アルメニアがエネルギー供給の依存先を見直し始めている。与党「市民契約」会派のサルギス・ハンダニャン議員は8月11日の記者説明で、ロシアが天然ガスの価格を引き上げた場合に備え、供給の多角化に向けた方法を積極的に検討していると述べた。ARKA通信が伝えた。
同国の天然ガスはロシアからの供給に大きく依存してきた。発電構成でも火力の比重が高く、上期の発電量が10%増えた際、統計委員会は発電の大部分を火力が担ったとしている。増産はそのままガス消費の増加を意味する。
このタイミングで、隣国からの提案も出ている。アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領が、アルメニアに対してロシアに代わるエネルギー供給の選択肢に言及した。ARKA通信は、同大統領がアルメニア原子力発電所(ANPP)について述べた内容とあわせてこの発言を分析し、一見するとバクーによるアルメニアの原子力部門への攻撃に見えるが、その背後には別の意図があるとの見方を示している。
アルメニア原発はメツァモールにあり、同国の発電量の相当部分を担う。老朽化と地震リスクが長年議論されてきた施設である。ここを止めればアルメニアの電力不足はさらに深まり、外部からの供給への依存が強まる。
輸送の枠組みでも動きがある。米国のスティーブ・ウィトコフ平和維持活動担当特使は、過去1年にわたり米国がアルメニアとアゼルバイジャンとともに合意の実施に取り組んできたと記した。具体的には鉄道の技術調査、官民の調整、投資の仕組みづくりである。これはTRIPP(トランプ国際平和繁栄回廊)と呼ばれる構想の一部にあたる。
アルメニアにとって、この3つは一続きの問題である。ロシアからのガスが高くなるなら別の供給元が要る。別の供給元へつなぐには経路が要る。経路はアゼルバイジャンかイランかジョージアを通る。すでにロシア産小麦がアゼルバイジャン領内を鉄道で通過してアルメニアへ運ばれ始めており、経路の実務は動き出している。
同国はイランとも投資の枠組みを模索している。内陸国が単一の供給国への依存から抜けるには、複数の方向に経路を開くほかない。
