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アルメニア統計委員会

アルメニアの統計機関。社会経済情勢の月次報告を章別PDFで公表する。

Statistical Committee of the Republic of Armenia
公式サイト ↗

解説 · 2026年9月時点

アルメニア統計委員会(ARMSTAT)は、アルメニアの公的統計を作成・公表する国家機関である。国内総生産、鉱工業生産、消費者物価、対外貿易、人口、労働力といった基幹統計は、いずれもここが発表する。アルメニアの経済報道で「統計委員会によると」と書かれるときの発表主体はこの機関を指す。

毎月刊行される「アルメニア共和国の社会経済情勢」に、生産・貿易・物価・賃金・投資の月次系列がまとまって載る。四半期・通年の詳細は個別の刊行物とオンラインのデータベースで公開される。統計の作成方法、公表の時期、改定の手順はいずれも文書化されており、指標ごとに定義と調査方法が公開されている。

正式名Statistical Committee of the Republic of Armenia(ARMSTAT)
起源1921年10月5日、ソビエト・アルメニアの人民委員会議の決定により公的統計が発足
現在の名称2018年5月21日に「統計委員会」へ。それ以前は国家統計局(2000年5月10日〜)
根拠法国家統計法(2000年5月10日施行)。現行の「公的統計について」に引き継がれている
所在アルメニア・エレバン、共和国大通り 政府第3庁舎
委員長ステパン・ムナツァカニャン(2018年5月21日就任、2026年9月時点)
合議機関国家統計評議会(State Council on Statistics)
計画5か年統計プログラムと年次統計プログラム。国家予算で実施される
IMFのSDDS2003年11月7日に加盟(54番目の国)
主なデータベースArmStatBank.am(2012年9月14日公開)、貿易統計データベース、人口統計データベース、ArmDevInfo.am
国勢調査2001年、2011年、2022年。農業センサスは2014年と2024年
月次の主刊行物「アルメニア共和国の社会経済情勢」(アルメニア語・ロシア語)
年次の主刊行物「アルメニア統計年鑑」(アルメニア語・英語・ロシア語)
消費者物価指数426品目・約1万銘柄、観測店舗4,700。エレバンと10都市の都市部のみ(2026年4月時点の方法論資料)
国民経済計算SNA2008とESA2010に準拠。産業分類はNACE Rev.2、前年を基準年とする
常住人口310万3,900人(2026年7月1日時点)

沿革

アルメニアの公的統計は1921年10月5日に発足し、翌1922年1月7日に統計局として活動を始めた。ソ連期は国家計画委員会(ゴスプラン)の傘下に置かれた時期を含めて何度も改組され、1987年に共和国の国家統計委員会となった。

独立後は1992年から1998年まで「統計・国家登録・分析局」、1998年4月20日に「統計・国家登録・分析省」となり、2000年5月10日に施行された国家統計法により「国家統計局(NSS)」へ改称された。2018年5月21日から現在の「統計委員会」である。

国勢調査は独立後の2001年10月に初めて実施され、2011年10月、2022年と続いた。農業センサスは2014年と2024年に行われている。委員長のステパン・ムナツァカニャンは1998年から2000年まで統計・国家登録・分析相、2000年から2018年まで国家統計局長を務め、2018年5月21日から現職にある(2026年9月時点)。

制度上の位置づけ

公的統計の運営には国家統計評議会(State Council on Statistics)という合議機関が置かれ、統計調査の様式や3年間の国家統計事業計画などを決定する。統計の作成計画は5か年統計プログラムと年次統計プログラムの二段構えで、年ごとの統計情報収集プログラムは国家予算で実施され、実施報告と四半期ごとの進捗が公表される。

同委員会は行政登録を含む統計データを収集する権限を持ち、他国の統計機関や国際機関との協力協定を結ぶ。統計提供者の権利と義務、違反した場合の責任、検査の実施手続きも公表されている。個票データの取り扱いは公的統計法の守秘規定に従い、職員と国勢調査に従事する者は守秘の誓約に署名する。研究目的での個票の提供は、国家統計評議会の決定を経て匿名化された形でのみ例外的に認められる。

