8月14日にカザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタンへ広がった停電について、原因の説明が国によって食い違っている。タイムズ・オブ・セントラルアジアが伝えた。
カザフスタン電力網運営会社(KEGOC)の暫定的な説明はこうである。キルギスのトクトグル水力発電所で合計60万キロワットの水力発電機2基が緊急停止し、南北連系線に電力の急変動が生じた。過負荷となった連系線が保護装置によって遮断され、その結果カザフスタン南部が同国の統一電力系統から切り離された。
キルギスのエネルギー当局は別の説明をしている。キルギス時間の15時34分に、カザフスタン国内の南部と北部を結ぶ高圧送電線で外部障害が発生した。この乱れによって中央アジアの系統が孤立した区画に分断され、キルギスは一時的に単独運転となり、自動保護装置が設備を守ったという。
停電の被害は次のとおりである。アルマトイでは現地時間14時38分に4地区で電気が止まり、信号機が動かなくなって一部の商店が閉まった。地下鉄は運行を停止し、地下にいた乗客は避難した。混雑する交差点では運転手や配達員が自ら交通整理を始めた。
キルギスではビシュケクの一部とイシククル州で停電した。ウズベキスタンのエネルギー省は「隣国の電力系統で発生した事故が中央アジアの電力網に影響した。その結果スルハンダリヤ州ほか複数の地域で電力供給に支障が出た」と述べた。タジキスタンではドゥシャンベなどで15時ごろに停電し、同国のエネルギー・水資源省は原因を調べる作業部会を設けたうえで、ヌレク水力発電所での事故という報道を否定した。
カザフスタンの電力制限は17時までに解除された。ただし原因をめぐる両国の主張は解消していない。
この一件が示したのは、中央アジア統一電力系統(CAPS)の相互依存である。この系統はソ連期に、当時は国内線だった境界をまたいで各共和国の電力を結ぶものとして設計された。上流国の水力放流が下流の灌漑を支えるという水とエネルギーの取り決めの一部でもあった。
ソ連崩壊後、国境をまたぐ電力融通は減った。1999年にカザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンが並列運転の協定を結んだが、トルクメニスタンは2003年に系統から離脱し、タジキスタンは2009年12月にウズベキスタンとの接続を切られた。2018年3月にタジキスタンとウズベキスタンが電力取引の協定を結び、2024年6月にタジキスタン南西部の系統がCAPSへ再接続された。北部の接続は2026年7月時点でなお整備中である。トルクメニスタンは系統の外にとどまる。
カザフスタンのエネルギー省付属公共評議会のジャキプ・ハイルシェフ議長は8月16日に公表した評価で、今回の事象を同国南部の電力系統にとって深刻な試験だったと述べた。緊急保護装置が障害の波及を抑え、段階的な復旧を可能にしたという。
投資の観点から見れば、原因の帰属より重要なのは、1つの発電所の停止が4か国に波及した事実そのものである。この地域で工場や データセンターの立地を検討する側にとって、系統の分断リスクは自家発電設備や蓄電の要否に直結する。
