アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領が、ガスと石油に加えて電力も欧州市場へ供給する意向を示した。その唯一の経路はジョージアとトルコを通る。同大統領はこの可能性を拡大すべきだと述べている。ビジネス専門媒体BPNが伝えた。
ジョージア側では、この構想を通過国としてどう扱うかが論点になっている。エネルギー専門家のテムル・チチナゼ氏は同媒体に対し、事業は通過という観点から見れば十分に採算が合い、戦略的にも興味深いとしたうえで、成否は交渉の進め方にかかっていると述べた。
同氏が引き合いに出したのはガスの前例である。「比較のためにガスの例を挙げる。ジョージアは通過を通すだけで、ロシアがアルメニアへ供給していた流れから20億立方メートルのガスを無償で受け取っていた。これはわれわれにとってかなり有利な条件だった」
そのうえで新しい事業についてこう述べる。「新しい事業にも通過の機能があるなら非常によい。重要なのは、最初の段階で料金やその他の条件を正しく定めることだ。ジョージアに残る取り分は相応の価値を持つものであるべきか、あるいはこうした場合の通例どおり無償で供給されるべきである。通過の役割を果たす以上、当然、一定量の無償エネルギーを受け取らねばならない」
この主張の背景には、ジョージア自身の電力事情がある。同国は2025年に電力の純輸入国であり、輸出収入は52.2%減の2,350万ドルへ落ち込んだ。2026年6月の輸出は前年同月比84.3%減で、商業ベースの輸出は記録されなかった。トルコ国内の余剰発電が輸入を制限したためである。4月には小売電力料金が家庭用で平均27.2%引き上げられた。
つまりジョージアは、自国の電力が足りず、料金が上がり、輸出先を失った状態にある。そこへ隣国の電力が自国を通過していくという構図であり、通過料をどう設計するかは実利に直結する。
もっとも、アリエフ大統領の発言は意向の表明であり、事業の枠組みや時期は示されていない。ジョージアの電力系統は8月14日に大規模な停電を起こしたばかりでもある。国際送電の通過を担うには、系統そのものの信頼性を高める投資も要る。
