ORGANIZATION · GOVERNMENT AGENCY

ウズベキスタン国家統計委員会

ウズベキスタンの統計機関。GDP、対外貿易、物価、人口などの公式統計を公表する。

National Statistics Committee of Uzbekistan
公式サイト ↗

解説 · 2026年9月時点

ウズベキスタン国家統計委員会は、ウズベキスタンの公的統計を作成・公表する政府機関である。国内総生産、鉱工業生産、農業、建設、対外貿易、小売、投資、雇用、人口といった基幹統計はここが発表する。ウズベキスタンの経済報道で「国家統計委員会によると」と書かれるときの発表主体は、この機関を指す。

組織の名称は何度か変わってきた。現在の体制は2025年2月24日の大統領令DP-27号「統計活動の組織と実施の体系を新たな水準へ引き上げる追加措置について」と大統領決定RP-75号にもとづくもので、公的統計の根拠法は2021年8月11日の法律LRU-707号「公的統計について」である。2026年1月には独立後初の人口・農業センサスを実施し、同年6月末に速報値を公表した。

正式名National Statistics Committee of the Republic of Uzbekistan(O'zbekiston Respublikasi Milliy statistika qo'mitasi)
現在の体制2025年2月24日の大統領令DP-27号および大統領決定RP-75号にもとづく
根拠法2021年8月11日の法律LRU-707号「公的統計について」
委員長ベフゾド・ハムラエフ(2026年時点)
所在ウズベキスタン・タシケント
主な業務公的統計の分野における国家政策の実施、統計方法論の策定、統計データの収集・処理・分析・公表、国勢調査の実施
下部機関地方統計局、職員研修・統計研究機関(Institute for Staff Advanced Training and Statistical Research)、統計に関する共和国評議会、社会評議会
センサスの根拠法「人口センサスについて」(2019年11月21日に立法院可決、2020年2月28日に上院承認)。10年に1回以上の実施を義務づける
2026年センサス大統領令PF-173号(2025年9月19日)にもとづき、2026年1月15日を基準時点として1月15日から2月28日まで実施。人口と農業の同時センサス
センサスの速報総人口3,904万7,321人(2026年1月15日時点、速報値)
常住人口の推計3,823万6,700人(2026年1月1日時点)
月次の主刊行物「ウズベキスタン共和国の社会経済情勢」(報道発表と図解版)
消費者物価指数月次。2018年以降は固定ウェイト、2021年1月からCOICOP-2018にもとづく
非観測経済GDPの26.9%(2025年、498兆452億スム)。2024年は34.3%
国際的な枠組みIMFの拡張データ公表システム(e-GDDS)の国別データページを運用
サイトの利用条件クリエイティブ・コモンズ表示4.0国際

役割

同委員会は、公的統計の分野における国家政策を実施し、国家統計システムの枠内で公的統計の発展に関する活動を調整する。国際的な勧告に沿った統計方法論と統計調査の様式を策定・承認し、実務に導入する役割も担う。他の公的統計の作成者が用いる方法論が国際的な勧告に適合しているかを監査する権限も与えられている。

業務の中心は、経済・人口・社会・金融・環境などの統計データを収集し、処理・集計・分析・公表・保存する一連の過程である。公的統計の基本原則にもとづく品質と信頼性の確保、統計の透明性と公開性を高める仕組みの運用も掲げられている。

統計作成のデジタル化も方針に含まれる。他の公的統計の作成者や行政データの提供者との情報システムの相互連携、オープンデータ・ポータルへの掲載の調整、国際的な指標・ランキングにおける自国データの更新の調整などである。統計報告の負担軽減も課題に挙げられており、行政データとの統合を進めて企業に求める報告を減らすこと、標本調査の比重を高めることが方針として示されている。「マハッラから共和国へ」という原則で指標を積み上げる仕組みの構築も掲げられている。

組織と国際的な枠組み

本部のほかに各地方に統計部局を置き、職員の研修と統計研究を担う機関、統計に関する共和国評議会、社会評議会が付属する。委員長は2026年時点でベフゾド・ハムラエフが務め、副委員長が3人置かれている。

国際的にはIMFの拡張データ公表システム(e-GDDS)に参加し、国別データページを運用している。統計の作成にあたっては国連、国連人口基金(UNFPA)、国連欧州経済委員会(UNECE)、国連食糧農業機関(FAO)、国際移住機関(IOM)の勧告や枠組みを取り入れており、2026年のセンサスでもこれらの基準が用いられた。公式サイトの掲載物はクリエイティブ・コモンズ表示4.0国際のもとで提供されている。

2026年の人口・農業センサス

2026年1月、ウズベキスタンは人口センサスと農業センサスを同時に実施した。根拠は2019年11月21日に立法院が可決し2020年2月28日に上院が承認した「人口センサスについて」の法律で、同法第7条は10年に1回以上の実施を定め、実施の決定は日程と期間を示して大統領が行うと規定している。実施を命じたのは2025年9月19日の大統領令PF-173号で、基準時点を2026年1月15日、実地の期間を2026年1月15日から2月28日までと定めた。これに先立つ2025年9月の閣僚会議決定第629号が実施体制を整えている。

調査は二段階で行われた。第一段階は2026年1月15日から31日までの、専用サイトを通じた自記式のインターネット回答である。第二段階は調査員がタブレット端末を用いて世帯を訪問する面接調査で、地域共同体であるマハッラの組織が周知と接触を担った。地理情報システムと衛星測位を用いた住所・地図資料の整備も事前に行われている。

