2025年第3四半期の商品市況について、ゴールト・アンド・タガートが四半期見通しをまとめた。中央アジア・コーカサス各国の輸出品と重なる品目が多く、地域経済を読むうえでの前提になる。
最も動いたのは金である。四半期で16.8%上昇した。 安全資産としての需要と、金融政策の見通しの変化が重なったためである。現物価格は9月下旬に1トロイオンス3,800ドルの水準を突破し、10月初めには史上最高値となる4,000ドル超で取引された。
金価格の水準はウズベキスタンとキルギスにとって直接の意味を持つ。ウズベキスタンは世界有数の産金国で、金の輸出は外貨収入の柱のひとつである。同国の輸出構成は金があることで価格変動に対する自然なヘッジになっている、というのが同社の別のレポートの見立てだった。もっとも2026年に入って同国が金の輸出を停止したことは、この収入源が政策判断で止まりうることも示している。
エネルギーは対照的に静かだった。ブレント原油は0.9%の小幅安である。供給の増加と需要の鈍化を示す兆候が重石となり、需給がおおむね釣り合ったため狭い範囲での推移にとどまった。ただし四半期末には悲観的な見通しが前面に出た。天然ガスも0.6%安である。欧州のガス市場は四半期を通じて比較的潤沢な供給が続き、前年に見られた貯蔵をめぐる混乱は避けられた。
農業関連では硝酸アンモニウム(硝安)が15.2%上昇した。7月1日にEUがロシア産の窒素肥料に新たな関税を課したことが理由である。 硝安は基礎的な窒素肥料であり、価格上昇は域内の農業生産費に響く。カザフスタンとウズベキスタンはいずれも農産物輸出を伸ばそうとしており、肥料価格は収益性を左右する要素になる。
小麦は4.6%上昇したが、同社はより長い目で見れば価格は低迷したままだと指摘する。世界的に供給が潤沢で、需要が力強さを欠くためである。カザフスタンは穀物と小麦粉の主要輸出国であり、この価格環境は同国が加工品への転換を急ぐ理由のひとつでもある。
銅は1.7%の上昇にとどまったが、四半期末に構図が変わった。9月にインドネシアのグラスベルグ鉱山で大事故が起き、操業が停止したためである。世界第2位の規模を持つ銅鉱山であり、供給見通しは大きく塗り替えられた。銅はジョージアの主要輸出品目のひとつでもある。
