ジョージア国立銀行の金融政策は、2026年に入って想定と逆の方向へ動いた。ゴールト・アンド・タガートが節目ごとに出してきた3本のレポートを並べると、その経緯がはっきりする。
出発点は緩和局面の終わりである。同行は2023年5月から2024年5月にかけて政策金利を11.0%から8.0%へ、300ベーシスポイント引き下げた。インフレが目標へ向かい、ラリが安定したためである。市場は2024年後半から2025年にかけてさらなる利下げを見込んでいた。ところが同行はそこで手を止め、以後まる2年、8.0%を維持した。
2026年5月1日付のレポートで、同社は5月6日の会合でも8.0%が据え置かれ、その水準が2026年末まで続き、価格ショックが収まれば2027年末までに7.50%へ緩やかに下がる、と予想していた。
見通しの最大の変更点は物価だった。同社は2026年の平均インフレ率の予想を、当初の3.0%から4.8%へ引き上げている。理由は供給側にある。イラン情勢の緊迫で世界のエネルギー価格が上昇し、ジョージア国内の燃料価格に波及した。加えて4月の電力料金の引き上げが規制価格を一段押し上げた。この2つで、総合インフレ率は2026年を通じて目標の3.0%を上回り続けることになる。
物価の中身も見ておく必要がある。食料インフレは2025年後半から2026年初頭にかけて二桁に達し、2026年3月に7.9%へ鈍化した後も、総合インフレへの寄与が最も大きい項目であり続けた。一方で基調的な物価圧力は抑えられていた。コアインフレと非食料インフレは3.0%の目標を下回り、サービスインフレがようやく3.3%へ上振れした段階である。インフレは広範に及んではいないが、サービス価格の上昇とエネルギー由来のリスクが、近い時期の緩和の余地を狭めた。
結果は据え置きではなかった。同行は2026年5月6日の会合で25ベーシスポイントの利上げに踏み切り、政策金利を8.25%とした。インフレ期待を確実に固定するためである。
6月12日付のレポートは、5月の利上げ後は据え置きが妥当だと論じている。総合インフレが5月に5.7%へ鈍化し、経済成長も年初の高い水準から落ち着いた。4月の成長率は6.2%で、3月の10.7%、第1四半期平均の9.1%から減速している。需要主導の物価上昇への懸念が和らぐ程度の減速であり、追加の引き締めではなく据え置きを支持する材料だとした。
7月27日付では、ホルムズ海峡が7月中旬に再び閉鎖され、ブレント原油が6月末の72ドルから100ドルへ上昇したことが論点になった。ただし今回の上昇は急激ではなく段階的で、コアと国内のインフレが引き続き鈍化していることから、同社は据え置きを予想した。実際に7月29日の会合で8.25%が維持されている。
同レポートは条件付きの警告も残している。原油高が長引けば二次的波及が焦点となり、9月の追加利上げも排除できない、というものである。次回会合は9月9日に予定されている。
