ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領は8月19日、憲法的法律「デジタル技術国際センターについて」(ЎРҚ-1169号)に署名した。国家法令データベース(lex.uz)によると、法律は8月20日に同データベースで公布され(登録番号03/26/1169/0859)、下院は8月4日に可決、上院は8月8日に承認している。センターの通称はEnterprise Uzbekistanで、タシケントのIT Parkの区域内に置かれる。
施行時期については、最終条にあたる第84条が「公式に公表された日から6か月を経て」と定める一方、法令データベースの登録情報は施行日を2027年1月21日と記載しており、この2つは整合しない。公布は8月20日なので、第84条どおりなら施行は2027年2月になる。同データベースの登録カードは、公表媒体はこのデータベースだけで他に公式の公表媒体はないこと、施行日の決定にその公表日を用いたことを明記しているため、別の媒体で先に公表されていたという説明も成り立たない。同時期の法律に使われている数え方(民営化再審査を禁じたЎРҚ-1168号は公表が8月17日、施行が11月18日)を本法に当てはめれば2027年2月21日になる。どちらが正しいかは、現時点では確定できない。
第82条は、センターの各機関が本法の定める諸規則を施行から6か月以内に策定・採択しなければならないとし、それまでの間はウズベキスタンの法令が本法に反しない範囲で適用されるとする。制度の細目がそろうのは施行からさらに半年後ということになる。
この法律の主眼は、法域そのものの設計にある。第1条は、センターを独立した領域として位置づけ、その区域で適用される特別法制を定めることを目的に掲げる。特別法制が及ぶのは、規制のサンドボックスにおける革新的技術・製品・サービスの創出と試験、デジタル分野への投資誘致と輸出事業、民事・企業・商事法上の関係、民事および経済の訴訟手続、税関と課税、労働関係、金融・銀行業務と為替取引、データ保護と個人情報の取り扱い、行政サービスの提供、知的財産の保護である。
税制もその一部として書き込まれている。Enterprise Uzbekistanはガゼータ・ウズに対し、センターの本質は税の優遇ではなく特別な法的地位そのものにあると説明しているが、法律には税の章があり、優遇の中身は小さくない。第47条は、区域内および国外向けの販売の回転高に付加価値税のゼロ税率を適用する。第48条は、参加者が区域内の優先事業分野で得た所得を法人所得税から免除する。第49条は、高度熟練とされる外国人職員が受け取る賃金と配当を個人所得税から免除し、要件を満たさない外国人職員の賃金には12%、参加者に雇用されるウズベキスタン国民と無国籍者の賃金には7.5%の税率を定める。
中核は法の適用順位を定めた第2条にある。センター区域では、憲法、本法、本法に基づく大統領の決定、センターの決定の順に適用され、必要な場合には、憲法・本法・センターの決定に反しない限りで「イングランドおよびウェールズのコモンローと衡平法の原則および準則」が適用される。ウズベキスタンの法令は、本法とセンターの決定が規律していない範囲でのみ働く。さらに、センターが自らの管轄内で採択した決定は、これに反する国内の法令に優先する。例外は憲法、本法、そして批准済みの国際条約に限られる。
期間も異例に長い。第4条は、特別法制が2100年まで効力を持つと定め、その下で与えられた便益と優遇を保証したうえで、これを悪化させる形で変更したり期限前に停止したりすることを認めないとする。投資家向けの安定化条項である。ただし管理評議会は、国益の保護と安全保障上の脅威の防止を目的に、個別の主体について特別法制の利用に制限を課すことができる。区域の境界は大統領が定める。参加者が区域の外で事業を行う場合も、その土地が生産区域として認定されれば同じ特別法制が適用され、仮想オフィスを通じた遠隔での参加も対象になる。
紛争解決の設計は途中で変わった。2025年11月26日の大統領令УП-233は、ウズベキスタンの司法制度に属さない独立の専門裁判所を設ける構想を承認していた。成立した法律の第77条は、特別法制の下で生じた紛争を、憲法的法律「タシケント国際金融センターについて」に基づいて設置されたタシケント国際商事裁判所が扱うと定める。管轄は、センターの主体(機関、参加者、その職員、認定を受けたパートナー)の間の民事・経済・企業・労働の紛争、区域内の財産をめぐる紛争、支払不能・破産・再編・債務再構築、当事者の合意により付託された案件、そして仲裁人の選任と忌避、暫定措置、仲裁判断の取消・承認・執行といった国際仲裁の周辺業務に及ぶ。新しい裁判所を作らず、金融センター向けに用意した器を共用する形になった。
構想は2024年2月1日の大統領令УП-25にさかのぼる。同令はIT Parkの区域内にInternational Digital Technology Center(Enterprise Uzbekistan)を特別な領域として設けることを承認し、2024年12月1日までに法律案を内閣へ提出するよう求めていた。2025年11月のУП-233は運営体制を固め、管理評議会の議長を大統領とし、首相、経済財務相を兼ねる副首相、デジタル技術相、法務相、中央銀行総裁、国家有望プロジェクト庁長官を構成員とした。同令は、特別法制をイングランド・ウェールズ法の規範と原則または主要な国際金融センターの基準に基づかせること、センターの居住者でない企業が優遇を受けずに区域内で金融・コンサルティング・投資・法務のサービスを提供できることも承認し、3か月以内に憲法的法律案を提出せよと指示していた。今回の成立はその延長線上にある。
数値目標は法律ではなく行政文書の側にある。УП-25は、2023年9月11日の大統領決定ПП-300が定めた目標として、IT分野のサービス輸出50億ドル、雇用10万人、IT Park内の外国企業代表事務所1,000社を引いている。同令が採択された時点でIT Parkの居住者は1,652社、うち外資が参加するものが426社で、生産額は12兆5,000億スム、輸出は3億4,400万ドルだった。
税の優遇に加えて法的な予見可能性を売るという方向は、この国が最近進めてきた措置と共通する。完了した民営化取引の再審査を法律で禁じた8月の改正法も、狙いは投資家に取引の最終性を約束することだった。もっとも、コモンローの適用も、国内法に優先する決定も、条文があるだけでは動かない。管理評議会がどこまで踏み込んだ規則を作るか、タシケント国際商事裁判所がどのような判断を積み上げるか、そして企業がこの区域に法人を置く実利をどう評価するかは、施行後の実務を見るまでわからない。
