資料写真:ガス設備の点検/Official website the President of Azerbaijan(CC BY 4.0)出典

エネルギー・資源

アゼルバイジャンが欧州へ送電を計画、経路はジョージアとトルコのみ。通過料の設計が焦点

アリエフ大統領がガスと石油に加えて電力も欧州市場へ供給する意向を示した。唯一の経路はジョージアとトルコを通る。ジョージアのエネルギー専門家は、通過国として一定量の無償電力を受け取るべきだとし、ロシアがアルメニアへ送るガスの通過で年20億立方メートルを無償取得していた前例を挙げた。

この記事が扱う国。国境は Natural Earth(パブリックドメイン)、点は各国の首都の位置。

アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領が、ガスと石油に加えて電力も欧州市場へ供給する意向を示した。その唯一の経路はジョージアとトルコを通る。同大統領はこの可能性を拡大すべきだと述べている。ビジネス専門媒体BPNが伝えた。

ジョージア側では、この構想を通過国としてどう扱うかが論点になっている。エネルギー専門家のテムル・チチナゼ氏は同媒体に対し、事業は通過という観点から見れば十分に採算が合い、戦略的にも興味深いとしたうえで、成否は交渉の進め方にかかっていると述べた。

同氏が引き合いに出したのはガスの前例である。「比較のためにガスの例を挙げる。ジョージアは通過を通すだけで、ロシアがアルメニアへ供給していた流れから20億立方メートルのガスを無償で受け取っていた。これはわれわれにとってかなり有利な条件だった」

そのうえで新しい事業についてこう述べる。「新しい事業にも通過の機能があるなら非常によい。重要なのは、最初の段階で料金やその他の条件を正しく定めることだ。ジョージアに残る取り分は相応の価値を持つものであるべきか、あるいはこうした場合の通例どおり無償で供給されるべきである。通過の役割を果たす以上、当然、一定量の無償エネルギーを受け取らねばならない」

この主張の背景には、ジョージア自身の電力事情がある。同国は2025年に電力の純輸入国であり、輸出収入は52.2%減の2,350万ドルへ落ち込んだ。2026年6月の輸出は前年同月比84.3%減で、商業ベースの輸出は記録されなかった。トルコ国内の余剰発電が輸入を制限したためである。4月には小売電力料金が家庭用で平均27.2%引き上げられた。

つまりジョージアは、自国の電力が足りず、料金が上がり、輸出先を失った状態にある。そこへ隣国の電力が自国を通過していくという構図であり、通過料をどう設計するかは実利に直結する。

もっとも、アリエフ大統領の発言は意向の表明であり、事業の枠組みや時期は示されていない。ジョージアの電力系統は8月14日に大規模な停電を起こしたばかりでもある。国際送電の通過を担うには、系統そのものの信頼性を高める投資も要る。

この記事の日付 2026年8月14日 は、出典が発表された日です。

本サイトでの初出 2026年8月16日 14:53

← 記事一覧へ戻る
アゼルバイジャンが欧州へ送電を計画、経路はジョージアとトルコのみ。通過料の設計が焦点 | Caspian Intelligence