ロシアが小麦の輸出税を大幅に引き上げる。同国農業省の決定により、2026年8月19日から適用される。ジョージア小麦・製粉業者協会が公表した内容として、ビジネス専門媒体BPNが伝えた。
税率の変更は急である。8月18日までの小麦の輸出税は1トンあたり326.6ルーブルだが、19日からは721.1ルーブルとなる。121%の引き上げにあたる。
穀物ごとに扱いは異なる。大麦の輸出税は引き続きゼロに据え置かれる一方、とうもろこしは105ルーブルから284ルーブルへ引き上げられる。これらの税率は8月25日まで適用される。
税額の算定には指標価格が使われる。今回の算定に用いられたのは、小麦が1トンあたり231.2ドル(前期は230ドル)、大麦が193.5ドル(同190.9ドル)、とうもろこしが222.1ドル(同224.5ドル)である。
制度そのものは2021年6月2日に導入された「穀物ダンパー機構」による。小麦、とうもろこし、大麦の輸出に変動税率を課し、その税収を農業生産者への補助金として還元する仕組みである。税額はモスクワ取引所に登録された輸出契約の価格を指標として毎週算定される。具体的には、基準価格と指標価格の差額の70%が税額となる。現在の小麦の基準価格は1トンあたり1万8,000ルーブルである。
ジョージアにとってこの決定は他人事ではない。同国は小麦の大部分をロシアからの輸入に頼っており、輸出税の引き上げは調達価格の上昇に直結する。BPNは別の記事で「主要供給国が輸出税を引き上げたことで、ジョージア国内で小麦が値上がりする可能性がある」と伝えている。
小麦価格の上昇はパンの価格を通じて家計に及ぶ。ジョージアの2026年7月のインフレ率は5.5%で、食料・非アルコール飲料が前年同月比4.9%上昇し、全体を1.74ポイント押し上げていた。物価が落ち着きを取り戻しつつある局面で、主食の原料価格が上がる要因が加わった形である。
ロシアへの食料依存はアルメニアでも問題になっている。同国では対ロシア輸出の制限が争点だが、ジョージアの場合は輸入側の依存である。方向は逆でも、単一の供給国に依存する構造の危うさという点では同じ問題を示している。
