トビリシの商業用不動産市場について、ゴールト・アンド・タガートがオフィスと商業施設の2本のレポートを同日に公表した。対照的な見通しが示されている。
### オフィスは供給過剰へ向かう
2025年時点のトビリシのオフィス市場は総面積190万平方メートルで、そのうち55%が住居用建物内のオフィスという構成である。賃貸可能なビジネスセンターの供給は35万8,000平方メートル、比率にして19%にとどまる。トビリシには明確な中心業務地区がなく、ビジネスセンターは複数の地区に分散している。
2020年より前は高規格のビジネスセンターの供給が限られていた。それが2020〜25年に3倍へ増え、計画中の案件を含めると2026〜28年にさらに10万平方メートルが加わる。その大半が上級クラスである。
上級クラスの需要を支えてきたのは外国企業、特に外資系の金融とITである。2019〜25年にIT分野の雇用は120%、金融分野は29%増えた。ただし同社はこの伸びが2028年までに鈍化すると見る。
需給の逆転が起きる。2019〜25年は需要が供給を上回って伸び、空室率は10%から6.6%へ低下した。しかし2026〜28年は供給が需要の2倍の速さで増え、空室率は16.8%へ上昇する見通しである。 空室率を10%へ戻すには、2029〜31年に新規供給を止める必要があると同社は試算する。賃料も緩やかな調整が起こりうる。
上級クラスのビジネスセンターは住居内オフィスの2倍の賃料水準にあり、その成長は新たな外資系IT企業を呼び込めるかに左右される。一方、中級クラスには住居内オフィスから借主を引き寄せる余地があるとみている。価格、管理、駐車場、警備、共用スペースといった条件で優位に立てるためである。
### 商業施設はまだ過剰ではない
2025年のトビリシの主要な商業用不動産市場は130万平方メートルで、内訳はバザールが58%、モールが33%、路面店が9%である。三者は異なる需要に応じている。モールはブランドと集客型の小売、中心部の街路は高級品と観光客、バザールは価格重視の消費者である。
モールの賃貸可能面積は2025年時点で43万平方メートル。計画中の案件がすべて実現すれば、2030年までにさらに14万平方メートルが加わる。
それでも供給過剰の兆しはまだ見えていないと同社は判断する。小売販売額が2019〜25年に倍増した一方、ECの比率は依然として小さく、実店舗への圧力になっていないためである。モールの空室率は2025年に6.6%で、賃料は近年急速に上昇した。2026〜30年は新規供給を受けて賃料の伸びが落ち着くと見込まれる。
モールにとっての商機は高級品分野の拡充にあるという。ジョージア人が海外で支出する金額の大きな部分が高級ブランドの衣料品や装身具に向かっている一方、国内のモールにおけるそうしたブランドの比率は限られているためである。