速報値は2026年6月30日にタシケントで開かれた会議で公表され、67ページの統計集としてウズベク語・ロシア語・英語で刊行された。総人口は3,904万7,321人(2026年1月15日時点)で、男性1,976万6,166人(50.6%)、女性1,928万1,155人(49.4%)である。地域別では人口が最も多いのがサマルカンド州の440万4,575人、次いでフェルガナ州423万8,911人、タシケント州376万3,093人、カシュカダリヤ州369万2,323人と続き、タシケント市は322万4,838人だった。

速報値には常住地との関係を示す区分が付されている。総人口3,904万7,321人のうち、当該住居に常住していて調査時に在宅だったのは3,695万6,368人、常住しているが一時的に不在だったのは209万953人である。一時不在の理由は就労が164万2,802人(78.6%)で最も多く、就学が32万9,221人と続く。一時不在者の65.4%は男性である。国連人口基金は、ウズベキスタンが30年以上にわたり更新された人口センサスなしで開発計画を立ててきたと述べており、今回の調査は独立後初のセンサスにあたる。速報値は処理の完了にともなって精査され、確定値は後の段階で公表される。

公表の体系

公表の中心は、月次の報道発表「ウズベキスタン共和国の社会経済情勢」である。同じ内容の図解版が併せて出される。分野別の報道発表も月次で回っており、消費者物価指数、鉱工業生産、固定資本投資、住宅価格指数などが該当する。四半期では国内総生産と地域総生産が公表される。

指標そのものは分野別の統計として一覧化されており、国民経済計算、物価、投資、建設、対外経済活動、国内商業、鉱工業、農業、サービス、人口、労働市場、生活水準、社会分野、小企業・企業活動、統一企業登録簿、犯罪と司法、環境、デジタル経済、児童統計、エネルギー効率と燃料バランスなどの区分がある。指標ごとに公表の頻度、単位、算出方法、担当部局と担当者、一次情報の出所、初回公表日と最終更新日が記載される。公表の予定は公的統計カレンダーと刊行カレンダー、報道発表カレンダーとして事前に示される。

主要な指標の定義と作り方も公開されている。消費者物価指数は月次で、平均的な消費者が購入する固定の財・サービスの組み合わせの費用の変化を測るもので、2018年以降は固定ウェイトで算出され、2021年1月からは2018年版の個人消費目的別分類(COICOP-2018)にもとづく。人口は常住人口を基本の指標とし、直近のセンサスを出発点に、毎年の出生と転入を加え、死亡と転出を差し引いて推計する。一次情報は法務省と内務省が持つ登録データである。国内総生産は生産・支出・所得の3つのアプローチで、年次と四半期の双方について、当年価格と不変価格の両方が公表される。

非観測経済の推計

同委員会は、統計に捕捉されない経済活動を国民経済計算の一部として推計し、独立した指標として公表している。区分は二つで、一つは「インフォーマル経済」、すなわち家計または個人が定められた登録を経ずに行う財の生産・サービスの提供である。もう一つは「隠された経済」、すなわち法律で禁じられてはいないが、納税を逃れ法令上の要件を回避する目的で当局から意図的に隠された経済活動を指す。推計には調査と行政データが用いられ、産業分類はNACE Rev.2にもとづく。算出の方法は「非観測経済の統計的評価に関する方法論規程」として公開されている。

両者を合わせた規模のGDP比は、2010年の41.7%から2016年の48.3%まで上昇した後、低下に転じた。2020年37.2%、2022年34.6%、2023年34.4%、2024年34.3%と推移し、2025年は26.9%となっている。金額では2024年の527兆3,609億スムに対し、2025年は498兆452億スムだった。

産業別では農林水産業の比率が突出して高い。同部門の付加価値に占める非観測経済の割合は2010年に61.6%、2018年に71.2%と推移し、2024年63.6%、2025年62.6%である。これに対しサービスは2025年に26.9%、鉱工業は9.4%と大きく下がっている。金額では2025年の農林水産業の非観測経済は191兆6,879億スムで、総額が前年から減るなかで増えた。この構成は、非観測経済の大半が脱税というより、登録を経ない小規模な生産と自給的な農業に由来することを示している。

非観測経済の規模を国際比較に使うのは難しい。推計の対象範囲と手法が国によって異なるためで、各国の統計機関が公表する数字をそのまま並べても意味を持たない。同じ国の系列としても、方法論の改定があると水準が動く。2024年から2025年にかけての比率の低下幅は、それ以前の年々の変化に比べて大きい。

数字を読むときの注意

報道発表として出る数字には、速報である旨の注記が付されている。統計の名称と定義は改定されることがあり、年次改定で過去の系列がさかのぼって修正される場合もある。前年比の数字を引用するときは、公表カレンダーで確定値か速報値かを確認するのが確実である。

人口については、常住人口の推計値とセンサスの結果が別の数字である点に注意が要る。推計にもとづく常住人口は2026年1月1日時点で3,823万6,700人だったのに対し、2026年1月15日を基準時点とするセンサスの速報値は3,904万7,321人で、約81万人(2.1%)多い。さらにセンサスの内訳では、常住していて調査時に在宅だった人は3,695万6,368人にとどまる。どの定義の人口を使うかで1人あたりの指標の分母が100万人単位で変わるため、出典と定義を確かめてから比較する必要がある。

機関名は「国家統計委員会」「統計庁」など時期によって異なる表記が使われてきた。過去の資料を参照する際は、当時の名称と現在の組織の対応関係に注意が要る。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年9月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

MENTIONED IN

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