統計の作成にあたっては、中央銀行(2010年2月1日の情報交換協定)、財務省、法務省、警察のパスポート・ビザ局、国家歳入委員会などから行政データの提供を受ける。国民経済計算については、2014年10月23日に財務省・中央銀行との間で「機関間協力」の協定が結ばれ、SNA2008の導入が進められた。

何を、いつ公表しているか

公表の柱は月次の情報報告「アルメニア共和国の社会経済情勢」である。実体経済(国民経済計算、鉱工業、農林水産、建設、運輸、通信、商業・サービス、物価・料金、労働市場、法人登記、民営化)、財政(国家予算、政府債務と保証)、金融(マネタリーサーベイ)、対外(財の輸出入、観光、為替)、社会・人口(人口動態、保健、年金、犯罪、住宅、不動産市場、環境)の5部門に分かれ、末尾にCIS諸国との国際比較、指標の方法論解説、当該期間の刊行物一覧が付く。

指標ごとの公表時期はあらかじめ決まっている。消費者物価指数は対象月の翌月第3営業日に報道発表として出され、第8営業日に統計ブレティンが続く。四半期GDPの第一次推計は、2012年以降は対象四半期の終了後60〜62日目、2019年以降は一次資料の収集の遅れを織り込んで51〜53日目に公表されている。IMFの特別データ公表基準(SDDS)が求める期限は90日以内であり、それより早い。

人口は四半期ごとに公表され、行政区分別の常住人口は第2〜第4四半期については対象期間の終了後35〜36日目、第1四半期は60〜62日目、年次は118日目に出る。性・年齢・都市農村別は145日目、地方(マルズ)別は175日目とさらに遅い。年次の総覧は「アルメニア統計年鑑」で、ほかに「数字で見るアルメニア」「マルズとエレバン市の数字」「アルメニアの物価と物価指数」といった年次のハンドブックがある。

四半期の刊行物としては「食料安全保障と貧困」があり、貧困と食料の指標が定期的に更新される。月次・四半期・年次のいずれの系列も、オンラインのデータベースArmStatBankで時系列として取得できる。公表日程は事前にカレンダーとして告知され、すべての利用者が同時にアクセスできる建前がとられている。

主要な統計の作り方

国民経済計算はSNA2008と欧州のESA2010に準拠し、産業分類はNACE Rev.2を用いる。系列は1990年までさかのぼる。生産アプローチが主たる推計方法で、四半期のGDPはESA2010のA21区分で、当年価格、前年の平均価格、産業別構成比、前年同期比・前期比の物量指数として公表される。基準年は前年であり、実質値は前年価格で評価される。農業以外は統計委員会自身の調査が主な情報源で、農業は2014年農業センサスの31万7,346戸から抽出した7,440戸の標本と約110の商業組織のデータを使う。統計に捕捉されない活動については、欧州の表形式の手法により補完の推計が加えられる。

消費者物価指数は1993年から月次で算出されている。エレバン市と10のマルズを代表する10都市で観測が行われ、農村部では価格の観測を行わない。426品目(約1万の銘柄)について、各地点で6〜12の店舗・サービス事業所を選び、全国で4,700の観測地点を持つ。指数は修正ラスパイレス式(固定ウェイト)で、ウェイトは家計の統合生活状況調査(ILCS)の支出データから作られ、毎年更新される。2015年以降、指数とウェイトの基準期は前年12月である。分類は個人消費の目的別分類(COICOP)に従い、2025年2月28日の経済相令701Nで定められた版が使われている。居住者の海外での支出、非居住者の国内での支出、事業目的の支出、税と借入の返済は対象外である。現行の観測・算出の方法は2017年2月に改定され、2017年1月分の指標から適用されている。

