工品への転換が課題となり、輸出構造の近い ウズベキスタンとの競合も強まっている。中央アジアのC6がワシントンで具体論へ。税関、鉄道、電子通商、カスピ海横断が議題2026.08.14チョルポン・アタの首脳会合から2週間足らずで、C6と呼ばれる新たな枠組みの外交官がワシントンでの討論に臨んだ。議論は結束の宣言から統合の実務へ移り、税関、鉄道、電子化された通商、欧州市場へのアクセス、カスピ海を挟む連結の強化が扱われた。EUも同地域との経済関係を急速に深めている。アルマトイで大規模停電、ビシケクとドゥシャンベにも波及。500kV送電線3本が同時遮断2026.08.14カザフスタン最大都市アルマトイで2026年8月14日午後、大規模な停電が起きた。KEGOCの500キロボルト送電線3本が予期せず停止し、南北送電系統の保護装置が作動したためで、ほぼ同時刻にキルギスとタジキスタンでも停電が報告された。