解説 · 2026年8月時点
ウズベキスタン中央銀行(CBU)は、ウズベキスタンの中央銀行である。中央銀行法第3条により、国家の排他的財産である法人と定められ、自らの収入から支出を賄い、権限の範囲内で他の国家権力・行政機関から独立して決定を行う。銀行業法第4条は、CBUを銀行部門を規制し、免許付与・規制・プルーデンス監督の権限を行使する国家機関と位置づけている。
2017年の為替の変動相場制移行以降、ウズベキスタンは市場経済への移行を急速に進めており、CBUはその中核にある。インフレ目標の採用、政策金利の導入、国有銀行の民営化準備、決済インフラの整備が並行して進んでいる。域内の投資ニュースでは、政策金利の決定と、国有銀行改革の進み具合をめぐって名前が出ることが多い。
| 正式名 | Central Bank of the Republic of Uzbekistan(CBU) |
|---|---|
| 法的地位 | 国家の排他的財産である法人。自らの収入で支出を賄い、他の国家機関から独立して決定を行う |
| 本部 | ウズベキスタン・タシケント。14の地方支店を置く |
| 通貨 | スム(UZS) |
| インフレ目標 | 5% |
| 政策金利 | 14%(2026年7月29日の理事会で据え置き) |
| 政策金利の導入 | 2020年1月1日。それまでのリファイナンス金利に代わる主要な目標指標となった(リファイナンス金利は政策金利と同値で存続) |
| 監督対象 | 商業銀行、マイクロファイナンス機関、質屋、外国銀行の駐在員事務所、ファクタリング事業者、保証提供事業者、住宅ローン再融資事業者、信用情報機関、決済システム運営者・決済機関、両替所 |
| 商業銀行 | 本店ベースで34行(2026年4月27日更新の登録簿。国有10、株式商業5、民間15、外資系4) |
金融政策
CBUのインフレ目標は5%である。政策金利は、この目標の達成に必要な金融環境を決める中核の手段と位置づけられている。政策金利は銀行間短期金融市場におけるオーバーナイト金利(指標はUZONIA)の水準を規定し、商業銀行間の預金・貸出金利の操作目標として機能する。
2020年1月1日、中央銀行理事会の決定により政策金利が導入され、金融調節の主要な目標指標がリファイナンス金利から置き換えられた。リファイナンス金利は制度としては残っており、政策金利と同じ値をとる。ウズベキスタン関連の資料でこの2つの用語が混在するのは、この経緯による。
2026年7月29日の理事会は政策金利を年14%で据え置いた。この会合では、金融政策の指針から緩和を示唆する文言が外れており、インフレ圧力の持続を背景に高い金利が長引くとの見方が市場では強い。
CBUは家計と企業に対するインフレ期待の調査を実施し、その結果を公表している。あわせて年間インフレ率の構成要素、食品・非食品・サービス別のインフレ、現地通貨建て利回り曲線を公開しており、政策判断の材料が外部から追える形になっている。
金融調節の手段は、流動性の供給と吸収の2方向に分かれる。供給側にはレポや担保付き貸出があり、吸収側には中央銀行債券の発行、預金オペ(オークション)、オーバーナイト預金がある。準備預金制度も運用され、積み立て期間と算定期間の日程が事前に公表される。CBUは国債の発行事務を担う財政代理人でもある。
会合の日程は年間の予定として事前に公表され、決定は理事会のプレスリリースとして出る。金融政策のレビュー、マネーマーケットの解説、方法論の文書もあわせて公開されている。
監督と登録簿
CBUは、商業銀行だけでなく信用機関全般を監督する。公表されている登録簿には、商業銀行の本店・支店・ATM・両替所、外国銀行の駐在員事務所、マイクロファイナンス機関、質屋、ファクタリング事業者、保証提供事業者、住宅ローン再融資事業者、信用情報機関、有資格の監査法人が含まれる。決済分野では決済システム運営者と決済機関の登録簿を維持している。
商業銀行の本店の一覧には34行が載る(2026年4月27日更新)。内訳は国有銀行10、株式商業銀行5、民間銀行15、外資系銀行4である。国有銀行にはウズベキスタン対外経済活動国立銀行、人民銀行、アサカバンク、ウズプロムストロイバンクなどが含まれ、この一群の民営化がウズベキスタンの金融改革の中心課題になっている。
マクロプルーデンス政策では、資本保全バッファー、システム上重要な銀行の特定手続きと追加資本バッファーを運用し、システム上重要な銀行の一覧を公表している。金融安定報告書も定期的に出している。
このほか、資金洗浄・テロ資金供与・大量破壊兵器拡散金融の防止に関する監督、銀行サービス利用者の権利保護、サイバーセキュリティセンター(CERT-CBU)の運営を担う。
公表される統計
CBUは、銀行制度の指標、ノンバンク信用機関の指標、統計月報、年次報告書を公表している。国際収支、国際投資ポジション、対外債務の統計も同行が作成しており、ウズベキスタンの対外部門を見るときの一次資料になる。
為替レートは日次で公表され、XML、CSV、JSONの各形式で機械可読の形でも提供されている。
組織と決済インフラ
CBUはタシケントの本店に加え、アンディジャン、ブハラ、フェルガナ、ジザフ、カシュカダリヤ、ホラズム、ナマンガン、ナヴォイ、サマルカンド、シルダリヤ、スルハンダリヤ、タシケント市、タシケント州、カラカルパクスタンの14の地方支店を置く。傘下には国営企業として、通貨・有価証券の製造を担うダヴラト・ベルギシ、中央銀行情報化本部、共和国現金輸送サービス、担保登録所がある。
決済インフラでは、中央銀行の銀行間決済システムを中核に、銀行カードに基づく銀行間小口決済システム、リモートバンキング、クリアリング・決済システムを運営する。決済サービスの料率も公表対象である。決済システム運営者と決済機関の登録簿を維持しており、フィンテック分野については2026年から2030年を対象とする戦略を掲げている。
金融包摂の戦略も別に持ち、銀行サービス利用者の権利保護のための窓口と手引きを整備している。
参考資料
- Central Bank of the Republic of Uzbekistan(公式サイト) ↗
- Legal status, goals, functions, values and mission(ウズベキスタン中央銀行) ↗
- Policy rate(ウズベキスタン中央銀行) ↗
- Head offices of commercial banks(商業銀行本店の登録簿) ↗
- History of Banking System(ウズベキスタン中央銀行) ↗
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。