ウズベキスタン大統領府は10月12日、シャフカト・ミルジヨエフ大統領が新タシケントで施設の稼働と新しい事業の着工の式典に出席したと公表した。式典で稼働したのは計10億ドルの7施設で、ほかに計25億ドルの10事業が着工した。大統領は同じ日に、新タシケントの建設を急ぐための課題をめぐって投資家・企業家と対話した。会合では民間の参加の遅れが取り上げられ、大統領は土地の配分や負担金の見直しの方針を示した。会合の内容は大統領報道官が公式のテレグラムで伝えた。
新タシケントは3年前に建設が始まった新都市で、大統領府は国の歴史で最大の都市計画事業と位置づけている。第1期だけで500億ドルの事業を計画している。2025年12月30日の大統領府の発表は、ユコリチルチク地区とウルタチルチク地区で計1万9,700haを充て、第1期は6,000haで60万人の居住と就業を見込むとしていた。今回の会合について報道官は、新都市に計2万haが割り当てられていると伝えた。
式典の発表によると、新タシケントではこれまでに20億ドルの工事が行われ、住宅、大学、図書館、円形劇場が建った。新タシケントの新ウズベキスタン大学の複合施設は、独立35周年を前に稼働した事業の一つだった。8月28日の独立記念の式典も新タシケントで開かれた(既報)。
稼働した7施設は、住宅団地「Sharq bahori」の第1期、道路・インフラ施設、新タシケント第1変電所、トリジェネレーション(熱電冷の併給)発電所、商工会議所の庁舎、公園「Sohil bogi」、2,000人が学ぶ学校である。Sharq bahoriの第1期では約7,000戸が建った。ほかに道路18km、下水道13km、上水道4.5kmが敷かれた。
着工した10事業には、半導体などの先端製品をつくる工業団地「Deep Tech Park」、フィンランドのMariMaticが加わる廃棄物の収集と発電の事業、集合住宅の屋根に載せる計20MWの太陽光発電、首都と結ぶ橋・立体交差・10kmの道路、地下鉄駅とつながる地下駐車場が並ぶ。ビジネスシティ「Metropolis」は延べ81万8,000平方メートル超で、うち50万平方メートルを業務用に充て、1,500人の雇用を見込む。住宅団地「Silk City」「Mavj」「Marjon」と、120床の新タシケント中央病院も建てる。式典には中国、トルコ、アラブ首長国連邦などの企業が参加した。
発表が個別の金額を示したのは次の3件だけである。
| 区分 | 事業 | 参加した外国企業 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 稼働 | トリジェネレーション発電所 | MIMSAN(トルコ) | 7,300万ドル |
| 稼働 | 変電所と高圧送電線 | Haocheng Industry Group Limited(中国) | 9,500万ドル |
| 着工 | Deep Tech Park | 記載なし | 3億2,000万ドル |
稼働した7施設の計10億ドルのうち、金額が示されたのは2件の計1億6,800万ドルで、残る5施設の内訳は発表に無い。着工した10事業の計25億ドルのうち、金額があるのはDeep Tech Parkの3億2,000万ドルだけである。Deep Tech Parkには将来、計17億ドルの事業を置く計画だという。トリジェネレーション発電所は10万世帯に地域暖房と冷房を供給し、同時に発電する。
投資家との会合で取り上げられたのは、民間の参加の遅さである。報道官によると、これまでに新タシケントへ20億ドル超の投資が入ったが、民間を建設に呼び込む速さは機会に見合っていないという。現在1,000haを超える土地で、主に国の資金による建設が進んでいる一方、企業家に配分された土地は94haだけだった。配分済みの土地の3分の2は住宅の事業で、投資家に渡した28区画では本格的な工事が始まっていない。売却した54区画のうち、事業費が1億ドルを超えるのは3区画だけだという。
大統領は、遅れの原因を投資家の資金や意欲の不足に求めるのは正しくないとし、古い要件、長引く許認可、一部の官庁が協力者ではなく監督者としてふるまうことが妨げになっていると述べた。土地への需要は強まっており、1haの平均価格は2024年には100億スムに届かなかったが、いまは190億スムになったという。
報道官が伝えた方針は次のとおりである。インフラ負担金の基準料率を、商業・サービス・ビジネスセンターは3分の1に、ホテル・観光施設は5分の1に、文化・娯楽施設は10分の1に引き下げ、私立の幼稚園・学校・病院は1%とする。この扱いは着工済みの事業にも適用する。事業費5,000万ドル超の非住宅の事業では「グリーンビル」の認証費用を国が全額負担し、取得した区画の30%を緑地にする義務を新タシケントでは課さない。5,000万ドル超の事業には担当者を付け、事業ごとに投資協定を1本結んで、投資家の義務とリスクに見合う優遇を定める。
土地の配分では、事業を公に提案させ、他により良い条件の提案が無ければ最初の提案者に土地を渡す「スイス・チャレンジ」方式を導入するという。報道官は、タシケント市の各区に新タシケントの土地を100haずつ割り当てたとし、残る13の地域にも100haずつ割り当てると伝えた。そこでの投資は各区・各州の実績に数え、割り当て地の最初の競売には地元の企業家だけが参加する。外国の投資家向けには50区画を選び、立地や経済計算を添えた提案を大使に届け、在外公館には外国の投資家への紹介を広げるよう指示した。同じ優遇は、新タシケントの建設開始と同じ日に建設が始まったサマルカンドの「Shirin」地区にも広げる。Shirinでは企業家への配分が19haにとどまり、地区と市の中心部を結ぶ橋は9月1日までに開通するはずだったと指摘された。
行政機関の移転も進める。報道官は省庁の移転に関連して、建設、運輸、エネルギーの各省がいま簡易な構造の建物で業務をしており、省庁の職員2,600人のための9棟が建設中だと伝えた。大統領は首相に残る省庁の移転を始めるよう指示し、首都にある既存の庁舎は、必要に応じて、取り壊して建て替える権利を付けずに改修して使う条件で売ることを検討する。年末までに2万戸を引き渡す計画で、少なくとも7万人の住まいになるという。FIFAの基準に合う5万5,000席の競技場も建設中で、来年の20歳以下のワールドカップの主会場の一つになる。
これらは大統領の表明と指示で、報道官の投稿には法令の番号も日付も無い。会合では、出た提案について近く関係する決定が採択されると述べられ、大統領は1か月後に新タシケントを再訪して指示の履行を確かめると述べた。負担金の新しい料率をいつから適用するかも書かれていない。
会合で示された数字からは、国の資金で先にインフラと公共施設を整え、民間の資金を後から呼び込む構図が見える。企業家に配分された土地が94ha、本格的な工事に入っていない区画が28あると数字を挙げて遅れが示され、大統領は負担金を引き下げ、認証費用を国が負担する方針を打ち出した。第1期500億ドルの計画に民間がどこまで乗るかは、近く出るとされる決定の中身と、その後の区画の売却と着工の数で測ることになる。