人口は常住人口(de jure)を基本の指標とする。直近の国勢調査で得た常住人口を出発点に、毎年の出生と登録された転入を加え、死亡と転出を差し引いて推計する。国勢調査のたびに、調査間の各年が新しい基準にもとづいて遡って再計算される。国勢調査では二つの区分が併記され、常住人口はその地域に常住していて調査時に在宅の者と一時的に不在の者の合計、現在人口(de facto)は常住して在宅の者と一時的に滞在している者の合計である。一時不在とは常住地を1年以内の期間離れている者、一時滞在とは常住地が国外にありながら1年以内の期間その地域にいる者を指す。常住人口の系列は1897年までさかのぼる。

数字を読むときの注意

国民経済計算の数字は改定される。通常の改定は四半期と年次で行われ、当年の四半期は後の四半期で修正されうるほか、前年のすべての四半期が改定の対象になる。方法論の変更にともなう大改定は、国際収支・対外債務・国際投資ポジション・金融統計・財政統計と足並みをそろえて実施される。改定の方針と日程は国家統計評議会の決定(2012年12月25日の40-A号、2024年4月2日の15-A号で更新)にもとづき、GDP改定のタイムテーブルとして毎年公表される。同じ四半期の数字が発表の時期によって食い違うのはこのためで、引用するときは公表時点を添えるのが確実である。

公表される言語は刊行物によって違い、内容もそれに応じて異なる。月次の「社会経済情勢」はアルメニア語とロシア語で、英語版はない。四半期GDPの報道発表もアルメニア語とロシア語である。一方、消費者物価指数の報道発表はアルメニア語・英語・ロシア語の3言語、統計ブレティンはアルメニア語と英語で出る。「アルメニア統計年鑑」は3言語で刊行される。鉱工業組織の活動種類別指標や建設の統計のように、アルメニア語版しか作られない刊行物もある。英語で読める範囲は全体の一部であり、月次の細目まで追うには原語版が必要になる。

人口の数字を扱うときは、常住人口と現在人口のどちらかを確かめる必要がある。四半期ごとに公表されるのは常住人口で、2026年7月1日時点は310万3,900人だった。住民登録上の転入・転出は本人の届出に左右されるため、統計委員会は家計の生活状況調査で得た傾向にもとづく補正を加えていると注記している。

国際的な枠組みとデータの公開

2001年3月にIMFの一般データ公表システム(GDDS)に、2003年11月7日には特別データ公表基準(SDDS)に加盟した。SDDSは54番目の加盟国であり、統計の公表日程を事前に告知する仕組みに組み込まれている。SDDSの枠組みでは、実体経済(国民経済計算、生産指数、雇用、失業、賃金、消費者物価、生産者物価)、財政、金融、対外(国際収支、外貨準備、財の貿易、国際投資ポジション、対外債務、為替)、社会・人口の各分野について、指標ごとの要約方法論が公開されている。

欧州連合との間ではツイニング事業が2011年から2013年(第1期)、2015年から2017年(第2期)にかけて実施され、EU基準への接近が図られた。統計の品質管理は欧州統計システムの品質保証枠組みと欧州統計実践規範(2017年11月16日採択)にもとづき、指標ごとに欧州SDMXメタデータ構造(ESMS)の様式で定義・調査方法・品質報告が公開されている。2012年9月14日にはスウェーデン統計局が開発したPX-Webを用いたデータベースArmStatBank.amが公開され、利用者が任意の形式で統計を取得できるようになった。

データの提供先には国連、ユーロスタット、IMF、世界銀行、アジア開発銀行、ユーラシア経済委員会、CIS統計委員会などがある。国際統計コミュニティでの役割としては、2008年4月に国連統計委員会の理事国に選出され、国連欧州経済委員会(UNECE)の欧州統計家会議では同委員会の代表が2015年から複数期にわたり副議長を務めた。

参考資料

この解説は編集部がまとめたもので、2026年9月時点の情報に基づく。記事とは異なり、新しい事実が 確認できしだい随時更新する。誤りに気づいた方はお問い合わせください。

MENTIONED IN

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