解説 · 2026年8月時点
アクセスバンク(AccessBank CJSC)は、アゼルバイジャンで零細・中小企業向けの融資を主力とする銀行である。2002年10月29日、黒海貿易開発銀行、欧州復興開発銀行、国際金融公社、ドイツ復興金融公庫、ドイツのLFSファイナンシャル・システムズによって、アゼルバイジャン・マイクロファイナンス銀行として設立された。
現在も株主はすべて国際的な開発金融機関とインパクト投資ファンドで構成されており、アゼルバイジャンでは珍しい所有構造をとる。株主の顔ぶれから、経営には環境・社会面の基準と企業統治の要件が強く働く。読み手はこの点を念頭に置く必要がある。
| 正式名 | AccessBank CJSC(アクセスバンク閉鎖型株式会社)。旧称アゼルバイジャン・マイクロファイナンス銀行 |
|---|---|
| 設立 | 2002年10月29日 |
| 設立者 | 黒海貿易開発銀行(BSTDB)、欧州復興開発銀行(EBRD)、国際金融公社(IFC)、ドイツ復興金融公庫(KfW)、ドイツのLFSファイナンシャル・システムズ |
| 本拠 | バクー |
| 事業 | 零細・中小企業向け融資を中心とする銀行業務、個人向けの預金・融資・カード |
| 株主(2026年8月時点) | アジア開発銀行19.90%、欧州投資銀行17.39%、国際金融公社16.56%、responsAbilityが運用する4本のファンド計12.28%、FMO(オランダ開発金融会社)9.41%、OeEB(オーストリア開発銀行)9.17%、SIFEM(スイス新興市場投資基金)8.89%、EFSE 2.78%、Green for Growth Fund 1.77% |
| 株式 | 普通・記名式の帳簿記入方式。額面2マナト。証券コードAZ1006004282 |
| 拠点 | 39支店(2025年、ガンジャの「カパズ」支店開設時点) |
設立と株主構成
2002年、アゼルバイジャンで零細企業と中小企業への金融アクセスを広げることを目的として設立された。当初の株主は国際金融公社、ドイツ復興金融公庫、欧州復興開発銀行、黒海貿易開発銀行がそれぞれ20%程度、これにアクセス・ホールディングとLFSが加わる構成だった。運営は当初、ドイツのコンサルティング会社LFSファイナンシャル・システムズが担った。
2026年8月時点で公表されている株主構成は、アジア開発銀行19.90%、欧州投資銀行17.39%、国際金融公社16.56%、responsAbilityが運用する4本のファンドが合わせて12.28%、FMO9.41%、OeEB9.17%、SIFEM8.89%、欧州南東部基金(EFSE)2.78%、グリーン・フォー・グロース・ファンド(GGF)1.77%である。発行株式は普通・記名式の帳簿記入方式で、額面は2マナト、証券コードはAZ1006004282である。
2023年には既存株主の追加出資により、額面1マナトの優先株1,138万8,889株を発行し、資本を1,140万マナト増強した。同じ年、農業分野の育成を目的とするテーマ債を初めて発行し、総額500万ドル・期間18か月・年利5.5%の条件で全額が消化された。
事業の広がり
支店網は近年着実に増えており、ナヒチェヴァンに30番目、ガバラに31番目、マサリに33番目、グバに34番目、ゴランボイに35番目、バラケンに36番目、イミシリに37番目の支店を開いた。2024年にはヴィザとの共同ブランド支店をハンケンディに開設して38支店、2025年にはガンジャに「カパズ」支店を開いて39支店となった。
資金調達では国際金融機関との関係が中心にある。欧州復興開発銀行(EBRD)からは、リスク分担ファシリティを通じた協調融資(アズヴィルトに500万ユーロ、ピッツァ・ミッツァの拡張など)、「若者のビジネス」計画による2,000万ドルの融資、零細・中小企業向けの追加融資1,000万ドルを受けている。このほか、FMOから2,500万ドル、ブルーオーチャード・ファンドから800万ドルの劣後ローン、GCPF(グローバル気候パートナーシップ基金)から750万ドル、BANK IM BISTUM ESSENから700万ドル、Enabling Qapitalから1,700万マナトの与信枠を得ている。
同行は女性起業家の育成計画「Access2Success」を継続的に実施し、国連グローバル・コンパクトと国連の女性のエンパワーメント原則(WEPs)にアゼルバイジャンの銀行として初めて署名した。中央銀行とアゼルポストが進める代理店バンキング(エージェント・バンキング)の枠組みに最初に参加した銀行でもある。
2022年には、アゼルバイジャン政府、マスダール・アゼルバイジャン・エナジー、同行の三者による投資に関する直接協定を承認する大統領令が出された。再生可能エネルギー事業の資金調達に同行が関わっている。
参考資料
この解説は編集部がまとめたもので、2026年8月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。