タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領が8月19日、ドゥシャンベで大統領直属のデジタル経済発展評議会の初会合を主宰した。大統領は評議会の議長を兼ね、会合には評議会の構成員と関係省庁の代表が参加した。議題は2件で、2026〜2030年のデジタル経済発展中期プログラムの優先分野と実施措置、および「行政サービスの全面的なデジタル化と国家データベースの統合」である。大統領府が同日、内容を公表した。
大統領は、評議会の設置は経済の近代化、行政運営の改善、デジタル技術の活用という国家政策の延長線上にあると述べた。2025〜2030年を「デジタル経済・イノベーション発展の年」と宣言し、2026〜2030年の中期プログラムを承認したことが、この過程の基盤を用意したという。
会合では現状の弱点も明示された。情報システムと電子サービスは導入されているものの、それぞれが個別に動いていること、同じ情報を繰り返し求められること、紙の手続きが残っていること、一部の事業で成果が不明確なことが挙げられた。そのうえで、システムの統合、個人情報の保護、サイバーセキュリティ、支出の透明性、そして「情報の提出は一度だけ」という原則の順守が課題と位置づけられた。
大統領が示したデジタル化の原則は4つである。国民と経済にとっての具体的な成果、国家の単一のデジタル基盤の構築、情報の提出は一度だけ、行政サービスへの平等なアクセス。優先分野としては、デジタル化の過程を管理する単一の仕組み、デジタルインフラの整備、国家データ体系の構築と国家登録簿の統合、行政サービスの完全な電子化、実体経済と社会分野のデジタル化、人的資本の育成、デジタル起業とイノベーション、投資の誘致、人工知能の活用、サイバーセキュリティの確保が挙げられた。
各機関への指示はより具体的である。行政サービスを提供する機関は、自らのサービスを統一ポータルに載せ、順次すべてを電子的な形で提供する。電子化の前に手続きそのものを簡素化し、過剰な要件、重複する書類、複数の機関へ足を運ばせる無用な申請をなくす。イノベーション・デジタル技術庁は法務省および分野別の省庁とともに、優先度の高い行政サービスを段階的に完全電子化する計画を提出する。通信サービス庁は通信分野の発展計画を期限どおりに実行し、特に遠隔地でのインターネットの品質と普及に注力する。税関局はイノベーション・デジタル技術庁、財務省、税務委員会などと、完全にペーパーレスの手続きへ移行するロードマップを策定し実施する。中央と地方の行政機関には、デジタルシステムを担当する技術レベルの責任者を置き、同庁と恒常的に連携することが求められた。
投資に関わる部分では、経済発展貿易省、財務省、国家投資・国有財産管理委員会、国立銀行、イノベーション・デジタル技術庁が、民間投資の誘致とデジタル起業の育成について提案を出すよう指示された。国家の支援は透明で競争的、かつ成果に紐づいたものでなければならず、国内企業の参加と革新的な製品の実装の機会を広げるべきだとされた。会合では、評議会副議長のホキム・ホリクゾダ第一副首相が中期プログラムの優先分野と実施措置を、国家投資・国有財産管理委員会のスルトン・ラヒムゾダ委員長がデジタル事業への投資誘致と資金調達の仕組みを、教育科学省のラヒム・サイドゾダ大臣が人材育成とデジタルリテラシーの向上を報告した。イノベーション・デジタル技術庁のフルシェド・ミルゾ長官が、行政サービスの全面デジタル化とデータベース統合の提案を示している。
現段階で公表されたのは方針と指示であって、数値目標や予算ではない。大統領自身が、デジタル化に関する提案には具体的な成果、実施の期限、資金の出所、責任者を紐づけるべきだと述べ、2027〜2030年について年次の目標と最終的な成果を定め、重複する事業や根拠の乏しい事業への支出を避けるよう求めている。政府には、省庁の長の実績をデジタル化の結果で評価することが課された。責任の所在を先に決めてから計画を作る順序であり、逆に言えば計画はこれから作られる。
タジキスタンでは、世界銀行が通信・航空・電力の規制見直しに1億ドルを供与する構造改革が並行して動いており、周波数割当の管理や新しい競争法の導入が対象に入っている。今回の指示のうち通信の品質と普及、行政手続きの簡素化、税関のペーパーレス化は、この改革と領域が重なる。外国の投資家にとって効き方が最も直接的なのは税関手続きの電子化で、通関に要する時間と書類は内陸国の物流コストにそのまま乗るためである。ただし、いずれもロードマップの策定段階にあり、期限も予算も示されていない。
大統領は会合を締めくくるにあたり、評議会は戦略的な意思決定の場、省庁間の障壁を取り除く場、そして成果を厳格に監督する場になるべきだと述べた。次に検証できるのは、優先的な行政サービスの段階的な電子化計画と、税関のロードマップが実際に提出されるかどうかである。
