ジョージア西部のアジャラ自治共和国とその中心都市バトゥミについて、ゴールト・アンド・タガートが観光と不動産の2本のレポートを同日に公表した。両者は密接に結びついている。
まず観光である。ジョージア全体の観光客数は2025年1〜9月に前年同期比7.9%増の430万人となった。近年と同様、伸びを牽引したのはアジア市場からの関心の高まりである。加えてロシアとEUという従来からの市場でも、新規の直行便の就航に支えられて訪問者が増えた。
アジャラに限ると、伸びの主役はロシア、中央アジア、中東からの訪問者である。同社の分析によれば、この3市場は求めるものが異なる。ロシアと中央アジアからの観光客は主にアパートの需要を生み、中東からの訪問者はホテルを選ぶ傾向が強い。しかも後者の目的の中心はカジノである。 この構図が、バトゥミのホテルとアパートの双方で稼働率と収入を押し上げてきた。
不動産市場は、この観光需要の上に成り立っている。同社によれば、バトゥミの不動産需要は外国人による投資目的の購入が支配的である。その結果、住宅ストックの増加は投資用アパートが主導し、その多くは海沿いに立地する。自己居住用の住宅開発は市街地の内側に集中しており、立地、インフラ、価格帯、買い手の構成は、その物件が投資向けか居住向けかでほぼ決まる。
居住用市場の主な担い手は、バトゥミに暮らす地元住民と移住者である。市場全体としては均衡しているが、進行中の案件のほぼすべて(98%)が低価格帯と中価格帯に向いており、住環境の改善を求める高所得層向けの選択肢が乏しい。
投資用市場では、建設中の案件がより大きな比重を占める。中心は中価格帯のスタジオタイプで、内装込みの引き渡し価格は1平方メートルあたり1,500〜2,500ドルである。
ここに供給過剰の懸念がある。同社の推計では、バトゥミの短期賃貸アパートは2029年までに倍増する見込みである。 観光客の流入か平均滞在日数が伸びなければ、利回りに下押し圧力がかかる。
競争環境も変わりつつある。同社がアジャラの観光分野の課題として挙げる第一は、地域内、とりわけアゼルバイジャンにおけるカジノの合法化である。中東からの訪問者がカジノを目的に来ているという構図を踏まえると、この競合は直接に効いてくる。
同社は官民の連携によって競争の影響を緩和する必要があると提言している。バトゥミの不動産に投資する側からすれば、部屋の供給が倍になる一方で、その部屋を埋める客が隣国へ流れうるという二重の圧力を見ておく必要がある。
